風はエネルギーを散らしてしまう
null誰もがゼロから家を建てるわけではありません。中には、建売住宅やマンションを購入する人も多数いることでしょう。その場合の風水的ポイントについて伺いました。
「基本的には、家を建てるときの土地選びと同じです。なだらかな起伏がある土地の高い場所に建っているところを選ぶといいでしょう」(以下「」内、暮れの酉さん)
風水の考え方で“土地には気が存在する”とおっしゃっていましたが、土地の気は何階ぐらいまで影響するのでしょうか?
「あんまり高層階になりすぎると地面の気が離れてしまい、土地に足がつかないと言われます。風水的におすすめなのは、3~5階ぐらいまででしょうか」
では、それよりも上の階は避けたほうがいいのでしょうか?
「そうとも一概には言えません。例えば、背の高いマンションがたくさん並んでいるような場所であれば、土地の気は受け取れなくとも高いところでも問題ありません。しかし、周囲が平屋ばかりで背の高い建物がないところにタワーマンションがポツンと1棟だけ建っているようなところはおすすめはしません。そういうところの高層階に住むと、専門用語で露風殺(ろふうさつ)というのですが、鼻高々になり、四方八方から風が吹きつけたりすることもあって、不安や孤独の象徴になってしまうんです」
高層階は避けたほうがいいとのことですが、マンションの1階はどうでしょうか?
「1階は、土地選びのときにもお話しした通り、湿気がたまりやすく、風水では低いところは“下がる”“重い”というシンボルと見るのでおすすめはしません。また、1階の部分に駐車場があるマンションも同様です(詳細は「運気の上がる家を建てたい!風水で「良し」とされるもの、避けたいものとは」参照)」
では、マンションの角部屋や低層階のマンションの最上階などはどうでしょうか?
「角部屋や最上階はとても風が当たります。実は古くから、風はエネルギーを散らしてしまうシンボルと捉えられていて、なるべく風がきつく当たらないような場所を吉としていました。角部屋や最上階は風の影響が強いので、あえて選ばなくていいとは思います」
子ども部屋の壁に空や星などの柄はNG!
null建物の場所や環境については、よくわかりました。では室内の色、壁紙などはどうでしょうか? 建売やリフォームで壁紙を考える場合、そういったところで開運を狙いたいものです。
「部屋の用途ごとに、開運カラーはあります。例えばリビングはみんなが集まる場所なので、できれば和やかなちょっと淡いグリーンやべージュなど、アースカラーがおすすめです。
寝室であれば、基本的にブルー系だったりグリーン系の淡くてリラックスできるような色がいいでしょう。寝室をピンクや赤などにしてしまうと風紀が乱れるので避けたほうがいいですね」
『kufura』読者の多くは子育て世代、子ども部屋の運気も気になるところです。
「子どもは伸び伸びと育って高みを目指すというイメージもあります。ただ、色でいうと遊び部屋か勉強部屋かなど用途によって、異なります。遊びも勉強も同じ子ども部屋でという場合であれば、色はベージュや白がいいと思います。日本では白はこれから何色にでも染まる色ですから。
色ではないのですが、昔は、長男は強くあるべきだから部屋は東の強い方角。女の子は柔らかくあるべきだから東の日の出の終わった後の、空の色が均一になる時間帯の方角=南東の方角に部屋を置くといいという考え方がありました。南東の方角には誰とでも溶け込めるというシンボルがあるんです。
でも、それは昔の話。現代は男女を意識する必要はないと思います。子どもは健やかで和やかであるようにと、色合いは白やベージュの他には、パステル調の色だったり、濁りのない色がいいでしょう」
子ども部屋に関しては、ひとつだけ注意するポイントがあるようです。
「星や空、雲を描いた壁紙などがありますよね。そのような模様のものは、実はあまりおすすめはしていません。壁は外から守ってくれるべきものという考え方なので、星などの模様を入れてしまうことで、物理的にはちゃんと壁なんですけど、心象的に空とつながってしまって守ってくれるものがないという印象になってしまうんですね」
建売住宅の場合、最初にやるべきことは?
null家を新築した場合は、地鎮祭などの儀式を経ているので安心ですが、建売の場合はどうなのでしょう? 建売住宅を購入した場合、新居に足を踏み入れたときに一番にやったほうがいいことがあるそうです。
「拭き掃除です。拭き掃除をすることは、自分自身がその家に感謝を込めるとか、これからよろしくね、という挨拶の代わりにもなります。日本には付喪神(つくもがみ)という、モノに魂が宿る信仰がありますよね。家の神様ではないですが、挨拶をする意味でも“これからよろしくお願いします”という行動として、拭き掃除が一番です。
お好みですが、香りを風水では重視するので、お香を一本焚いたり、アロマキャンドルなど、いい香りで空気を満たすといいでしょう。
そして3つ目としては、湿気を取ることです。これは家具を配置した後でもいいんですが、備長炭など除湿剤になるようなものを先に置いておくといいでしょう」
本格的な引っ越しの前に除湿機を先に入れて、除湿しておいてもいいのでしょうか?
「風水では、電気の低周波音を鳴らし続けるのはあまりよくないとされています。冷蔵庫やエアコンなどもありますから言い出したらキリがないのですが、リビングや寝室でずっと音が鳴るものがあるのはあまり好ましくないと言います。なので除湿機というよりは、もっと古くからの知恵を使って、備長炭などナチュラルなものがおすすめです」
トイレのリフォームはOK!
null新築はできなくても、リフォームなら……と考えている人もたくさんいます。やってはいけないリフォームなどはあるのでしょうか?
「やってはいけないリフォームとしては、例えば、コンクリートむき出しの無機質な感じへのリフォームはあまりおすすめしません。風水は心地いい環境を作るための知識なので、断熱剤を省いて寒くなったりするような心地悪くなるリフォームは、やめたほうがいいですね。
他にも、窓がない部屋を作ることはやめておきましょう。トイレやお風呂はしょうがないですが、風通しが悪くて湿気が溜まりそうな部屋をわざわざ作ることは避けてください」
風水ではトイレをリフォームなど動かすことに対して厳しいイメージがありますが、暮れの酉さんは現代の日本なら大丈夫と話しています。
「トイレについては、確かに昔はうるさく言われていました。しかし最近の日本のトイレは世界の中でもかなりきれいなものになっています。家相などが流行っていた江戸や明治、昭和の初期くらいまでのトイレと比べると全然きれいなので、昔の教科書は参考にならないと思っていいでしょう。現代の日本のトイレであれば多少いじっても大丈夫だと言われています。最近の住宅事情では、そこまで神経質になることはないでしょう」
動いて良い時期、悪い時期
nullリフォームも新築も、土台となる家に手を加えるため、良い時期や悪い時期があるのではないかと気になります。このタイミング問題に関しては、個人個人の生年月日にもよるため、一概には言えないそうです。
「良い時期、悪い時期……それは個人の生年月毎にはあります。中国の占いとかでは、わりとはっきり吉と凶の時期を出していくんですね。
吉の時期は心が穏やかにバランスが整っている状態で、判断だったりが極論にならないとされています。しかし、人間はいつも平和じゃないので、崩れる時があります。
中国の占いでは、凶の時期は、極端な考え方をしやすい時期という考えがあるんです。そういう極端な考えの時期を占いで見ることもできますが、自分でもわかるはずなんです。なんか最近イライラするなとか、ちょっとザワザワしてるなとかを感じることがあるでしょう。そういったメンタルがモヤモヤするときにリフォームでもして気持ちを入れ替えよう、というのはやめたほうがいいです。リフォームをリフレッシュ方法に使ってはいけません。
家は人体の象徴とまでいうと少しオーバーかもしれませんが、自分の体の大きくしたものが家なのです。変なリフォームをしてしまうとそのリフォームをした形が自分の体だったり心だったりに影響して、自分に跳ね返ってきてしまうんです。だから、イライラの心のままにはやってはダメ。イライラしているときにプロの風水師や設計師に見てもらってからリフォームするならいいですが、それがあってもあまりおすすめはしません」
第3回は、よりよい家にするための風水のレイアウトテクニックをご紹介します。
暮れの酉(くれのとり)
19歳から占い一筋で勉強を続け、大阪ミナミの老舗占い館で18年間No.1の座に君臨。「占いを極めたい」という思いから、中国古典まで紐解いて得た豊富な知識と技術が魅力。その知識を活かし、占いアカデミーの講師も務める。現在、『占いなんて信じない』『どこまで言っていいですか?』(テレビ東京)など複数のメディアに出演。また、『暮れの酉の繊細な人のための鳳凰数術占い – 名前と生年月日でわかる生きやすくなるための方法』(ヨシモトブックス)が好評発売中。
出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーに。趣味はスポーツ観戦と旅行。産業カウンセラー、EAPメンタルヘルスカウンセラー、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種などの資格を保有。メンタルヘルスケアの記事を得意とする。