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お賽銭に5円はアリ!? 正面からお参りじゃなくてもいい?神社本庁に聞いた「知っておきたい初詣マナー」

まもなく2024年、新しい年を迎える準備はできていますか? 2023年は初詣を自粛したり、分散参拝で時期をずらした人も、来年こそはお正月休み中に初詣に行きたいと考えている人が多いのでは? そこで今回は、神社本庁に「初詣におけるマナー」について聞いてみました。「いつ行けばいいの?」「どこに行けばいいの?」「お賽銭の額は?」……意外と忘れている「初詣」のマナー。ひさしぶりに初詣に行くという人もこれで安心! ここできちんとおさらいしてから出かけましょう。

初詣は新年あけてなるべく早めに行こう

初詣は新年あけてなるべく早めに行こう

せっかくならお正月休み中に行きたいけど、人混みは避けたいし……初詣のタイミングって意外と難しいもの。では本来はいつ行くのがいいのでしょう。初詣に行くべき時期を教えてもらいました。

・初詣はいつ行くのがよいのでしょうか?

「初詣に参るタイミングは地域性や2月の立春正月など様々あり、厳密には決まっていません。歳神様をお祭りする期間、一般的に関東では1月7日まで、関西では1月15日までのいわゆる“松の内”に行うお参りを初詣ということもありますが、現代ではお正月でも多様な過ごし方が増え、正月、つまり1月中のお参りを初詣とする解釈や、年が明けてはじめて行うお参りを初詣という解釈もあるようです。その意味では絶対にダメという期間はありませんが、新年あけてなるべく早い時期にお参りするのがよいと思います」(以下「」内、神社本庁)

・お参りするのにいい時間は?

「お参りする時間帯については、神社参拝が出来る時間帯であればいつでも構いません。しかし、あえておすすめの時間帯を答えるとすれば、神社で行われる大切なお祭りは午前中に行われることが多いので、午前中となるでしょう」

・12月中にお参りしてもいいの?

「12月中のお参りは、本来は初詣とは言いません。しかしコロナ禍の折には、分散参拝が推奨され、12月中のお参りもありました。神社によっては、現在も混雑や感染症予防など様々な観点から12月中のお参りを広く受けている神社もあるようです」

・二年参りは意味がありますか?

「二年参りとは、もともと神社に籠り旧年から新年にかけてお参りするものでした。今では地域によって様々な二年参りがあるようなので、それぞれの風習を大切にしていただければと思います」

ちなみに初詣の期間は地域などにより様々ですが、その期間中であれば2回目でも初詣と言えるようです。氏神さまと崇敬神社でそれぞれお参りした場合はどちらも「初詣」と言えるし、同じ神社に2度お参りしても「初詣」と言えるようです。

できるだけ午前中に初詣をしたいものです。

初詣は氏神様からお参りを

初詣は氏神様からお参りを

毎年同じ神社に初詣に行く人もいれば、いろいろな場所に行く人もいるでしょう。地元の神社に行くべきか、遠出して有名な神社に行こうか迷っている人も多いと思います。では実際はどこの神社にお参りするのが正解なのでしょう。

・どこの神社に行くのがよいですか?

まずは氏神様にお参りください。氏神様は、例外はありますがご近所の神社で、地域の皆様を守ってくださる神様です。近所に複数の神社がある場合や、お正月でも神職さんや宮守さんがいない場合などは、県の神社庁や古くからある商店などで氏神様がどこか、御札が受けられるかなどを聞いてみると良いでしょう。そして個人の信仰等により崇敬される崇敬神社がある場合や、行ってみたい神社にお参りするのもよいでしょう」

本来は氏神様にお参りをするのが優先ですが、行きたい神社がある場合はそちらにお参りに行ってもいいようですね。

氏神様がわからない、という方は神社本庁のWEBサイトを見て、お住いのエリアの神社庁に問い合わせをすると教えてもらえます。

手水は省略せず、日本の美しい参拝作法は守って

手水は省略せず、日本の美しい参拝作法は守って

参拝の前に、参道の脇などにある手水舎(てみずや)で手と口を清める手水。コロナ禍には手水舎が一時閉鎖されたり、ひしゃくがなくなった場所も増えました。では手水自体を省略することはいいことなのでしょうか?

・手水は省略してもいいのですか?

特別な事情が無い限り、なるべく省かないでいただきたいと思います。身や心を清めてお参りするという、古来つたわる日本の美しい参拝作法のひとつです」

ちなみに手水の方法は、まず右手でひしゃくを持ち、水を汲んで左手を清め、左手に持ち替えて右手を清めます。続いて左手で水を受け、口を清め、左手に少し水をかけ、ひしゃくを立てて残った水で柄を流したらおしまいです。

手水は省略しないで行いましょう。

お賽銭額に決まりなし、でも神社維持の気持ちを込めて

お賽銭額に決まりなし、でも神社維持の気持ちを込めて

お賽銭にはいつも「ご縁があるように5円玉を混ぜて入れている」と言う人も多いでしょう。でも実際に5円玉を出すことはいいことなのでしょうか。

・お賽銭はどのくらい出すといいですか? 1円や5円でもいいの?

お賽銭は、神様へのお供え物であり、神様への日々の感謝や願いを聞き入れて欲しいという気持ちの表れです。金額に決まりはありませんので、本来は5円でも1円でも構いません。しかし神社としての本音を言いますと、近年奉納頂いたお賽銭を神社が銀行に入金する際、手数料がかかるようになり、硬貨の入金は銀行に支払う手数料が高くなり、神社を維持するにあたり問題となっています。“ご縁がありますように”という気持ちから生まれた5円玉を混ぜる考えも大切ですが、神社維持の気持ちも込めてお賽銭をあげていただければ、大変ありがたいです。」

神社としての本音、やはり小銭ばかりを入れられても……なんですね。

5円でもいいのですが、神社維持のクラウドファンディングだと思ってお札を入れるという考えも。

お願いごとは正面で伝えなくても大丈夫

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混雑した神社の場合、賽銭箱の前に立つだけでも大変。後ろから押されたりしてゆっくりお参りができず、結局お願いごとをきちんと伝えられずに帰ってきてしまったという経験も多いのでは? でも実はお賽銭箱の真ん中でお願いを伝える必要はないようです。

・お参りでは、どのタイミングに願いやメッセージを伝えればよいのでしょうか?

「お願いごとを伝えるタイミングに明確な決まりまありませんが、一般的に二拝・二拍手・一拝の作法でお参りする際、昔の作法に、二拝・二拍手・祝詞奏上(神様へ捧げることば)・二拍手・二拝という作法があることから、二拍手の後に願いを込めるという考え方があります。」

非常に混雑している時などは、少し外れた場所からお参りしてもきちんと願い事は届くようなので、安全にお参りすることが一番大切ですね。

端のほうからでも、神様にはご挨拶できますよ。

お守りや絵馬、御札はたくさんあってもOK    

お守りや絵馬、御札はたくさんあってもOK  

初詣で手に入れる人も多いお守りやお札。神様のご利益を願う絵馬を奉納している人も少なくないはず。そこでお守りや絵馬、御札についてのマナーも教えてもらいました。

・お守りや絵馬、御札などはいつから使えばいいのですか?

「お守りや絵馬、御札などは、受けた時から身につけたり、神棚へ祀っていただいて結構です」

・たくさんのお守りや絵馬、御札を受けるとダメですか?

「たくさん受けると神様が喧嘩しませんか?と聞かれることがありますが、神道ではたくさん集まっても神様は喧嘩しません。ただ、お守りなどがたくさんになると粗末に扱われがちということで、多過ぎない方が良いという考え方もあります。つまり、大切に扱っていただければ多くのお守りなどをお受けいただいても全く問題ありません

・返納はどこでするべきですか?

返納は本来受けた神社に返しに行くのが本義ですが、近くの神社でも受け入れてもらえる場合があります。それも難しい場合は郵送などの方法を用いるといいでしょう。受けた神社へ郵送での返納を受け入れてもらえるかを確認してみてください」

返納せずにどんどんお守りや御札がたまってしまっているという人は、新しいものを手に入れる前に返納することが大事でしょう。

受験生は最後の追い込み、神社の長蛇の列で風邪をひかないように。

おみくじは結果よりも書かれている内容を心にとめて

おみくじは結果よりも書かれている内容を心にとめて

1年の運試しとして引く人が多いおみくじ。凶が出るとどうしても落ち込んでしまいますが、実際に凶をひいてしまったらどうすればいいのでしょう。

・凶をひいたらその年1年が悪いのでしょうか?

「おみくじは御神意を伺うもの。書かれている内容を心にとめる事が大切で、凶であれば心にとめて生活する事で凶事を回避していくという考えがあります。凶をひいたからといって1年悪いわけではないので、落ち込む必要はありません」

・凶をひいた時の解決策はありますか?

「凶などをひいた場合は、神社で指定された場所に結んでお焚き上げをしてもらうことができます。大吉など良い結果が出た際は、持って帰るのもよいと言われています」

凶をひいたからと言ってその1年が不幸になるわけではありません。大切なのはそこに書かれている内容なのですね。

おみくじは神様からのメッセージ、よく読んで心に留めておきましょう。

少しずれたところからでも祈りは届くので安全第一で!

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初詣についてのマナーがわかったところで、最後に「初詣でやってはいけないこと」について聞いてみました。

・初詣でやってはいけないことはありますか?

「初詣は、多くの参拝者であふれることがありますので、安全にお参りいただきたいと思います。また近年、拝殿の中央に長い列をつくり、お参りまで時間がかかるということがありますが、お賽銭箱の真ん中でも、真ん中から少しずれていても神様への真摯な祈りは届けられると思いますので、安全な状況であれば真ん中でお参りしようと長い列を待たずに、脇からお参りするのも良いと思います。また、喪中などの場合は喪明けまで待ってお参りくださいね」

初詣は本来、前の年の感謝を伝え、これからの1年がより良い年になるようにお願いするもの。ご利益をいただくためにも、きちんとマナーを守り、初詣を楽しみたいですね。

【取材協力】
神社本庁

ちえ
ちえ

エディター・ライター歴20年以上。女性誌やアウトドア雑誌、情報誌、スポーツ誌(自転車雑誌、水泳雑誌)などで執筆。2017年から主人の仕事に帯同しアメリカに移住。小学生の男児、中学生の女児とともに、異国の地での生活に奮闘しながら、執筆活動も継続中。現在はニュースや海外生活情報などを担当。アウトドアと旅行が大好き。趣味はパン作り。

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