7月…夏本番に向けての準備期間
null文月(ふみづき)と言われる7月。一説には、七夕の短冊に絵や文字を書き、書、つまり文の上達を願ったことから「文月」という呼称がついたと言われています。
現代の7月は、まさに梅雨明けの月。関東ですと大体7月下旬あたりから梅雨明けし(今年は早かったですね……)、それと共に猛暑が始まります。この梅雨明けの強い日差しは、虫干しや梅干しを作る人にとっては「土用干し」に適しており、各能楽堂では衣装の虫干しも行われたりします。
そして7月は七夕の行事があります。
七夕とは桃の節句や端午の節句と同じ五節句のひとつ。本来は「七夕(しちせき)の節句」と言いますが、日本の神事「棚機(たなばた)」の行事と重なったため、「たなばた」と読まれるようになったといわれています。
短冊を飾る笹や竹は生命力が強く、まっすぐに伸びることから古来より神聖な植物とされてきました。そこへ願い事を書いた5色の短冊を飾りますよね。この5色も中国の陰陽五行から来たもので、緑=木、赤=火、黄=土、白=金、黒=水を意味しています。
この時期、標高の高いところなどでは天の川が見られ、また都心でもわし座のアルタイル・こと座のベガ、白鳥座のデネブを結んでできる夏の大三角形を見ることもできます。
7月の行事…夏の土用
今年は7月20日~8月6日までが夏の土用になります。
土用とは、立春、立夏、立秋、立冬の前18日間のこと。昔は土用の期間に「土をさわってはいけない」「井戸を掘ってはいけない」など言われていましたが、要するにこれは“季節の変わり目で体調を崩しやすいときだから、心身ともにゆっくりと過ごしなさい”という教え。
でもこれ、バカにできないんですね。土用の期間に無理をしてしまうと、必ずと言っていいくらい次の季節になったとき、疲れて体調を崩してしまうんです。
昔の人は、どの時期に何をしたらいいのか、本当によくわかっていたんですね。
江戸時代、夏の土用には「う」のつくものを食べると暑さに負けない体になるとされていました。今でこそ、「土用の丑の日」という言葉があるくらいで、うなぎがフィーチャーされていますが、昔はうどんや梅干し、瓜も土用の食べ物だったんですよ。
7月の行事…盂蘭盆会(うらぼんえ)
7月13日~16日は、盂蘭盆会、つまりお盆です。7月もあたまになるとスーパーにもお盆のお供えものが並び始めますね。
13日の夕方には迎え火を焚き、16日の夕方には送り火をして、ご先祖様を供養しましょう。
そして実は、この盂蘭盆会と関係あるのが「お中元」。
お中元とは中国の三元論に由来し、旧暦の1月15日を上元、7月15日を中元、10月15日を下元とし、各日にお祭りが行われていました。中でも中元は、いろいろな罪が赦される日で、「盂蘭盆会」と結びつき、先祖を供養する行事になったと言われています。
そして江戸時代、盂蘭盆会のお礼に親類に贈り物をするようになったことから、お中元という言葉が生まれました。
<7月の二十四節気>
null小暑(しょうしょ)
二十四節気11番目。
小暑とは、7月7日頃のことで、梅雨明けが近づき、夏本番になる直前の時期のこと。
でも、今年は6月中に梅雨明けしちゃいましたね(笑)。集中豪雨が多い時期でもあります。
そしてこの小暑、または大暑から立秋までを「暑中」といい、この期間に出すご挨拶を暑中見舞いといいます。
<旬の植物>
はす、朝顔、エキナセア、くちなし、サルビア
<旬の野菜、果物>
なす、ゴーヤ、すもも、杏、とうもろこし、しし唐
<旬の魚介>
しじみ、はも、いわし
<季節の行事>
七夕
7月6日・7日 朝顔市(東京・入谷鬼子母神)
7月9日・10日 ほおずき市(東京・浅草寺)
7月1日~31日 祇園祭(京都)
大暑(たいしょ)
二十四節気12番目。
1年のうちで最も暑さ厳しいときのことで、今年は7月23日が大暑になります。日差しの強さも蒸し暑さも最高潮で、せみの声もいちばんにぎやかになります。この時期、夕立も多く、降ったあと暑さが一掃されるのもこの季節ならではの気持ちよさです。
<旬の植物>
さるすべり、ルリタマアザミ、ヤマユリ、おみなえし、ノウゼンカズラ
<旬の野菜、果物>
みょうが、すいか、トマト、きゅうり
<旬の魚介>
いわし、おこぜ、太刀魚、アナゴ
<季節の行事>
7月24日~25日 天神祭(大阪)
8月2日~7日 ねぶた祭(青森)
8月3日~6日 竿燈祭(秋田)
8月5日~7日 花笠祭(山形)
さて、来月は夏真っ盛り。
どんな行事やしきたりがありますでしょうか。
【取材協力/監修】
谷口令
国際日本文化協会理事、風水心理カウンセラー。学習院短期大学卒業後、東京海上火災保険(現東京海上日動火災保険)、日本IBM、第一生命保険などに勤務。OLの傍ら、風水気学の大家・宮田武明氏に師事。風水心理カウンセラーとして40年以上のキャリアを持ち、カウンセリング数は1万件以上に及ぶ。暦や着物など日本独自の文化を世界に伝える「国際日本文化協会」の理事でもある。
谷口令の風水学 http://www.taniguchirei.com/
谷口令の風水ブログ https://ameblo.jp/taniguchirei/
構成/児玉響子