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【冷凍王子に聞く!】美味しさが長持ちする「お肉の冷凍・解凍」ポイント5つ

物価の高騰が気になる今日この頃。電気やガスの節約に励むのはもちろん、できるだけ食費を抑えたいと奮闘している方も多いと思います。そんな時に役立つのが“冷凍保存”。特売の日に多めに食材を買って、冷凍しておくと節約になりますよね。しかし、冷凍保存といっても、上手く冷凍・解凍できないと風味が損なわれてしまいがちに……。

そんなわけで、冷凍に関する第一人者である“冷凍王子”こと西川剛史さんに、3回にわたって知っておきたい冷凍のテクニックについて教えてもらいます。初回は、お肉の冷凍・解凍方法の基本について教えていただきました。

冷凍ポイント1:トレーごと冷凍はNG!空気を遮断すること

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食品用ラップフィルム+フリーザーバッグを使って冷凍保存。
写真/旭化成ホームプロダクツ

西川さんにお肉の冷凍方法の、基本的かつ大切なポイントについて解説していただきました。まずひとつ目に大切なのが、「空気を遮断すること」だと言います。買ったトレーのパックのまま冷凍庫へ……というのは、空気に触れている面が多いため、1番ダメとのこと。

「まずは乾燥対策です。空気を遮断して酸化を防がないといけません。食品用ラップフィルムをなるべくピタッと肉の表面に貼り付けるようにして巻いてください。しっかりと貼り付かせることによって、空気に触れる面積をできるだけ少なくしましょう。

その上で、フリーザーバッグに入れて、空気をしっかり追い出して、真空パックのような状態で封をしましょう」(以下「」内、西川剛史さん)

食品用ラップフィルムのみでは空気が入ってしまうこともあり、“食品用ラップフィルム+フリーザーバック”で保管することで、より美味しく冷凍保存できるそうです。

また、冷凍保存するときは小分けにし、その際に薄く平らにすることも大事

「お肉を薄く平らにすることで、より早く効率よく冷凍できます。また、解凍時間も短くなって便利です」

空気をしっかり追い出して封をします.

冷凍ポイント2:下味をつけて乾燥防止&美味しさキープ

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オリーブオイルを使った下味冷凍。
写真は『西川剛史のおいしすぎる冷凍レシピ』(宝島社)より。

食材の表面を液体の調味料でコーティングする“下味冷凍”も覚えておきたい冷凍ポイントのひとつとのこと。空気を追い出しやすくなり、乾燥や酸化を防げるため、より美味しく長くキープできる保存方法だといいます。

「お肉に液体の調味料をまんべんなく、まぶすことで、お肉の表面を隅々までコーティングすることができます。そして凍った調味料がバリアになって、お肉を乾燥から守ってくれます」

西川さんのオススメの下味はなんでしょうか?

「簡単でシンプルな下味として、ひとつはオリーブオイルがあげられます。焼くときは油を使わずにそのまま焼けます。オリーブオイルは味がついていないので、どのようにでも調理しやすくアレンジが効くので使い勝手がいいです。

他には、焼肉のタレもオススメです。糖分と油分がある下味でコーティングすることで、よい状態で保存できます。糖分は保水性があり、油分は乾燥を抑えるなどの役割をしてくれます」

焼肉のタレの下味は、時短にもなるので忙しいママたちの味方になってくれそうです。

「焼肉のタレでコーティングしておけば、焼けばそれだけで料理になるので時短になります。野菜を変えることでバリエーションもできます。忙しい時にはカット野菜と炒めるだけでも一品できるので、ストックしておくと便利です」

冷凍ポイント3:買ったら早めに冷凍庫へ!

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また、なるべく新鮮なものを冷凍することも、解凍した時に美味しく食べられるポイントだといいます。

「ドリップ(汁)が出ている肉や、色が変わってきている肉などは冷凍をしない方がいいです。買ってきたらできるだけ早く冷凍するのも大切。使って余った食材や古くなった食材を冷凍するのではなく、なるべく鮮度の高い状態で冷凍することで美味しく食べられます」

鮮度が落ちているお肉を冷凍保存すると、そこからさらに冷凍・解凍によるダメージを受けてしまうため、さらに品質が下がってしまうんだとか。

解凍ポイント1:冷凍王子オススメは氷水解凍

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氷水解凍。
写真は『西川剛史のおいしすぎる冷凍レシピ』(宝島社)より。

冷凍方法だけではなく、解凍方法によっても食材の美味しさは変化します。西川さんの1番のオススメは“氷水解凍”。氷水解凍とはボウルやトレーなどに氷と水を入れ、フリーザーバッグに包んだ状態のままの食材をその中に入れて行う解凍方法のことです。

「氷水解凍は低温で解凍するため、食材へのダメージが最小限で済みます。薄く平らに冷凍しておくことで、氷水解凍がしやすくなるんですよ」

他には、流水解凍も短時間で解凍できて良い方法とのこと。流水解凍とは、水をはったボウルやトレーにフリーザーバッグに入ったままの食材を漬け、水道から水を流しながら解凍する方法です。

「10分から20分くらいで解凍できます。途中でお肉を揉んでほぐしてあげると、さらに効率よく解凍できます」

薄く冷凍できない鶏の一枚肉などの厚めの食材は、冷蔵庫で解凍するとよいそう。

「例えば、その日の夜に使う場合は、逆算して冷凍肉を朝に冷蔵庫に入れておくと、タイミングよく解凍されるでしょう。解凍した後は早めに使いましょう」

解凍ポイント2:電子レンジの解凍機能は要注意

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解凍機能はあるけれど…….。

電子レンジには“解凍機能”がついていることもありますが、生のままのお肉を解凍したい場合などには西川先生的には微妙なのだそう。

「電子レンジの解凍機能は、ワット数を下げて加熱しているというだけなんです。ですから、解凍にムラができたりします。一部分だけが集中的に加熱されて、部分的に火が通っているのに中は凍ったまま……という状態になってしまうこともあります」

しかし、電子レンジを使った解凍がよいケースもあるんだとか。

「加熱解凍をして、そのまま調理する場合なら大丈夫です。その場合は解凍機能ではなく普通の加熱の機能を使います。ボウルに凍ったままのお肉と調味料を入れて、食品用ラップフィルムをして電子レンジで調理します」

【まとめ】お肉の冷凍・解凍方法のポイント

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冷凍方法

  • 食品用ラップフィルム+フリーザーバッグで乾燥対策
  • 薄く平らに冷凍保存
  • オリーブオイルや焼肉のタレで下味冷凍
  • なるべく新鮮な状態で冷凍

解凍方法

  • 氷水解凍がベスト
  • 厚めのお肉は冷蔵庫で解凍
  • 電子レンジの解凍機能は生のままの解凍には向かない

冷凍方法や解凍方法に少しの手間を加えるだけで、より美味しくお肉が食べられるのですね。ご家庭にあるアイテムで簡単に実践できるので、ぜひ試してみてください。

撮影/横田 紋子(小学館)


 

【取材協力】

冷凍生活アドバイザー

西川剛史(にしかわたかし)

大学で食品栄養学を専攻し、学生時代から冷凍食品に魅了される。
冷凍食品メーカー、冷凍食品販売会社の商品開発部門などで勤務。
冷凍食品会社で経験したことや独学での実験に基づく知識を生かし、現在は冷凍に関する第一人者として、テレビ・雑誌・ラジオなどでも幅広く活躍。

【書籍情報】

『西川剛史のおいしすぎる冷凍レシピ』(宝島社)

116品の食材の冷凍術を紹介した第1弾に続き、113品の絶品冷凍レシピを紹介する、西川剛史の冷凍本の第2弾。冷凍王子直伝の冷凍ストック術で“手間抜き”調理を実現。

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