いかの栄養情報
nullいかの種類いろいろ
実は、いかは日本近海で穫れるものだけでも100以上の種類があるんです。北海道から九州まで広く分布し、一年中水揚げされているのは「するめいか」です。
そのため「するめいか」は、いか飯や沖漬け、いかそうめんなど、ご当地の食べ方がたくさんあり、お刺身やお寿司、煮物、天ぷら、フライなど、どんな料理にもよく合います。
甘味が強いのが特徴の「やりいか」や、高級食材の「あおりいか」は、お刺身やお寿司でよく食べられています。
「ほたるいか」はお刺身以外にもゆでて酢みそ和えにしてお酒のおつまみなどに。ねっとりとした食感で甘みのあるこういかは、お刺身や煮物、焼き物によく合います。
「あかいか」は加工しても硬くならないため、冷凍加工されてロールいか、燻製やさきいかとして流通しています。
もっとも身近ないかである「するめいか」と、いかの加工品である「するめ」に含まれる栄養素を見てみましょう。
するめいか(生)100gあたりに含まれる栄養素
・エネルギー:76kcal
・たんぱく質:17.9g
・脂質:0.8g
・ビタミンB1:0.07mg
・ビタミンB2:0.05mg
・ビタミンB6:0.21mg
・ビタミンB12:4.9μg
・ビタミンD:0.3μg
・カルシウム:11mg
・カリウム:300mg
・ナイアシン:6.5mg
・ビタミンE:2.1mg
・EPA:43mg
・DHA:130mg
するめ100gあたりに含まれる栄養素
・エネルギー:304kcal
・たんぱく質:69.2g
・脂質:4.3g
・ビタミンB1:0.10mg
・ビタミンB2:0.10mg
・ビタミンB6:0.34mg
・ビタミンB12:12.0μg
・カルシウム:43mg
・カリウム:1100mg
するめは、水分が抜けた分100gあたりで比べるとたんぱく質などの含有量が大きく増えます。ヘルシーなおやつやおつまみとして取り入れてみてはいかがでしょうか。
するめいかに含まれる栄養素について、特徴的な点を見ていきましょう。
ビタミンB群
ビタミンB群は、炭水化物・脂質・たんぱく質の代謝に関わるビタミンとして知られています。水溶性ビタミンであるため、余分なものは尿として排泄され、体内の量が多くなり過ぎることはあまりないと考えられていますが、不足すると疲労感や炎症をはじめとして様々な症状があらわれます。
ビタミンE
強い抗酸化作用を持ち、体内の酸化を防ぐといわれている脂溶性のビタミンです。過酸化脂質の生成抑制、血中LDLコレステロールの酸化抑制のほか、赤血球の破壊防止の作用もあることが知られています。細胞の酸化を防ぐため、アンチエイジングにつながる効果があるといわれています。
低カロリー、低脂肪、高たんぱく質
いかは低カロリー、低脂肪、高たんぱく質の食材です。その他よく食べられている魚介類で100gあたりのエネルギー/たんぱく質/脂質の量を比べてみます。
・するめいか(生):76kcal/17.9g/0.8g
・えび(ブラックタイガー 生):77kcal/18.4g/0.3g
・たこ(まだこ ゆで):91lcal/21.7g/0.7g
・ぶり(生):222kcal/21.4g/17.6g
・あじ(生):112kcal/19.7g/4.5g
脂ののりが良い魚類に比べて、いか、えび、たこなどは大幅に脂質量が少なく低カロリー。
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、たんぱく質摂取の推奨量は、12歳以上の男性が60~65g/日、女性が50~55g/日に設定されています。
するめいか100gには17.9gのたんぱく質が含まれているため、1食あたりの目標を20g程度とするとやや不足するものの、植物性のたんぱく質食材などと組み合わせると十分の量のたんぱく質が摂れるといえるでしょう。
いかにはさまざまな効果効能が期待できる!
null生活習慣病予防にうれしいタウリン
いかに含まれる成分で特に注目したいのがタウリンです。ほかには、青背の魚で知られるEPA、DHAなども含まれています。
タウリンの働きは、消化管内でコレステロールの吸収を抑える、心・肝機能の向上、視力の回復、インスリンの分泌促進、高血圧予防といったさまざまなものが報告されており、特に生活習慣病予防に期待されています。
タウリンは水溶性で加熱にも弱い成分。煮物にした場合は煮汁に溶けだしているため、薄味にして煮汁もいっしょに食べるといいでしょう。また、焼いて食べる場合は、刺身用のものをさっとあぶるようにして、加熱しすぎないようにしましょう。
ダイエット中の人にうれしいあれこれ
いかは、低脂肪・低エネルギー。うま味成分であるグリシンやアラニン、ブロリンなどのアミノ酸を多く含むとともに、いか特有の歯ごたえがあり、少量でも満足感があります。
うまみや食感などはいかの種類によって異なるため、いろいろな種類を試してみるのもいいでしょう。消化率は他の魚と比べて悪くないようですが、よく噛まずに食べると消化に負担がかかったり、消化に時間がかかってしまうこともあります。食べ過ぎや咀嚼に注意してくださいね。
撮影:黒石 あみ(小学館)
【参照】
・文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
・「日本全国お魚事典」山田吉彦著 海竜社
・「旬を味わう魚の事典」 坂本一男監修 ナツメ社
・「からだによく効く旬の食材 魚の本」講談社
・「旬の野菜と魚の栄養事典」吉田企世子/棚橋伸子 監修 X-Knowledge
・「食材図典Ⅲ」小学館
・厚生労働省「e-ヘルスネット」ビタミン
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-027.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」カルシウム
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-042.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」タウリン
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-017.html
全国いか加工業協同組合
https://www.zen-ika.com/ikaqa60/pt4.html
(最終参照日:2022/8/24)
管理栄養士・フードスタイリスト。楽しく食べて健康に。大学卒業後、食品メーカー勤務を経て管理栄養士の道に進む。
食の大切さを伝えるため、コーチングを取り入れたバレエダンサーやアスリートのパーソナル栄養サポート、親子クッキングや離乳食講座などの料理教室、レシピ・コラムの提供、栄養講座、研究機関協力など幅広く活動。
現場の生の声から多くを学びながら、おとなと子どもの食育サポートに力を注いでいる。