長く住める「わが家」がほしいけど、家のこともローンのこともわからない
null子どもが生まれて日々の成長を感じていると、家族にとっての“終のすみか”と思える家がほしいと思うこと、ありますよね。でも、間取りや内装のイメージはどんどん沸いてくるのに比べて、お金に関しては、イマイチぴんと来ない。
ローンのしくみもわからないから、何から考えていいのかもわからない。ちらっと聞いた「固定金利」「変動金利」って?
そんな疑問に、ファイナンシャルプランナーの資格を持ち、『kufura』でも活躍中の橋浦多美さんにもお話を聞きながら、疑問を解決していきましょう!
__橋浦さん、まず、家を持ちたいと思ったときに具体的に考えることってなんでしょうか。
「家を持つには長期でお金を借りる場合が多いので、お金について理解するのはとても大切です。
賃貸にも言えることですが、住宅ローンの毎月の返済額は収入の3分の1をめやすに、具体的にはリタイヤするまでに完済できるように、ゆとりを持って計画を立てましょう。気軽に引っ越せないからこそ、金利について調べて自分たちのくらしに合った家と住宅ローンを選んでください」(以下「 」内、橋浦さん)
Q1:固定金利と変動金利ってどう違うの?
null住宅ローンはさまざまな種類がありますが、大きく分けると「固定金利」「変動金利」の2種類があります。
固定金利・・・住宅購入資金受取時の借入金利が返済終了まで変わらないので、返済額が最初に確定できる
変動金利・・・金利が一定期間で見直されるのにあわせて、返済額の見直しもある
「実は、いまは『変動金利』が低いので、目先で考えると魅力的に映ります。でも、やはり『変動金利』は金利の波があるので金利が上がってしまうリスクは避けられません。『固定金利』の場合は、購入時に金利を含めた返済総額がわかりやすいので将来的な見通しが立てやすいという安心感があります。
子育てをしている夫婦にとって、お金の見通しを立てておく必要があるのは、“マイホーム・教育費・老後資金”の3つ。教育費や老後資金は子どもの進路や家族の状況によって見通しを立てるのが難しいことを考えると、家にかかるお金の見通しがあるほうが安心感があります。また、『固定金利』は返済計画が立てやすいのもいいところです」
家を買うだけでなく、将来的に必要になるお金の見通しを立てた上で、固定金利がいいのか変動金利がいいのか、よく検討して決めたほうがいいということですね……!
Q2:【フラット35】ってどんなしくみ?
null長期の借り入れで住宅を購入しようと思っていると、一度は【フラット35】ということばを聞いたことがあるという人も多いのではないでしょうか。【フラット35】は、全期間固定金利の住宅ローン。住宅金融支援機構と、銀行や住宅ローン専門会社などの民間金融機関が提携している住宅ローンです。
【フラット35】の主な特徴は次のとおり。
・全期間固定金利
・保証人不要
・実際に住む家の建設・購入が対象
・保証料や繰上げ返済手数料が無料
・ライフスタイルにあわせた多彩なメニュー
住宅ローンでは一般的に保証人は必要ないことが多いですが、夫婦の収入を合算してローン審査をする場合やペアローンなどの場合は連帯保証人が必要になることもあります。
また、長期ローンの場合は、ライフステージの変化によって繰上げ返済を検討することもあるので、手数料が不要とわかっているのは助かりますよね。
Q3:どんな種類があって、どんな人が利用できるの?
null住宅は大きなお買い物なので、固定金利であっても金利は少しでも低い方が助かりますよね。【フラット35】の中には、一定の条件を満たせば、一定期間、金利を引き下げてくれるものがあります。ここが、子育て中のkufura世代にとって見逃せない点!
【フラット35】S・・・長期優良住宅などの質の高い住宅を取得する人が対象。当初10年間、借入金利から年0.25%引下げのプランと当初5年間、年0.25%引下げのプランがあり、住宅の性能によってプランが決まる
【フラット35】リノベ・・・中古住宅の取得とあわせてリフォームをおこなう人が対象。当初10年間、借入金利から年0.5%引下げのプランと当初5年間、年0.5%引下げのプランがあり、リフォーム工事の内容や金額等の要件によってプランが決まる
【フラット35】地域連携型・・・住宅金融支援機構と連携している地方公共団体から子育て世帯や地方移住をする際に補助金等の交付を受けた人が対象。当初5年間、借入金利から年0.25%引下げのプランがある
それぞれの金利の引下げには一定の条件を満たす必要がありますが、これから住宅の建設や購入をする場合、条件を満たしていれば、住宅ローンを支払い始めた一定期間、金利の引下げがあるのはうれしい! さらに10年間の所得税の税額控除がある住宅ローン控除(減税)制度と組み合わせると、さらに金利の負担が減ることになります。
【フラット35】Sの金利の引下げは、住宅の建設や購入を検討している世帯にとっては魅力的ですね。
Q4:借入金利の引下げがある「長期優良住宅」ってどういう家?
null【フラット35】で、一定期間金利が引き下げられるプランがあるのがわかったところで……、耳慣れないのが「長期優良住宅」。
「長期優良住宅」は、耐震性や省エネルギー性に優れた質の高い住宅のこと。具体的には、バリアフリー性、耐震性・可変性、省エネルギー性、住戸面積、劣化対策、維持管理・更新の容易性、維持保全計画、居住環境で審査され、認められた住宅を指します。
耐震性に優れていて劣化対策ができている安心感とともに、省エネによる環境配慮や、ライフステージの変化によって間取りを変えることもできるような家は、長く住める質の高い家と認められるということなんです。
「劣化対策がされていれば、年齢を重ねたときに買い換える場合の資産価値も保たれます。金利が引き下げられるメリット以外にも、こうした安心感を得られるのは『長期優良住宅』の魅力です」
確かに、購入した住宅が安心して長く暮らしていけると認められていれば、住宅に対する将来への不安も軽減されるはず。建築技術について詳しくわかっていなくても、「長期優良住宅」の認定基準をクリアすることでの安心感は大きいのではないでしょうか。
子どもが成人した後にも、実家に安心して帰ってきてもらえる安心感も得られそうです。
わたしたちにもっとやさしい【フラット35】Sを利用するには
null【フラット35】Sを利用したいけど、審査のための手続きなどが大変かも……と不安を覚えてしまうかもしれません。
でも、実際に【フラット35】Sを利用する際は、銀行や住宅ローン専門会社などの金融機関や不動産販売会社の担当者など、手助けしてくれる人たちがいます。疑問に思ったことは遠慮せずに聞いてみましょう!
橋浦さんも、【フラット35】Sはいまの時代に合っている住宅ローンと話します。
「いま子育てをしている世帯は特にいいと思います。子育てしている若い世代は長期ローンを組むことが多く、その家に住む期間も長くなります。長期優良住宅は劣化対策やバリアフリー、維持管理など、さまざまな面で長く安心して住むための審査をクリアしている家なので、そのメリットを受けやすいのではないでしょうか。
また、資産をきちんとつくっていくことを考えると、賃貸よりは持ち家のほうがいいですし、持ち家のなかでも資産性のある家を買うことが大切になっていくのではないでしょうか。家は、つい“くらし”に目を向けてしまいがちですが、先々の資産についても目を向けて考えるのがいいと思います」
子育て世代のわたしたちに合った【フラット35】のプランって?
新しい家に、子どもと長く安心して暮らしたいわたしたち。そう思うと【フラット35】Sが気になりますが、【フラット35】地域連携型にも子育て世帯を対象にしたプランがあります。
【フラット35】地域連携型は、子育てや地方移住などに積極的な地方公共団体と住宅金融支援機構が連携し、地方公共団体の補助金などの財政的支援と合わせて【フラット35】の金利を一定期間引き下げるメニューです。
実は、【フラット35】地域連携型は【フラット35】Sと併用することができ、【フラット35】Sと組み合わせると、年0.5%の引下げを当初5年間受けることができるんです。
住宅購入を検討する際は、【フラット35】地域連携型の対象地域を調べてみるといいですね。
橋浦さんも、年0.5%の金利の引下げを当初5年間受けることについて、こう話します。
「借入から5年の間、0.5%の金利が引き下がる魅力は大きいと思います。10年間の住宅ローン控除も含めると、ローンを組み始めた当初の数年間で節約できるお金はとても大切。その数年間で節約したお金を教育費に充てるように計画するのもいいと思います。子育てを応援してくれている制度は余すところなく受け取って、利用していくのがいいですよね」
【フラット35】Sと【フラット35】地域連携型を併用してローン負担を少しでも軽減できるのは、かなりうれしい!
【フラット35】について知ると、長く安心して暮らす家を子育て世帯が購入するのにやさしい住宅ローンだと感じました。住宅ローンはお金のやりくりに目を向けがちですが、【フラット35】Sはお金の面だけでなく、子どもとわたしたちが安心して暮らせる理想の家づくりについて考えることにもつながりそうですね。
イラスト/成瀬瞳
【提供】住宅金融支援機構