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猫の「へそ天」=なでてOK?「ごめん寝」って本当に謝ってるの?猫の気持ちを獣医師が解説

猫のかわいいしぐさに隠された意味やサインを獣医師の椎木亜都子先生が解説するシリーズ3回目は、「へそ天」と「ごめん寝」について。“へそ天”になるときの気持ちや、“ごめん寝”の意味がわかれば、猫がもっと愛おしくなります!

猫の寝相「へそ天」→おなかをなでてほしいわけではない

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猫のへそ天とは?

猫が仰向けで寝ている姿、つまりおへそを天井へ向けている寝相がへそ天と呼ばれています。前足と後ろ足を伸ばして脱力した寝姿です。体を少し横に倒したり曲げたりしている寝相もへそ天に入れてもいいかもしれませんね。

へそ天で寝ているときの気持ちは?

猫にとって急所であるおなかをさらけ出した安心し切っている寝相です。最上級にリラックスしている気持ちですね。飼い主さんは「かわいい寝相を見られた」とホクホクした気持ちになるでしょう(笑)

へそ天で寝る猫と寝ない猫の違いは?

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安全な生活環境で暮らしている猫のほうがへそ天をしやすいものの、性格のほうが大きく影響すると思います。無防備なおなかをさらけ出して寝られる猫はもともと大らかな性格で、逆におなかを隠すのは警戒心が強く怖がりなタイプが多いですね。

私の愛猫の中でも大らかなボンズ(オス)は毎日のようにへそ天で寝ています。一方、警戒心が強いビビリン(メス)は、迎えてから10年以上経つ今でもへそ天になっているところを見たことがないんです。私の経験では、メスは子育てをしなければいけないので、警戒心が強い傾向があります。野良猫として生活していた期間が長い猫も警戒する習慣が身に付いて、へそ天をあまりしないかもしれませんね。

あと、猫は寒さが苦手なので、暑い季節のほうがおなかを出して寝ることが多いでしょう。

へそ天で寝てほしいと思ったら?

猫が安心できる生活環境をつくったうえで、仰向けになりやすいようにフワフワの寝心地がいいベッドを用意してみてはいかがでしょうか。寝ている猫を力づくで仰向けにするのはやめましょう。飼い主さんに対する警戒心が芽生え、へそ天どころか落ち着いて休めなくなってしまいます。

【にゃんポイントアドバイス】

猫のへそ天の寝相はリラックスしている体勢ですが、おなかをなでてほしいと思っているとは限りません。飼い主さんがよかれと思っておなかに触った瞬間、猫にひっかかれるパターンもあります。猫を驚かせないように見守ってあげたほうが無難です。

また、へそ天で寝ない=リラックスしていない、というわけではありません。横向きになって休んでいるなら十分にリラックスしているので安心してくださいね。

猫の寝相「ごめん寝」→安心、でもまぶしいかも

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猫のごめん寝とは?

そろえた前足に顔を埋めて「ごめんなさい」と土下座であやまっているかのような姿勢の寝相です。香箱座りでウトウトしているうちに眠気を我慢できなくなり、頭がコテンと落ちてそのまま寝てしまったようにも見えますね。母猫に顔を埋めて寝ていた子猫のころの名残りの寝方とも考えられています。とにかくかわいい寝相です!

ごめん寝をしているときの気持ちは?

寝たいけれど周りがまぶしいから目をふさいでいるのでしょう。耳を下に向けて隠しているので、周りの音も聞こえないようにしたいのかもしれません。何かあっても気づけないし逃げられない寝相で、警戒心はまったくないですよね(笑)

周りを気にせず目も耳も隠して寝ようとしているわけですから、かなりリラックスしていると考えていいと思います。

ごめん寝をする猫としない猫の違いは?

子猫の寝方の名残と考えたら子猫のほうがごめん寝をしやすいと思います。そのときの心地よさや寝やすかったことを覚えていて、成長してもごめん寝をする猫もいるでしょう。

ただ、私の愛猫のボンズとビビリンがごめん寝をしているところを見たことがありません。かなりレアな寝相ではないでしょうか? 上向きで目を隠して寝ることはありますが、顔をふせることはないですね……愛猫のごめん寝を見られる飼い主さんがうらやましいです!

ごめん寝で寝てほしいと思ったら?

明るくしたり騒がしくしたりすればごめん寝をしてくれるかもしれませんが、猫がかわいそうですよね。ありのままの寝相をかわいがってください。

猫は寝ながらかなり姿勢を変えるので、たとえばクッションを置いておけば顔をふせるくらいはしてくれるかもしれませんよ。

【にゃんポイントアドバイス】

猫がごめん寝をするときの状況を見て、もし明るかったり騒がしかったりする場合は落ち着けるように変えたほうがいいでしょう。もしかしたら猫が寝相を心地よいと思っているのであれば、そのまま見守ってあげてください。

体調が悪いときにもうずくまったような体勢をとることがあるので、ごめん寝に加えていつもと違う様子が見られたら動物病院に相談しましょう。

今回椎木先生が解説した「へそ天」「ごめん寝」のほかにも、猫のかわいいしぐさはたくさんあります。シリーズ1回目は「ふみふみ」と「香箱座り」、2回目は「イカ耳」と「しっぽブンブン」について。猫好きのみなさんは必見です!


 

【監修】

椎木 亜都子(しいき あつこ)

獣医師・「往診専門のペット問題行動クリニックBLISS」院長。一般企業の会社員と小学生向けの学習塾の経営を経て、40代で「獣医師になる」という子どものころの夢をかなえる。2017年に往診専門のペット問題行動クリニックBLISSを設立。いろいろな社会経験を生かしながら、犬猫と飼い主の心に寄り添う治療を行う。現在の愛猫はボンズとビビリン。

往診専門のペット問題行動クリニックBLISS

金子志緒
金子志緒

ライター/編集者。レコード会社と出版社を経てフリーランスになり、雑誌、書籍、Webの制作を行う。得意分野はペット、防災、医療、PRなど。甲斐犬のサウザーとおもしろおかしく暮らす。愛玩動物飼養管理士1級/防災士/いけばな草月流師範。

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