猫のサイン「イカ耳」→怖いorリラックス
null猫のイカ耳とは?

猫が耳を外側にピンと張った状態、あるいは横にペタンと倒れた状態がイカのように見えるので、イカ耳と呼ばれるようになりました。耳の角度は上向きの場合もあれば水平に近い場合もあります。
イカ耳をしているときの気持ちは?
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猫がイカ耳になるときの気持ちは、大きく分けるとネガティブとポジティブの2つになります。ネガティブな気持ちは恐怖や警戒を感じているとき。周囲をしっかり探るために耳に力を入れて外側にピンと向け、緊張で体も硬くしています。不用意に近づけば「シャー!」といかくの声を出すでしょう。

ポジティブな気持ちは、リラックスしているとき。安心感で耳から力が抜けてペタンと横に倒れています。目元も体も緩んでやわらかくなっているので、恐怖や警戒のイカ耳との区別は難しくありません。
猫が耳を外側に向けたときと、耳から力が抜けたときの意味する気持ちは正反対ですが、耳の形が似ているからイカ耳とまとめられてしまっているわけです。
イカ耳をする猫としない猫の違いは?
耳を外側に向けたり横に倒したりするしぐさは、すべての猫が生まれ持ったものです。耳の大きさや形状によって、耳を動かしたときに目立つか目立たないかという差はあると思います。
イカ耳をしているときの対応は?

猫が警戒や緊張を感じてイカ耳になっているときには、不用意に近づかないこと。ちょっとした動きが刺激になってさらに驚かせてしまうかもしれません。リラックスしているときにはちょっとだけなでてみて、にらまれたり離れられたりしたらそっとしておきましょう(笑)
【にゃんポイントアドバイス】
毎日のようにネガティブなイカ耳をしている場合は心配ですよね。相性がよくない同居猫がいるなら接する機会を減らし、生活環境に不安を感じているなら原因を探って改善することをおすすめします。
犬ではポジティブな気持ちで耳を倒すしぐさがヒコーキ耳と名付けられているので、猫のポジティブなイカ耳も区別しやすい言葉が広まるといいですね。
猫のサイン「しっぽブンブン」→イライラ…来ないで!
null猫のしっぽブンブンとは?

猫がしっぽに力を入れてブン!ブン!と左右に激しく振っているしぐさです。床にバシ!バシ!と叩きつけるように振っていることもあります。
しっぽブンブンをしているときの気持ちは?

無表情で体に力が入っていてしっぽブンブンのサインが見られたら、イライラしていると思ったほうがいいでしょう(笑) 飼い主さんに向かって「それ以上近づくな」「もう触るのをやめろ」と主張していることもあります。犬のしっぽブンブンが喜んでいるサインというイメージが浸透しているせいか、猫も同じだと勘違いされているケースも少なくありません。
たとえば、休んでいる猫に近づくとしっぽをブンブンと振り始めたので、喜んでいると思ってなでようとしたら「シャー!」と怒られた……というパターン。経験したことがある猫の飼い主さんは多いのではないでしょうか。
多頭飼育の家庭で、同居猫に対してしっぽをブンブン振っているときはイライラしていることが多い気がします。私が保護猫の一時預かりをしたときに、愛猫のビビリンはしっぽブンブンでしたね……。ただ、相手が子猫であれば、しっぽで遊んであげている可能性もゼロではありません。
しっぽブンブンをする猫としない猫の違いは?

気持ちの表し方に個性はありますが、しっぽの長い猫のほうがしっぽの表現は豊かですね。しっぽの動きが大きいので、飼い主さんから見てもわかりやすいと思います。しっぽブンブンをよくする猫はイライラする機会が多いとも言えますね。
しっぽブンブンをしているときの対応は?
飼い主さんに対してしっぽブンブンのサインが見られたら、近づかずにそっとしておくのが一番です。相手が同居猫の場合は接する時間を減らして様子を見てくださいね。
ただし、しっぽに力を入れずゆったりと振っている「しっぽユラユラ」はリラックス、しっぽの先を小刻みに振っている「しっぽピコピコ」は集中のサインです。こんなときも少し離れて見守ってあげましょう。
【にゃんポイントアドバイス】
私たちだってイライラしているときにちょっかいを出されたら、決していい気分にはなりませんよね。しっぽブンブンに限りませんが、猫の気持ちを理解するだけでなく寄り添ってあげましょう。しぐさだけでなく状況も見ることが気持ちをうまく読み取るポイントです。
今回椎木先生が解説した「イカ耳」「しっぽブンブン」のほかにも、猫の気になるしぐさはたくさんあります。シリーズ3回目は「へそ天」と「ごめん寝」について。猫好きのみなさん、お楽しみに!

【監修】
椎木 亜都子(しいき あつこ)
獣医師・「往診専門のペット問題行動クリニックBLISS」院長。一般企業の会社員と小学生向けの学習塾の経営を経て、40代で「獣医師になる」という子どものころの夢をかなえる。2017年に往診専門のペット問題行動クリニックBLISSを設立。いろいろな社会経験を生かしながら、犬猫と飼い主の心に寄り添う治療を行う。現在の愛猫はボンズとビビリン。
ライター/編集者。レコード会社と出版社を経てフリーランスになり、雑誌、書籍、Webの制作を行う。得意分野はペット、防災、医療、PRなど。甲斐犬のサウザーとおもしろおかしく暮らす。愛玩動物飼養管理士1級/防災士/いけばな草月流師範。













