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【犬連れ帰省:第2回 滞在先編】犬のタイプ別・慣れない環境でのストレス対策と便利なアイテム

犬にもフレンドリーなタイプもいれば、人見知り・場所見知りをするタイプもいます。犬のしつけ方教室「スタディ・ドッグ・スクール」の校長を務める鹿野正顕(かのまさあき)さんに年末年始の犬連れ帰省の注意点をうかがう連載・第2回目は、滞在先での過ごし方や家族以外の人との接し方、あると便利なアイテムを紹介します。

愛犬は人見知りタイプ?フレンドリータイプ?

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滞在先では犬があまり接したことがない「人(両親・親戚など)」と「場所」という2つの新しい要素が重なります。犬のタイプによって慣れる過程や慣れやすさに違いがあります。

人見知り・場所見知りタイプ……人が苦手で知らない場所も怖い

普段から知らない人が苦手なタイプは滞在先の人に慣れにくい。場所は家族がいることで徐々に慣れることが多いでしょう。

フレンドリーで好奇心旺盛タイプ……人が好きで知らない場所でも積極的

人が誰でも好きなタイプは滞在先の人や新しい場所にも慣れやすい。知らない場所でも積極的に探検する犬もいます。

「人見知りタイプ」の滞在先での過ごし方

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人見知りで怖がりのタイプは、「慣れる=怖いものが平気になる」ことが目標です。

家に入る前に滞在先の人と散歩へ

室内(閉鎖的な空間)より屋外(開放的な空間)のほうが慣れやすいため、帰省先に到着したら犬を室内に入れる前に滞在先の人(両親や親戚)に同行を頼んで近所を散歩しましょう。

ふれあえば慣れると思わない

犬が滞在先の人に慣れるまでは無理に触らない、見つめないことが重要です。家族が付き添っているうちに少しずつ慣れてきたら、滞在先の人におやつをあげてもらいましょう。

写真提供:鹿野正顕

親戚の子どもには犬との接し方を教える

子どもが苦手な犬もいるので、最初は接触を避けたほうが無難です。飼い主さんが「うちの犬は知らない人が苦手だから静かに見守ってね」と犬の気持ちを理解し、思いやりをもって接することを教えることも必要だと思います。

「フレンドリータイプ」の滞在先での過ごし方

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写真提供:鹿野正顕

フレンドリーで積極的なタイプは、「慣れる=新しいものが当たり前になる」ことが目標です。

滞在先に入る前に気力体力を削る

知らない人や場所に興奮して吠えたり走り回ったりすることがあるので、帰省先の家に入る前に散歩や運動で気力体力を削っておくと落ち着きやすくなります。

はしゃぎすぎて予期せぬ行動をすることも

知らない人や場所に興奮してはしゃぎ、思いがけない行動をすることがあります。滞在先の人と接するときには飼い主さんが付き添ってください。

親戚の子どもと遊ぶときにはクールダウン

同年代の子どもが集まると雰囲気が盛り上がり、犬もつられて興奮しがち。遊んでいるうちに甘がみすることもあります。必ず家族が付き添い、犬が興奮する前に「はしゃぎすぎたから休憩させるね」と伝えて子どもから離しましょう。

帰省先に持っていくと便利なアイテム

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帰省中に慌ただしくなることが予想される場合は、犬を落ち着かせる2つのアイテムを持参しましょう。家族が犬を常に見ていられない、自由にさせられないシチュエーションで役立ちます。

写真提供:鹿野正顕

「ポータブルサークル」で犬の居場所をつくる

静かな場所に折りたたみ式の「ポータブルサークル」を設置して犬を入れておくと安心です。とくに人見知りタイプの犬は人が近づかないほうが落ち着けます。

写真提供:鹿野正顕

気晴らしができる「知育玩具」を使う

中に食べ物を詰めるしくみの知育玩具の「コング」などを活用しましょう。犬が時間をかけて食べるので退屈な時間が減り、気晴らしができます。興奮しがちなフレンドリータイプを落ち着かせるためにも有効です。

犬が体調を崩したときのために…

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帰省先で体調を崩したりけがをしたりする可能性があるので、事前に近くの動物病院を見つけておきましょう。とはいえ年末年始は休診の場合が多いため、獣医師による電話相談サービスを利用するのも一案です。

犬が家族以外の人や自宅以外の場所に慣れるには経験を積み重ねるしかありません。知らない人が平気な犬は知らない場所にも慣れやすいので、頻繁に帰省するのが難しい場合は「家族以外の人も怖くない」という経験を積ませる方法が有効です。本記事の「ふれあえば慣れると思わない」の項目を参考に、犬がいろいろな人と無理なく少しずつ接する機会を持ちましょう。

次回は、最終回。実際に犬連れ帰省をする飼い主さんに不安なことを聞いたアンケートのQ&Aや、新幹線で帰省する人の、新幹線に乗るときの注意点をご紹介します。お楽しみに。


 

【取材協力】

鹿野正顕(かのまさあき)

学術博士(人と犬の関係学)。株式会社Animal Life Solutions代表取締役社長。日本ペットドッグトレーナーズ協会(JAPDT)理事長。世界的なドッグトレーナーの資格であるCPDT-KAを取得し、犬のしつけ方教室「スタディ・ドッグ・スクール」の校長も務める。NHKをはじめテレビ出演多数、雑誌やWebの記事監修多数。

金子志緒
金子志緒

ライター/編集者。レコード会社と出版社を経てフリーランスになり、雑誌、書籍、Webの制作を行う。得意分野はペット、防災、医療、PRなど。甲斐犬のサウザーとおもしろおかしく暮らす。愛玩動物飼養管理士1級/防災士/いけばな草月流師範。

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