長文メールに対する反応
null

IT教育された世代
null

山田シャルロッテです。
「おじさん構文」「おばさん構文」という言葉がありますね。「自分の文章はそう言われるらしい」という情報がわかったとしても、ふだん当たり前に使っている側(おじさん、おばさん)は、「では、どう書けばそれを脱することができるのか?」が、意外とピンと来ない……ということ、ありませんか?
筆者はわからなすぎて、中学生の娘と、お互いの世代のメッセージを見せっこしたことがあります。事の発端は、ワイドショーで「おばさん構文」のニュースが流れたとき、娘が言った一言。
「あ、ほんとだ。(「おばさん構文」の特徴は)ママのメッセージと同じだね」
更に
「ママだけじゃなかったんだ? 大人はみんなこういう感じ(のメッセージ)なの?」
とも、たずねられました。
筆者は逆に、ニュースで扱われている例文を見てもなお、自分のメッセージにそこまでの特徴がある、という感覚が、いまひとつわからなかった。だって、ニュース上の例文は「明らかに長文(5行以上)+絵文字多用+ていねいな、対外向けメッセージ」で、ふだん筆者が娘とやりとりしている際には、せいぜい2~3行程度だからです。
で、娘に逆に質問。
「あなたたちの世代のメッセージとそんなに違う? ママのメッセージも、ふだんは長くないでしょ?」
「いや、ママのはいつもめっちゃ長いよ!」
それで、娘と「見せっこ」をし、ようやく、彼女の言っている意味がわかりました。
【中学生の娘と友達のSNS上のやりとりの特徴】
・2文以上のメッセージがほとんどない。
・「おけ」(←OK、と了解の意)、「まぢ」(←本当に?など、聞き返しの意)など、短縮表現が多く、10文字以下のメッセージの応酬が続く。
・情報を共有したいときはリライトせずに、スクショやリンク、写真で表示。
……で、スタンプはたまに使っているものの、レスポンスの速度重視(会話と同じ速さ)で、
・明かに会話の最後の速度が落ちてもいいタイミングで、すごく好きなキャラクターなどのスタンプを少々。
……という感じでした。
「主語と述語のある2~3行程度のメッセージすら長い」という感覚が、画面で見て、はじめてしっかり認知できた次第です。
……というわけで冒頭の疑問に戻りますが、「おじさん構文」はともかく、「おばさん構文」は、脱する必要がないと思いました。だっておばさん世代は、SNSメッセージを「会話と同じ」には使わないですよね。情報共有とか、対外的かつ、多少フォーマルなやりとりとして、大人同士で使うことがほとんどでしょう。こうしたケースでは、前後と行間に気遣いの入ったおばさん構文が適しています。
そしてたぶん、若い世代もそれはわかっています。若い世代が「『おばさん構文』の存在を指摘する」という行為に「それをバカにする、嫌う」というニュアンスが、必ずしも入っているわけではないのです。若い世代は「親しい人用」と「フォーマル用」のやりとりが、当然ベツモノである、という事も、ちゃんと意識しています。アカウントの使い分けなどは、その意味の区別としてやっている人もいるでしょう。それはある意味、大人世代と同じです。旧知の親友と職場の上司とでは、話す内容も言葉遣いも替えて当然、的な感覚です。
若い世代のネットリテラシーに関して、もうひとつ。娘世代は、友人間の写真のやりとりも、今回漫画に描いたような「顔隠し」で行っていました。共通のおでかけでのアルバム共有(ふつうに顔出し)と、自分だけの写真(顔隠し)の扱いを、明らかに分けていたのです。
以前、娘に着物を着せてあげた際、本人が友人たちに写真で報告したそうで。その際の写真の顔を、スタンプで潰してあったのです。で、友人たちも普通に、その状態の写真を見て「きれい!」「着物すてき」とレスポンスしてくれている。「顔は、個人情報の中でも最たるもの」という認識を、みんな当たり前に持っているんだな、と、感心しました。
大人世代も、そういう感覚は見習いたいですね。

ライター&イラストレーター・漫画家。1児を高齢出産後、都内で子育て中。
仕事をしながら子どものお稽古事やスポーツ活動の委員、PTA活動などもけっこう参加するので、ママ友多数。