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避けられないのなら…「PTAをやって良かったこと・悪かったこと」を経験者に聞いてみた

まもなくやってくる新年度。保護者懇談会でのPTAの役員決めを想像するだけでドヨーンと気分が沈む方は少なくないのでは? 近ごろ、物議を醸していているPTA活動。共働き家庭が増えている一方で、平日に集中する活動は、多くの親の負担となっているという声も……。

今回は、PTAの役員経験の男女167人にアンケート。卒業するまでに一度は経験するのであれば、デメリットだけではなく、メリットの面も知っておきたいところです。先輩たちのご意見を参考に、PTAのメリット・デメリットについて見ていきましょう。

PTAメリットの1位は「知り合いが増えること」

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まず、PTAの役員経験者が感じたメリットをみなさんのコメントとともにランキング形式でご紹介します。

1位・・・顔見知りが増える(36.0%)

「普段関わりのない人とも交流できる。積極性や自信が身につく」(37歳/女性/その他)

「パパ友が増えた」(35歳/男性/会社経営・役員)

2位・・・学校の様子がわかる(7.8%)

「会長職を引き受けた。学校の内部状況が把握できて有意義な1年だった」(56歳/男性/医師)

3位・・・やりがいがある(6.6%)

「小学校の役に立っていることを実感できる」(37歳/女性/総務・人事・事務)

「それなりに有意義」(70歳/男性/金融関係)

4位・・・先生と仲良くなれる(5.4%)

「情報が早く手に入り、先生と気軽に話せる」(61歳/女性/主婦)

「1年生で経験したため、先生方に自分の顔をすぐ覚えてもらえたことがメリット」(32歳/女性/主婦)

5位・・・情報収集ができる(4.8%)

「知り合いが増えて情報がもらいやすい」(36歳/女性/主婦)

「顔見知りが増え、子育ての悩みを共有できたり、情報を得られる」(28歳/女性/主婦)

PTAのメリットとして最も多くあつまった回答が顔見知りや“パパ友”“ママ友”が増えることで情報が入ってくるという点。地域に好きな人が増えてくると、自分が住む町にも少しずつ愛着がわいてきますよね。

また、PTA活動を通じて学校のことを知ることができたり、先生たちとフランクに語り合える機会があるとの意見も。学校は思いのほか閉鎖的な空間で、子どもたちが過ごす日常の風景を見られる機会は少ないのですが、現場の空気感が少しでもわかると、子どもの学校の話に寄り添うことできそうです。

また、活動中は大変でも1年を終えてみると、達成感や連帯感を得られるという声もありました。

デメリットの第1位は「時間がなくなる」

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続いて、PTAの役員経験者が感じたデメリットからご紹介します。デメリットの回答にこめられた熱量の方が総じて高かったのですが、多くはその負担感によるものでした。

1位・・・時間がなくなる(21.0%)

「家庭の仕事時間が減るので調理済みおかずを食べることがあった」(66歳/女性/主婦)

2位・・・仕事への影響(11.4%)

「仕事に影響がでる、休みを取らなきゃならない」(36歳/女性/主婦)

「会合のために仕事を休まなければならない」(37歳/女性/その他)

3位・・・活動を休めない(9.0%)

「夜の会議が多いので、子どもを留守番させなくてはいけないのが嫌です(子どもは連れてこないでくださいと言われたので)」(54歳/女性/主婦)

同3位・・・人間関係(9.0%)

「嫌いな人とも付き合わなければいけない」(58歳/女性/その他)

5位・・・負担が大きい/面倒(7.8%)

「ノーギャラでここまでやらなきゃいけないんだ、ということは常々感じました」(51歳/女性/主婦)

「面倒な活動が多い」(39歳/男性/研究・開発)

今回のアンケートでは、PTAの時間的な負担や仕事との両立に悩む声が多く見受けられました。定期的な活動だけでなく、資料作りやメール作成などで家庭での余暇を削らなければならないこともあり、子どものための活動なのに子どもとの時間が減っていくというジレンマを抱えた経験がある人も。

平日の活動や祝日や夜の会議など、家庭によっては参加が難しい活動があるにも関わらず、休みにくい雰囲気に疑問を感じている方も多くいらっしゃいました。

また、メリットの1位が「顔見知りが増える」だった反面、デメリットの3位は「人間関係」。人が寄り合えばどんな組織でも大なり小なりのトラブルは発生しますが、メンバーの巡り会わせはその年の運。トラブルの“当たり年”と任期が重なり、イヤな思い出を抱えている人もいるようです。

PTAのメリット、デメリットから見えてくるものは?

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今回のアンケートでは、PTA活動を通じて先生や保護者との交流を喜ぶ声がある一方で、負担や活動を休めないことに疑問を覚えている方が多く見受けられました。

1970~80年代の女性誌にも、PTA活動のあり方や負担を問う記事が書かれており、それは今、ネット上にあふれている記事と内容とさほど変わらず、新しいようで古い問題であるように感じます。

とはいえ、PTAが希薄になっている地域のつながりの起点として、「お互いに顔を見知っている」という安心感に一役買ってきた側面は否めず、かろうじてつながっている程度の細い縁が地域の安全維持に寄与している場合もあります。

 

学校や、就く役によっても負担感はだいぶ異なると思いますが、PTAを通じて無理のないつながりをつくりながら、様々な家庭があることを想定した柔軟な組織づくりが必要だと言えるのかもしれません。

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