大人もつい遊んじゃう! 子連れにぴったり「参加型展覧会」
null「あそびのじかん」展のテーマは、その名の通り「遊び」。遊びとは、単におもしろおかしく楽しむことだけではなく、新しい価値観や考え方、法則を発見するきっかけにもなる、生きていく上で必要不可欠な行為といえるでしょう。
参加作家6組の作品は、単に鑑賞するだけでなく、楽しんで体験していくうちにものの見え方や考え方が変わったりするのが特徴です。
人生の壁を体感してあそぶ!
まず、最初に展示されているのが開発好明(かいはつ よしあき)の『受験の壁』。壁一面に高くそびえ立つ巨大な壁は、受験生が感じるプレッシャーを表しているそう。
この巨大な壁、よく見るとタンスの集合体でボルダリングのカラフルなクライミングホールドが貼り付けてあります。なんだか不思議な光景ですね。
ちなみに、一番下のタンスまではよじ登ってOK! 手と足をひっかけて、ちょっと登ってみるだけでもなかなか力がいります。大人の方は、受験の大変さを思い出してしまうかも。
そしてこの壁のある部分には「裏口入学の扉」があり、壁をよじ登らなくても、壁の外側にある新しい世界へ行くことができるのです。
ただ、その新しい世界で私達を阻むのは、無数の難問が書かれている迷路。大きな壁を乗り越えても、困難は続いていく……まるで人生のようですよね。
これらは現代社会のある一面を風刺している作品なのですが、子どもにとっては、体全体を動かして楽しめる空間。大人と子ども、それぞれ違った楽しみ方ができるのもおもしろいですね。
いろいろなボタンを投げてあそぶ!
続いては野村和弘の『笑う祭壇』。ボタンを地面に引かれた枠線の外から投げ、枠の中央にあるちいさな台座の上に乗せるチャレンジを楽しむ体験型作品です。
床には参加者が投げた無数のボタンが散らばっており、それがまるで抽象画のよう。毎日たくさんの人達がボタンを投げているから、日によって見え方は変わっているのでしょうね。
お面をオリジナルにデコレートしてあそぶ!
タノタイガの『タノニマス』は、壁一面にお面(タノタイガの顔をかたどったものだそう)が飾ってあり、希望者がそれぞれ好きなようにデコレーションしていく作品(現在は整理券制です)。
展覧会開催当初は無表情で全部同じだったお面が、毎日少しずつカラフルに彩られたものに変わっていきます。展覧会終了間際は、さぞやにぎやかな空間になっているはず!
言葉のつみきで文章を作ってあそぶ!
nullそして、一番滞在時間が長くなりそうなのがTOLTAの『ポジティブな呪いのつみき』。側面にさまざまなフレーズが書かれた紙の箱が無数に置かれている空間で、この箱をつみきのように重ねて、文章を作って遊ぶ作品です。
誰もが納得するような名言を作ってみたり、シュールで笑える文章を作ってみたり、組み合わせは無数。おもしろい文章を親子で作ってみましょう!
「あそびのじかん」展は、鑑賞するだけでなく、体験したり、自分が作品を作ったり、作品の一部になったりできる展覧会。お子さんにとって、能動的に楽しむ、ひと味違った美術体験をすることで、今後多様な作品やアーティストに興味を持っていくことにつながるかもしれません。
そして、全ての作品が撮影OK。お子さんと一緒に作ったものや、印象に残った作品など、積極的にカメラにおさめてみてくださいね。
お子さん連れはもちろん、カップルや友人と来場する方も多いようで、大人だけでも気軽に楽しめる展覧会です。10月20日までの開催なので、気になった方はお早めに!