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来年閉館の原美術館で加藤泉展…ミステリアスで可愛い作品たちに出会う【ふらり大人の美術展#12】

国際的に注目される日本人アーティストのひとり、加藤泉。原始的で力強く、時にはミステリアスさも感じさせる加藤の作品は、ひと目見たら忘れられない力強さを持っています。今回は、原美術館で開催されている「加藤泉-LIKE A ROLLING SNOWBALL」をご紹介します。

インパクト大の生命体! 独自の作品を作り続ける加藤泉

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1969年生まれの加藤泉は、ドローイングや木彫の作品で知られているアーティスト。2007年にヴェネチア・ビエンナーレへの招聘がきっかけとなり、国際的に注目されるようになりました。

加藤の作品の特徴は、なんといってもその独特な生命体の姿! 人なのか? 人ではないのか? 大人なのか子どもなのか……見方によっては、土偶のようでも地蔵のようでもあります。

どのようにも解釈できるそのフォルムと表情、独特な色使いと形から、少々近寄りがたい感じもするのですが、よく見るととても愛おしい表情を浮かべている作品が多いのです。

最新作が69点! 元邸宅・原美術館ならではの展示風景

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今回、原美術館で開催されている「加藤泉-LIKE A ROLLING SNOWBALL」は、東京の美術館では初めてとなる大規模な展覧会。加藤の最新作を観ることができます。

当初は30点ほどの展示予定でしたが、作家のイマジネーションが膨らみ、新作がどんどん制作されて、最終的には69点になったのだそう。

そんな趣きのある空間に、加藤の作品群はとても自由に配置されています。ゆるやかなカーブを描く展示室に合わせて壁に並べられたり、階段に大きくかけられたり。

鑑賞しているとどこか暖かさを感じるのは、原美術館の空間のなせるわざなのでしょう。

1Fの元サンルームだった場所から、窓の外を見渡すと……、

木の俣の間から作品が覗いている!

その脇にも、ちょこんと座った作品が!

これらは原美術館の別館で、群馬県渋川市にある美術館 ハラ ミュージアム アークで見つけた石をペイントしたものだそう。

ドローイングからスタートし木彫を経た加藤の作品には、年々さまざまな素材が使われるようになり、最近では石やソフトビニールなどを素材としたものも増えてきているそうです。

展示室や階段の隅にも寝転んでいました。

そして2階の一番奥にある展示室では、作品が博物館の標本のように並べられています。透明な箱のなかに入っているだけで、作品の見え方や鑑賞者の捉え方が大きく変わってくるのだなと感じる一角です。

同時開催中の「ハラ ミュージアム アーク」では初期作品も

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この「加藤泉-LIKE A ROLLING SNOWBALL」は、上述の別館 ハラ ミュージアム アークでも同時開催中。加藤の初期作品から近年の作品を展示しており、2館の展示をあわせて観ると彼の世界をより深く覗くことができるでしょう。

因みに、ハラ ミュージアム アークは伊香保温泉の近くにあります。温泉旅行も兼ねて遠征してみるのもオススメですよ。

 

なお、原美術館は、残念なことに来年の2020年いっぱいで閉館が決まっています。
展示作品によって雰囲気を大きく変えるのがこの館の特徴。来年もいくつかの展覧会が予定されていますので、閉館まで何度も通って、表情を変える美術館の姿を楽しんでみてください。

【展覧会情報】

加藤泉-LIKE A ROLLING SNOWBALL

会場:原美術館

東京都品川区北品川4−7−25

会期:2019810日(土)~2020113日(月・祝)

開館時間:11001700/毎週水曜は2000まで(最終入館は閉館の30分前まで)

休館日:月曜(1014日、114日は開館、翌日休館)、年末年始(12月26日1月3日

最寄り駅:JR「品川駅」徒歩15分、京浜急行「北品川駅」徒歩8分、都営バス「反96」系統「御殿山」停留所下車、徒歩3

問い合わせ:03-3445-0651

 

会場:ハラ ミュージアム アーク

群⾺県渋川市⾦井 2855−1

会期:2019713日(土)~2020113日(月・祝)

開館時間:9301630(最終入館は閉館の30分前まで)

休館日:⽊曜(2020年1⽉2⽇を除く)、2020年1⽉1⽇

最寄駅:JR上越線「渋川駅」より伊⾹保温泉⾏きバスにて約15分、「グリーン牧場前」下⾞、徒歩5分。「渋川駅」よりタクシーで約10分。

問い合わせ:0279−24−6585

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