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【子どもと楽しむ美術展#4】巨大なピンクの猫「小林さん」!? 感じて考える現代美術「六本木クロッシング2019展」

美術館ライター 浦島茂世がご紹介する【子どもと楽しむ美術展】。#4は六本木の『森美術館』で2019年5月26日(日)まで開催されている、現代美術の“今”がわかる3年に1度の展覧会「六本木クロッシング」。シリーズ6回目となる今回は、子どもたちが思わず駆け寄ってしまうようなポップで親しみやすい作品も多く展示されています。親子で、現代美術の最先端を覗きに行ってみませんか?

上記写真:飯川雄大≪デコレータークラブ―ピンクの猫の小林さん―≫(部分)2019年/蛍光塗料、木材/550×675×70 cm/展示風景:「六本木クロッシング2019展:つないでみる」森美術館(東京) 撮影:木奥惠三 画像提供:森美術館

現代社会に向き合うヒントも…テーマは「つないでみる」

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「六本木クロッシング」とは、国内外の現代美術を幅広く紹介している『森美術館』が3年に1度開催しているシリーズ展。現在開催中の「森美術館15周年記念展 六本木クロッシング2019展:つないでみる」で、通算6回目です。今回のテーマは「つないでみる」。

「六本木クロッシング2019展:つないでみる」 展示風景

25組のアーティストが、対極にあるものや異質なもの同士をつないでみたり、そのつながりを可視化してみたり、“つながり”をテーマにさまざまな作品を制作しています。鑑賞していくうちに、次第に現代社会の重要な問題になっているさまざまな“分断”に向き合うためのヒントに気づけるかもしれません。

子どもたちに大人気! ビビッドピンクの「小林さん」

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とかく難しく思われがちな現代美術ですが、「六本木クロッシング2019展:つないでみる」では、ポップで感覚に訴えかけるような親しみやすい作品も多数。

飯川雄大≪デコレータークラブ―ピンクの猫の小林さん―≫2019年/蛍光塗料、木材/550×675×70 cm/展示風景:「六本木クロッシング2019展:つないでみる」森美術館(東京) 撮影:木奥惠三 画像提供:森美術館

今回とくに子どもたちに大人気なのが、エントランスの奥に見切れて見えるビビッドなピンク色の猫さん。この子はいったい何者なのでしょう?

こちらをじっと見つめているようでもあります。

横から見るとけっこう薄い! そして大きい!

飯川雄大≪デコレータークラブ―ピンクの猫の小林さん―≫2019年/蛍光塗料、木材/550×675×70 cm/展示風景:「六本木クロッシング2019展:つないでみる」森美術館(東京)撮影:木奥惠三 画像提供:森美術館

こちらは飯川雄大の≪デコレータークラブ―ピンクの猫の小林さん―≫という作品です。作品名にある「デコレータークラブ」とは、自分の体を海藻や貝殻で覆ってしまい、本来の姿を見ることができない蟹(カニ)のこと。

この小林さんも、写真を撮影しよう、全体を見てみようとしても必ず体のどこかが切れてしまい、全体像を決して捉えることができないのです。

他の作品の間からも「小林さん」が顔を覗かせる

と言われてみると、本当にそうなのかどうか確かめたくなるもの。お子さんと行かれたなら、ぜひ一緒に、またそれぞれに、色々な角度から小林さんを観てみてください。

お子さんも撮影にチャレンジ! 撮影OKの作品も

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ちなみに「六本木クロッシング2019展:つないでみる」は、一部の作品を除いて写真撮影OK、そして1分以内なら動画撮影も可能です。

お子さんにカメラを持たせて、好きに撮影した写真を見るのも楽しいはず。大人には考えられない角度や構図で撮影してくることも!

気に入った作品があったら、上から下から左から右から2〜3分かけてじっくり観察して、一番フォトジェニックなところを探して撮影してみるのもおすすめ。

作品を様々な位置や角度から観るくせをつけておくと、新たな発見や気づきを得る機会も増えるはずですよ。

親子で感じて考える…不思議でバラエティに富んだ作品群

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青野文昭は、身の回りにある破片を修復することを制作のテーマに据えている作家。

青野文昭≪なおす・代用・合体・連置―ベンツの復元から―東京/宮城(奥松島・里浜貝塚の傍らに埋まる車より)2018≫ほか/展示風景:「六本木クロッシング2019展:つないでみる」森美術館(東京)撮影:木奥惠三 画像提供:森美術館

≪なおす・代用・合体・連置―ベンツの復元から―東京/宮城(奥松島・里浜貝塚の傍らに埋まる車より)2018≫は、友人から譲り受けたベンツや軽トラックがタンスなどの様々なものと融合し、かたまりとなっている作品。
ひとつのかたまりのなかに、かつて別個で機能していたものの時間の流れが複数存在していることが感じられる、なんとも不思議な作品です。乗り物好きなお子さんは、惹きつけられることでしょう。

なんとも不思議といえば、アーティストユニット・目による≪景体≫も不思議な作品。海の“ある一瞬”を切り取ったもので、作品の向こうには窓があり、時間や天候によって作品の見え方が大きく変わります。

目≪景体≫2019 年/ミクスト・メディア/230×700×800 cm/展示風景:「六本木クロッシング2019展:つないでみる」森美術館(東京)撮影:木奥惠三 画像提供:森美術館

個人的に印象に残ったのは、毒山凡太朗の≪君之代―斉唱―≫。

毒山凡太朗 ≪君之代―斉唱―≫2019年/ビデオ・インスタレーション/サイズ可変/ビデオ:17分46秒/展示風景:「六本木クロッシング2019展:つないでみる」森美術館(東京) 撮影:木奥惠三 画像提供:森美術館

台湾で暮らす、日本統治時代を知る80歳以上の高齢者へのインタビューで構成された映像作品です。
彼らはいまも日本語が達者で、日本の国歌や、軍歌、教育勅語を暗唱することができます。そのことが何を意味するのか。お年寄りのみなさんの子ども時代、現在の子どもたちのこれからなど、観る者がさまざまな過去と未来について考えを巡らせられる作品です。

 

今回ご紹介した以外にも、バラエティに富んださまざまな作品を鑑賞できる「六本木クロッシング2019展:つないでみる」。お子さんと一緒に作品を感じて考えて、楽しんでみてください!

【展覧会情報】

森美術館15周年記念展 六本木クロッシング2019展:つないでみる

会場:『森美術館

東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階

会期:2019年2月9日(土)~5月26日(日)

開館時間:10:00〜22:00/火曜は17:00まで(最終入館は閉館の30分前まで)

休館日:会期中無休

最寄り駅:東京メトロ日比谷線「六本木駅」1C出口 徒歩3分(コンコースにて直結)、都営大江戸線「六本木駅」3番出口より徒歩6分

問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル)

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