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毎年1度だけ! 圧巻の国宝「燕子花図」が観られる「根津美術館」へ【ふらりと大人美術館】vol.7

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都会の中心にありながら、多くの国宝や重要文化財、美しい庭園を鑑賞でき、しかも名建築。さらには素敵なカフェもあるという理想的な美術館が青山にあります。その名は『根津美術館』。今回は、この新緑の季節にこそ訪れたい『根津美術館』とともに、国宝展示にまつわる日本特有の事情についてもご紹介します。
<上記写真:『根津美術館』 外観 (c)FUJITSUKA Mitsumasa>

青山の異空間! 大きな屋根が目印の「根津美術館」

東京都港区の地下鉄「表参道駅」から南に延びる「みゆき通り」は、有名建築家が手掛けたビルや高級ブランドの路面店が並ぶ、華やかながら落ち着いた通り。この通りをのんびり10分ほど歩くとたどり着くのが『根津美術館』です。

『根津美術館』で観られるのは、日本と東洋の古美術品。
東武鉄道の社長などを務めた実業家で、茶人、そして美術品のコレクターとして知られる初代・根津嘉一郎(1860〜1940)が収集したものが中心です。現在その数は、国宝7件、重要文化財87件を含む7,400点に及んでいます。

なかでも代表的な収蔵品が、江戸時代中期の代表的な日本画家・尾形光琳(1658〜1716)が描いた国宝『燕子花図屏風』(かきつばたずびょうぶ)。「琳派」の代表的な作品として、教科書にも掲載されている銘品です。

国宝『燕子花図屏風』尾形光琳筆 6曲1双 日本・江戸時代 18世紀 根津美術館

琳派とは尾形光琳の“琳”の字を取った日本美術の流派のこと。
京都で活躍していた俵屋宗達が元祖とされ、その作風を尾形光琳が発展させていきました。後に江戸で酒井抱一らが引き継ぎ、現在まで至ります。

『燕子花図屏風』は、琳派の作品のなかでも最高傑作のひとつ。 金地の屏風に群青と緑青でリズミカルに描かれた燕子花の群生は、本当に華やか。

多くの方は、本や雑誌、テレビなどで目にしたことがあると思いますが、ぜひ、一生に一度(とは言わず、何度でも)は生で鑑賞してほしい作品です。

控えめでありながらキラキラと光る金地と、それに負けない青と緑の鮮やかさは素晴らしいのひと言。そして、圧巻なのはなんといってもその大きさ! 初めて観る方は、作品の大きさと存在感にまず驚くはずです。

そして『根津美術館』では、燕子花が咲く4月中旬から5月上旬にかけて、この『燕子花図屏風』を毎年展示しています。
今年も「特別展 光琳と乾山 芸術家兄弟・響き合う美意識」(2018年5月13日まで)にて公開が始まっています。尾形光琳の弟である尾形乾山(1663~1743)のやきものも合わせて観られるそう。

『根津美術館』庭園のカキツバタ

ちなみに『根津美術館』は庭園も非常に美しく、『燕子花図屏風』を観た後は、本物の燕子花を庭園で鑑賞できます。庭園は、根津家私邸の頃とかわらぬ起伏に富んだ地形や湧水などを活かした設計で、アップダウンの激しさも特徴。

庭園内の茶室「弘仁亭」

「NEZUCAFÉ」

のんびり散策をしても意外と体力を使うので、庭を楽しんだ後は庭園内のカフェ「NEZUCAFÉ」でゆっくりと休憩しましょう。

燕子花の時期だけでなく、窓から鮮やかな紅葉を臨める秋もおすすめですよ。

館内のショップでは、『燕子花図屏風』をあしらったオリジナルグッズも充実しています。クリアファイルやマスキングテープのほか、そば猪口や折り畳み傘や長傘、御朱印帳などバラエティ豊かな品揃えで、おみやげにも自分用にもぴったりなアイテムが見つかりそう。

企画展を主に行っている1階に加えて、2階では茶道具などのコレクションを展示しています。

個人的におすすめなのは、中国古代の青銅器を展示している展示室4。青銅器がより美しく見えるよう、照明や展示ケースを特別にしつらえた専用ギャラリーです。

展示室4 「青銅器」

現在のところ世界に2体しか存在が確認されていないという、中国 湖南省で紀元前13~11世紀に作られた青銅器『双羊尊(そうようそん)』が展示されています。
一見すると、いかつい印象を受ける『双羊尊』ですが、羊の顔をよく見てみるとつぶらな瞳で表情がキュート。嬉しいことに『双羊尊』のオリジナルグッズも充実しているので、行かれる方はぜひチェックしてみてください!

入口までのアプローチ

また、『根津美術館』は建物も鑑賞ポイント。みゆき通りからも見える大きな屋根、そして敷地からエントランスまでのアプローチが印象的なこの建物は、現在建設中の『新国立競技場』を手がけている隈研吾(くまけんご)による設計。

館内に入ると、ガラス張りのロビーに庭園内の美しい風景が飛び込んできます。

エントランスホール

 

流行発信の地とも言われる大人の街・青山で、日本と東洋の古美術を楽しめる『根津美術館』。
日本を代表する至宝だけでなく庭園やカフェなどもあり、たっぷり楽しめてくつろげる場所です。ショッピングの合間にぜひ立ち寄ってみてくださいね。

【施設情報】

根津美術館

東京都港区南青山6–5–1

開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)

休館日:月曜、展示替期間、年末年始
※ ただし月曜が祝日の場合は翌火曜

最寄り駅:
地下鉄銀座線・半蔵門線・千代田線 「表参道駅」下車
A5出口より徒歩8分/B4出口より徒歩10分/B3出口より徒歩10分
都バス渋88 渋谷~新橋駅前行「南青山6丁目駅」下車徒歩5分

日本だけ!? 国宝はなぜ1年中見ることができないの?

パリの『ルーブル美術館』に行けば『モナ・リザ』や『ミロのヴィーナス』を、イタリア フィレンツェにある『ウフィツィ美術館』に行けばボッティチェッリの『春』や『ヴィーナスの誕生』を必ず観ることができるように、海外の美術館では“目玉作品”が1年中、鑑賞者をお出迎えしています。

けれども日本の美術館では、常設展であっても同じ作品をずっと展示し続けることはあまりありません。

上野の『西洋美術館』の入口にロダンの『地獄の門』があったり、『損保ジャパン東郷青児美術館』にゴッホの『ひまわり』が展示されているくらい。これはいったいなぜなのでしょうか?

大きな理由は、日本の気候と作品の素材。高温多湿な日本は、紙などで作られている作品にとっては非常にストレスフルな環境です。
また、顔料も光に弱いものが多く、ずっと照明にあたっていると日焼けや退色の恐れがあります。屋外の看板で赤の塗料が禿げてしまっていたり、ひなたに置いていた本が茶色に変色したりするのも光が原因。

ですから、作品を永く保存したい場合は、人のいないところでひっそりとしまっておくのが一番なのです。でも、これでは作品を観たい人の期待には応えられません……。

そこで、日本では大切な財産である美術品を守るため、文化庁が国宝や重要文化財の展示基準を定めています。基本的に年間2回延べ60日以内という制限で、これが期間限定展示になる理由のひとつです。
※ 前述のロダンやゴッホの作品は国宝や重要文化財に指定されておらず、また十分に耐久性があることから、設置者の裁量にもとづいて常設展示されています。

ですから、「観たい!」と思った国宝や重要文化財が展示されていたら、展示期間を必ずチェック、時間を調整して出かけましょう。特に国宝は、次にいつ観られるかわからない作品が多いので、貴重な機会を逃さないようにしましょう!

※ 画像の転載は一切禁止させていただきます

(※ 情報は2018年4月現在のものです)

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