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川島教授が警告! スマホが「子どもの成績を下げる」驚きの理由とは

あなたのお子さんは、LINE等のメッセージアプリやスマホを使用していますか?  便利な一方、これらのツールの使用が“成績を下げる”というデータが存在することをご存じでしょうか。今回は、ニンテンドーDS専用ゲームソフト“脳トレ”こと『脳を鍛える大人のDSトレーニング』でおなじみの東北大学加齢医学研究所所長・川島隆太教授の著書『頭のよい子に育てるために3歳から15歳のあいだに今すぐ絶対やるべきこと』(アチーブメント出版)を参考に、スマホやメッセージアプリが子どもの学習に与える影響についてお伝えします。

スマホの長時間利用は脳から学習内容を消す!?

川島教授の研究では、スマホの使用時間が長いほど子どもたちの成績が下がるというデータが出ています。厳密に言うと、スマホという形態に限らずインターネットを利用している時間が長ければ長いほど、成績低下に繋がっているというのです。

これは単純にスマホ利用が睡眠時間を削り、それが学力に悪影響を及ぼしている、ということだけではなく、睡眠時間とは関係のない部分にも原因があるのだとか。

実際に、2時間勉強した子どもたちがスマホを1日1時間以上使うことによって、ほとんど勉強していない子どもたちよりも悪い成績になっているという研究結果があり、子どもがスマホを長時間(1日1時間以上)使うと学校で勉強したことが頭の中から消えてしまう、という結論が導き出されたのです。

LINE等のメッセージアプリはさらに悪影響を与える

スマホの長時間利用が勉強内容を消すというデータも驚くべきことながら、さらにLINE等のメッセージアプリは“利用時間に関係なく”成績を下げるというデータが出ています。

<平成26年の調査からLINE等の使用時間と学力の関係を調べると、なんとLINE等は「使ったら、使った分だけ成績が下がる」というデータが出たのです。(中略)

統計的に因果関係の強さを調べても、LINE等の使用時間は、直接的に学力を下げる効果が強いことがわかりました。>

そこには勉強しているかどうか、睡眠時間をきちんととっているかどうか、ということは無関係だというので驚きです。

なぜスマホやLINE等は成績を下げるのか

動物実験のきかないスマホやLINE等については、その使用が成績に悪影響を及ぼすということがデータでわかっても、原因を科学的に調べることは困難だと川島教授は述べています。

とはいえ、原因を読み解くための研究として2つのヒントを提示しています。

(1)スマホやLINE等の使用で、脳が休息状態になっている

スマホを使っているとき、一見すると頭を使っているように見えても、脳の血流を計測する装置を用いた実験で実際に脳の中を調べてみると、脳は“ゆるみきった状態”になっているようなのです。

<脳も休息が必要ですから、ゆるませることは、もちろん悪いことではありません。ときにはリラックスすることも必要でしょう。

しかし、子どもは脳の発達期にあり、脳をしっかり使って鍛えていくことが重要です。スマホやLINE等の使用によって、脳が休息状態になる時間を長くするのは、悪影響が大きいと考えられます。>

成長期であるこの時期に脳を休ませてしまうスマホは、健全な成長の弊害になってしまうということですね。

(2)メッセージアプリの通知音が注意力の低下を招く

LINE等のでメッセージを利用すると、設定によってはスマホの着信音(またはバイブレーション)がなります。スマホユーザーは、この音を聞くと「誰かから意味のあるメッセージが届いた」と認識します。この通知が学習効果を削ぐことに繋がっているというのです。

検証実験では、学生に継続的な作業をしてもらい、その間に学生のスマホへメッセージを送ったり(通知音orバイブレーション)、アラームを設定してアラーム音(orバイブレーション)を鳴らしたりしました。なお、両者の通知は区別できる設定にしました。

すると実験結果では、アラームのときには学生の継続的な作業に対して変化は見られなかったのに対し、LINEが鳴ったときには、作業の情報処理や動作速度が遅くなり、注意力が低下したというのです。

意味のあるメッセージであるメッセージアプリの通知は、これほどまでに脳に影響を与えているのです。情報処理力を落とし注意力が散漫になる、これが成績低下につながるということは、想像するに容易いのではないでしょうか?

スマホとの向き合い方は子ども自身が決めるべき

川島教授は、脳の発達期にある子どもにとってスマホが及ぼす悪影響は大きいと指摘しています。

とはいえ「既に持っているスマホを使用禁止にするのは難しい……」と多くの親御さんが感じることでしょう。

川島教授が子どもたちに向けて行う講演会では、科学的なスマホのデメリットを伝えたうえで、スマホを使うメリットと比較してどう使うか自分で決めるよう伝えているそうです。

<子どもたち自身にスマホについて考える機会を与えれば、子どもたちはきちんと正しい道を選ぶ力を持っています。>

子どもが自分で決めた“スマホとのつきあい方”を見守る親は、同時に自分がスマホ中毒に陥っていないか見直したいところですね。

 

いかがでしたか?

これからの時代、スマホを持たないことは難しい生き方かもしれません。そうなると重要なのはスマホとのつきあい方。親子で一度話し合ってみてはいかがでしょうか?

(ライター 沖田かへ)

 

【参考】

※ 川島隆太(2017)『頭のよい子に育てるために3歳から15歳のあいだに今すぐ絶対やるべきこと』(アチーブメント出版)

2017/7/12 WooRis掲載

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