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「私に丸投げしないで!」と感じる育児のモヤモヤは?妻たちが選ぶ、負担に感じる“見えない育児”まとめ

「料理」や「洗濯」といった具体的な名前は付いていないけれども、生活をする上で欠かすことのできない「名もなき家事」。この言葉は近年すっかり定着し、夫婦間の家事分担の在り方を見直す1つのきっかけにもなったように思えます。

そんな「名もなき〇〇」は、育児全般にも多数ありますよね。夫と分担できず、「丸投げされている」とモヤモヤすることも少なくないのではないでしょうか?

そこで今回『kufura』では、子どものいる既婚女性65人にアンケート調査を実施。任せっきりにされて負担に感じている「見えない育児」について聞きました。

受診できる時間が勤務時間と被る…「子どもの病気」

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子どもが小さいうちは体調を崩すことが多く、病院通いは欠かせません。さらに健康な場合でも、予防接種の予約やスケジュール管理などもあります。しかし夫が「会社を休めない」と言って、なかなか対応してくれないケースがかなり多いようです。

「子どもの病院の送迎や予約は全部私がしている。もう少し気にかけてほしいです」41歳/主婦)

「息子が病気になったとき、私が仕事を休むことが多く、負担が偏っていると感じる」(34歳/研究・開発)

「子どもに熱が出ても、夫は病院に連れていってくれない」45歳/その他)

「子どもの予防接種。接種前の健康管理や、注射が嫌で泣くのをなだめるなど、大変なことばかり」56歳/主婦)

車での移動ができない場合、体調が悪い子どもを病院まで連れて行くのもかなり大変です。車があっても駐車場がなかったり、運転がそもそも苦手だったりといった人も多く、夫婦で分担したいところ。

小児科の診療時間は午前中から夕方までということが多いので、仕事を休みづらいというのも事実でしょう。夫婦の片方だけが働いている場合、偏りがちになってしまうのもわかります。それでも、せめて状況を常に気にかけたり、休日に通院する際は積極的に連れていくようにするなど、ちょっとした行動で印象は大きく変わります。

母親1人で…という時代にあらず!「学校・園などの対応」

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PTA関連の当番や役員、さらには日々の連絡帳や宿題のチェックなど……子どもを学校や保育園・幼稚園に通わせると、さまざまな親の役割が求められます。

長年日本の学校や園ではその役割を“母親”がこなすことが多くなっていましたが、現代は共働き家庭も多数。もはや父親も一緒に役割を担うべき時代といえますが、一昔前はその感覚が理解できない父親も多かったようです。

「学校の行事はすべて私が行っています。当時は共働きでしたが、子どもの体調不良で保育園、幼稚園、学校を欠席した時も私が仕事を休んでました。不公平!」46歳/主婦)

「子どもが学校の宿題でわからない問題が出た時でも、夫は知らん顔でテレビを見ていました」52歳/主婦)

「子どもの三者面談や授業参観、行事に関する学校関係のことです」50歳/総務・人事・事務)

「保育園からのお知らせ類をすべて私が読んで管理している。なぜかそれが当たり前になっていて、感謝もされない」(34歳/コンピュータ関連)

「子どもが小さい時は、学校からの連絡(ケガや体調不良等)の対応が大変でした。共働きで同じような仕事をしていましたが、ほとんど私が対応していました」58歳/総務・人事・事務)

筆者には高校生と小学生の子どもがいますが、高校生の子が小学生当時は、確かに学校関連の行事等で父親の姿はほとんど見かけませんでした。しかし現在小学生の子どもの行事では参加する父親の数もすごく増えています。時代は確実に変わりつつあるということは言っておきたいです。

母親1人で決めるのは荷が重い「教育方針について」

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学校関連の「見えない育児」でありがちなのは、子どもの宿題の見守りや丸つけ、音読の宿題のチェックなど。しかし子どもの教育全般で妻には「こうなってほしい」という理想があるけれど、その理想が夫婦で共有されていない。そんなケースは多いようです。

「子どもの教育に関して協力してくれないところ。勉強の大変さを知らないので、子どもが勉強しやすい環境を整えたりしてくれない」40歳/主婦)

「教育面で甘すぎるので、もっとしつけに協力してほしい」44歳/デザイン関係)

「子どもの教育に関して。進路についての悩みを1人で解決しないといけないことが大変です」48歳/主婦)

「子どもの勉強。点数が悪かったら注意してほしいのに、“頑張ったね”と言うのをやめてほしい」43歳/主婦)

このケースは夫が悪いとは一概に言えず、まずは夫婦で子どもの教育の在り方について話し合ってみるのが大切ではないかと感じました。子どもの教育に正解はありませんが、まずは夫婦の足並みをそろえたいところです。

大きくなってもついてまわる「習い事のサポート」

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現代の多くの子どもは学校以外にも、さまざまな習い事を行っています。そこで発生するのが習い事の場所までの送迎や、場合によっては活動中の引率など。月謝を払っているからすべてお任せというわけにもいかないようです。

「習い事の送迎。食事の準備等で忙しい時間なので」54歳/主婦)

「サッカースクールの保護者との付き合い。意外と神経をすり減らすコミュニティだから、一緒に関わって欲しい」43歳/主婦)

「習いごとでつまずいたとき、子どもと向き合って話をしてほしい」59歳/主婦)

「高校生の娘の塾の送り迎えをたまにはして欲しい」51歳/主婦)

子どもが中学生や高校生になると受験を控え、多くの子どもが学習塾に通います。もう大きいので自分だけで通えるかと思いきや、夜遅くなると防犯上の不安もあります。やはり送迎は必要となり、大きくなっても子育ては大変です。

見守るだけで何もしていない…?「乳幼児の子育て」

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「子育てで大変なのは子どもが何歳のころ?」と聞かれても人によって答えはさまざまだと思いますが、放置すれば命を落としかねない乳幼児期の大変さはやはり別格。その大変な時に「夫が協力的ではなかった」という恨みをずっと抱えている人は多いようです。

「全てワンオペだったので、年子のお風呂は1人で2人お風呂に入れて着替えさせてと大変だった。買い物も2人抱っこしてカートを押して支払いからの持ち帰りで腕がちぎれそうだった」59歳/総務・人事・事務)

「息子が赤ちゃんの時、一度もおむつを替えてくれた事がなかったです。こっちが忙しくしていて、夫がテレビを見ながら寝そべっている時も“おむつ匂いするよー”という報告だけして知らんぷり。本当に腹が立っていました」55歳/主婦)

「子どもがぐずっているときに、自分で対処しない」39歳/その他)

「子どもの見守り。何もしていないと思われるのが苦痛」44歳/総務・人事・事務)

「子どもの見守り」と一口にいっても、乳幼児は子どもが危険なものを口に入れないか? 子どもが落下しないか? といった注意をつねにしつつ、泣いたらオムツをかえて授乳やミルクを与えるといったことが必要となります。それを「何もしてない」と言われたら、確かにキレますね……。

そのほか、こんな不満も…

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「育児全般。関心があるのか疑問」44歳/主婦)

「子どもや家族の写真・動画の管理を全くしてくれない」49歳/総務・人事・事務)

「いろんな場面での最後の決断」69歳/学生・フリーター)

人生にはさまざまな最後の決断が必要です。子どもに関してもそれは同様で、そこを放棄するのは確かに妻としてはモヤモヤしますよね。それで後で「なんであの時こんな決断をしたんだ」と文句を言われたら……考えただけで恐ろしいです。

 

とはいえ上記でも述べた通り、ここ10年で夫婦間の子育てに関する価値観はかなりアップグレードされていると感じます。かつては「妻がやって当たり前」だったことも少しずつ夫が担う場面が増えていますし、筆者が小児科へ子どもを連れて行ってもパパの姿は多く見かけます。

もちろん「昔こんな育児をしてくれなかった」という恨みを抱えている女性は大勢いるかもしれませんが、時代は巻き戻しできません。当時の「妻がやって当たり前」の価値観を今の時代に持ち込まないよう、子育てを退いた世代は「昔はこうだった」ということをなるべく口にしない。そんな心がけが必要になってくるのかもしれませんね。

高山恵
高山恵

東京都出身、千葉県在住。短大の春休みより某編集部のライター見習いになり、気が付いたら2022年にフリーライター歴25年を迎えていた。現在は雑誌『DIME』(小学館)、『LDK』(晋遊舎)などで取材・執筆を行うほか、『kufura』などWEB媒体にも携わる。

執筆ジャンルは、アウトドアや子育てなどさまざま。フードコーディネーターの資格も持つ。

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