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離婚の前に知っておきたい!「養育費」を受け取っている母子世帯は実際何%?意外な実情とは

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1年の中で、離婚がいちばん多いのが、実は3月といいます。4月から心機一転してスタートを切ろうという心理が働くからかもしれません。

もしいま、次のスタートを考えて離婚の準備をしているという方は、養育費についてはどのように考えていますか?

養育費は、子どもを育てていくうえで重要なお金です。養育費が踏み倒されたらどうするかなど、養育費全般について無料相談に応じているNPO法人『conias(コニアス)』の代表理事の岡秀明さんと、ここに参加している弁護士の生田秀さんに、知っておきたい養育費の問題について聞いてみました。

慰謝料との違いは?養育費を受けているのは約24%の母子だけ

2016年の離婚件数は、約23万件。しかし同年の厚生労働省の「全国ひとり親世帯等調査結果」によれば、養育費の取り決めをしている母子世帯は42.9%。そのうち現在も継続的に養育費を受け取っているのは、24.3%(父子世帯の場合は3.2%)にすぎません。

母子世帯の平均就労年収が約200万円(父子家庭は398万円)ということを考えると、月々支払われる養育費は、母子世帯にとって貴重な収入です。

養育費と慰謝料の違い

養育費と慰謝料を混同している方がいるかもしれないので、説明しておきましょう。慰謝料は精神的損害を受けた苦痛に対して支払われる“賠償金”なのに対し、養育費は子どもの衣食住や教育のための費用で、未成熟子を育てている親が、もう一方の親に対して請求できる費用です。

養育費を受け取る期限は大学卒業する3月までとするケースや、高校卒業後働くときには卒業と同時に養育費が終わるケースもありますが、基本的に子どもが成人する月まで支払われます。日本では、養育費に対する関心があまり高くないため、請求されなければ「逃げ得」と考える人もいるようですが、アメリカでは未払いがあるとペナルティーが課せられるなど、厳しい対処をしているそうです。

「別れたい一心だったけど…子どもの将来を思うと養育費を請求したい」

(左から)弁護士の生田秀さんと、代表理事の岡秀明さん。

養育費を子どもの貧困や格差にもつながる危機的な問題としてとらえ、養育費相談をはじめたのが、前出の『conias』です。

『conias』では、webサイト経由で相談を受け付け、参加している弁護士が調査を開始し、養育費を相手に請求し成功したら、依頼者が弁護士に報酬を支払うという養育費回収の支援を行っています。

―2016年から開始した相談は、どのようなものが多いですか。

「相談は大きく分けて二つ。一つは、別れたい一心で養育費に関して取り決めをしないで協議離婚してしまったが、養育費を支払ってもらいたいという相談です。離婚をして自立するべく精一杯頑張ってきたけれども、落ち着いて考えると子どもの将来が心配。小中高、そして大学進学に際して、少しでも養育費を支払ってほしいと。

もう一つは、離婚調停で養育費を取り決めたけれども、踏み倒されて払ってもらえないので、どうしたらいいでしょうか、という相談です。公正証書を作成したものの、個人の力では差し押さえの強制執行まではできない、という方がほとんどです。

こういった相談に対して、登録している弁護士につなげるためのプラットホームでありたいと考えています」(岡さん)

子どもから「お母さんばかり苦労している」と養育費請求の相談も

『conias』が実施した、「養育費実態調査アンケート」によれば、相談の大半が、離婚後数年の30代、40代の女性で、子どもは就学前から中学生まで、という女性たちです。

中には、未婚シングルマザーから「認知してもらっていないが、養育費はもらえないか」という問い合わせがあったり、50代の母親から「取り決めをしないで離婚した。子どもは大学生でこれまで養育費をもらってこなかったが、さかのぼって養育費をもらえるか」という問い合わせも。

さらに専門学校に通う子ども本人からも「お母さんばかり苦労している。養育費を何とかもらえないか」との相談もあるといいます。

「なぜ養育費の取り決めをしなかったのか」の問いには「相手と関わりたくなかった」「相手に支払う能力がないと思った」を理由に挙げ、養育費の約束をしていても「口約束だったので、これまで支払いを受けたことがない」という女性もいたそうです。

実態調査によると、受け取っている養育費の平均は、月額3万7,000円。少ない人で1万円、多い人で7万円と金額には開きがありました。

―無料相談ということで、問題解決の着手金がいらないそうですが。

「通常、弁護士に依頼して養育費請求を行う場合、10~30万円の着手金が必要です。ひとり親にとって、この着手金のハードルがとても高いのです。弁護士に依頼して着手金を払い、さらに調査をしていく段階で追加費用の実費が必要になってくる可能性もあります。そこで、『conias』では初期費用無料で、解決したら成功報酬を受領するという形で相談に乗ってもらえる弁護士と提携しています。

相手方からの養育費は、いったん弁護士の口座に振り込まれ、成功報酬と実費を引いた金額を相談者に支払うというシステムです。養育費の遅延や停止が頻繁に起こりがちですが、弁護士の口座を経由するので、その後の様子も追跡できます」(岡さん)

離婚前に取り決めをしていなくても請求はできる

実際にあった相談の中で、養育費の取り決めをしないで離婚してしまったケースについて、生田弁護士に教えてもらいました。

―なぜ取り決めをしないで離婚してしまったのでしょうか。(以下「」内、生田さん)

「アンケートでも分かっているのですが、相手方からDV被害に遭っていた、自分から離婚を言い出したので養育費について言い出しにくかった、養育費に関しての知識が足りなかった、など理由はさまざまです。とりあえずは別れて、養育費についておいおい話し合っていけばよいと思っていたら、相手方が携帯電話の番号を変えて音信不通になってしまったケースもありました。

しかし養育費の取り決めをしていなかった場合でも、離婚後に請求することは可能です。生活保持義務といって、親は未成熟の子どもに自分と同程度の生活をさせる義務が民法で定められています。離婚して親権を失っても、その義務は消えません。請求する場合は、日付の入った書面や電子メール、内容証明郵便などを使い、証拠が残る形で請求します。両親が話し合える状況ならば話し合う。

具体的な取り決めがなかった場合は、養育費は請求した時点から後の部分について認められるのが通常ですので、請求するなら一刻も早く請求することが必要です」

―話し合いや相談が成立しなかった場合は、どうしたらいいですか。

「金額で合意しなかったり、支払いを拒んだら、家庭裁判所に調停を申し込みます。調停委員を交えて話し合うとスムーズにいくこともあります。調停での結論は裁判の判決同等の効力を持ちます。

中には相手が調停に出席せずに話が進まないこともあります。決着に至らない場合は、審判という手続きに進む必要があります。話し合いがうまく進みそうにない場合は、弁護士に依頼した方がスムーズに進むかもしれません」

 

養育費負担の義務は、離婚後も消えません。子どもが成人に達するまでの費用は莫大なので、臆せず対応していくことが大切です。

次回は引き続き、養育費を踏み倒されたときの対処法について、お話を聞いていきたいと思います。

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