『kufura』編集部は、30~60代の既婚男女(男性446人・女性228人)にアンケートを実施し、夫婦の卒婚願望についてお聞きしました。
回答内容は【夫編】【妻編】の2回に分けてお届けします。
前回の【夫編】に引き続き、今回は妻サイドの卒婚願望について探っていきます。
33.7%の既婚女性が「卒婚」に前向き
nullまず、既婚女性228人に卒婚願望を抱いているかどうか、質問しました。
“卒婚”の意味を「婚姻関係にある夫婦が互いに必要以上に干渉することなく、自由を認め合って、最低限のルールを守り、ゆるやかなパートナーシップを築いていくという新しい夫婦像のこと」と説明したうえで、回答していただきました。
【卒婚したいと思う?】
「卒婚」したいとよく思う・・・9.6%
「卒婚」したいと時々思う・・・24.1%
「卒婚」したいと思わない・・・57.9%
現在、実際に「卒婚」状態にある・・・2.2%
「卒婚」ではなく「離婚」したいと時々思う・・・3.1%
「卒婚」ではなく「離婚」したいとよく思う・・・3.1%
「卒婚したいと時々思う/よく思う」と回答した年代別の割合を見ていくと30代が3.9%と少数派。40代は35.2%、50代は37.1%、60代は31.1%となっています。
男性も40代~50代の卒婚願望が高くなっていました。
卒婚に前向きな人の中で、夫と話し合いをしたことがある人は22%でした。
「卒婚したい」と考える理由は?
null続いて「卒婚したいと時々思う/よく思う」と回答した女性の声を年代別にまとめました。
【30代の声】
「将来はお互いもう少し自由になってもいいのかなと思う。少し離れていた方が仲良くいられるから」(32歳・広報宣伝)
「子どもが全員家から出たら、少しずつ自分だけの時間を増やしていきたい。自分が自由に使えるお金を増やしたいので、少なくても安定した収入を得られるようにしたい」(33歳・主婦)
【40代の声】
「子育てが一段落したら、お互い実家がそれぞれ遠いので、私は実家で両親の介護をしたい。旦那は好きなように生きてくれたらいい」(40歳・主婦)
「離婚までは考えていないけれど、それぞれの趣味や昔あまり行けなかった旅行など個々で人生を楽しむのもいいのかなと思います」(41歳・その他)
「子育てが終わったら、お互いに干渉せずに、自分の好きなことに打ち込みたいから」(44歳・主婦)
「子育てが終わりに近くなると、夫といつも一緒に行動する必要性がわからなくなる時がある。趣味や友人のいない夫といてもつまらないと感じることがある」(47歳・技術職)
「夫は田舎暮らしを考えているけど私は田舎暮らしは考えられないので、週末婚ぐらいにしたいと思っている」(48歳・主婦)
【50代の声】
「自分のことは後回しになっているので、自分の気持ちに正直に、もっと自分をいたわりながら自由に生活してみたいです」(50歳・主婦)
「私はBTS、旦那は剣道、お互い好きなことをしたら良いと思う……。サッカー観戦という共通の趣味はあるので、それ以外は自由が欲しい!」(52歳・主婦)
「ずっと別居となるとお金がかかるので難しいです。でもたまに夫の目が届かない場所で羽を伸ばしたい」(53歳・主婦)
「義実家とかかわりたくないので子どもが独立したら離婚したいが、旧姓にもどるといろいろと手続きが面倒なので、卒婚の方が手間がないかなと思うから。夫が先に死んだら死後離婚する予定」(56歳・主婦)
「卒婚したいと切実に思っていますが、姑さんの介護問題があり、そこをクリアしなければ難しそうです。病院の送り迎えなど、できそうなことから少しずつ主人に振っているところです」(56歳・主婦)
【60代の声】
「24時間家族のために尽くしてきたので残りの人生は自分のために使いたい」(60歳・主婦)
「子ども中心の世界から解放されたらお互い干渉しない生活をするのもよい方法だと思っている。違う土地に住みたまに会うのも互いに新鮮で関係も良くなるのではないか」(65歳・技術職)
「子どもの独立とともに、自分の時間は全部自分で使いたいと思うようになった」(66歳・その他)
育児負担の大きい30~40代の女性は、子どもの巣立ちを夫婦関係の変化の1つの節目だと考えている人が多く見られました。夫婦間の密な支え合いが必要なステージから別のステージに移るとき、新たな関係性に思いを馳せる日がやってくることもあるようです。
50~60代の女性の回答は、卒婚後の“自由のさじかげん”を探る様子が見られます。
「卒婚」でも「婚姻継続」でもなく「離婚」をしたい理由
null一方で、卒婚ではなく離婚を望む人の回答からは、解決の難しい問題や強い不満が感じられるものが目立ちます。
「不倫されて夫への愛情がないため。現在、離婚調停中」(31歳・主婦)
「卒婚するくらいなら、離婚でいい」(39歳・その他)
「借金問題」(59歳・主婦)
夫サイドでも同様の傾向が見られましたが、“卒婚”という関係を実現させるには、建設的な話し合いに耐えうる夫婦関係が必要なのかもしれません。
以上、今回は既婚女性の卒婚願望についてお届けしました。
“卒婚”という言葉は、“自由”や“個”“新たなパートナーシップ”など、耳障りのよいメリットを伴って使われています。
現在、育児や介護などの責任を共有している夫婦にとって、“卒婚”は現実的ではないケースも多いようですが、30~40代の女性からは「子育てが終わったら自由にやりたいことをやりたい」「生活が落ち着いたら夫婦それぞれやりたいことをやりたい」という声が聞かれました。
一方、介護や育児がひと段落した50~60代の女性からは、家族のために尽くしてきた分、自分の人生を歩みたいという前向きな声が多く聞かれます。
いずれ家族のライフステージが変わることを想定して「どんな関係性でありたいか」「どんな生活様式を望んでいるのか」というテーマで意見をすり合わせておくことは、大切なことであるようです。
おそらく“卒婚”というネーミングから、夫婦関係にピリオドを打つことを連想する人もいると思いますが、“夫婦関係のアップデート”と考えた方が話し合いがスムーズに進みそうです。