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居場所をなくした子が頻繁に家へ来るという声も…「小4の壁」3割の親が実感。様々な悩みが重なるケースも

小学校の6年間、子どもを取り巻く環境にさまざまな変化が起こりますよね。変化を受け入れるための負荷は、1人ひとり異なりますが、親と子にとって多くの“節目”が重なりやすいのが、小学4年生だといわれています。

「学童を退所して、長期休みの居場所がなくなった」
「友人関係が複雑になった」
「勉強が急に難しくなった」

そんな声がにわかに大きくなる小学校高学年の入り口。子と親が環境の変化に適応していくために生じる困難を「小4の壁」と呼ぶことがあります。

今回は「小4の壁」を体感した保護者の声をご紹介します。

3人に1人の母親が何らかの「小4の壁」実感。その理由は?

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『kufura』編集部は、小学校4年生~18歳の子どもを持つ女性93人にアンケートを実施。小学4年生に進級後、何らかの困りごと(「小4の壁」)に直面した経験があるか、質問しました。

【「小4」の壁を感じたことがあるか?(回答者:小4~18歳の子どもがいる母親)】

「小4の壁」を強く感じたことがある・・・14人(15.1%)
「小4の壁」を少し感じたことがある・・・20人(21.5%)
「小4の壁」を感じたことがない・・・59人(63.4%)

今回のアンケートでは、約3人に1人の母親が「小4の壁」を体験していました。

「小4の壁」を感じた背景や、どのような対策をしたのか、自由回答でつづっていただきました。

大きく分けて4つの困りごとが寄せられました。

1:「放課後」「長期休暇」の過ごし方の困りごと

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今回のアンケ―トで最も多かったのが、共働き家庭の子どもの放課後・長期休暇の過ごし方についての回答でした。

こども家庭庁が発表した『令和5年 放課後児童クラブの実施状況』を参照すると、学童(放課後児童クラブ)の登録児童数は右肩上がりに増加しており、それに伴って待機児童も増加傾向にあります。

そして、例年、最も待機児童数が多いのが小学校4年生です。

学童の退所時期は自治体や利用している学童によってバラつきがありますが、仲の良い友人が退所するなどして、子ども自身が退所を望むケースも増えるのがこの時期。

そうした状況を踏まえると、以下の回答の解像度が上がるのではないでしょうか。

学童が終わり、家で過ごすことへの不安があった。祖父母に頼んだり、家に友達を連れてきて家で遊ぶようにした」(49歳・公務員)

学童のサポートが終了し共働きだったから放課後に1人にさせるのが心配でした。学習面のつまづきが見られたので公文に通わせたところ、子どもに新しい友人が出来たり成績も伸びたので通わせて良かったと思う」(50歳・総務・人事・事務)

友人関係と学童。学童は3年生までで、長期休暇の日中を1人で留守番させるのが心配だった。学校でのできごとをなるべく聞くようにしている。お金に関しては友人と金銭トラブルがあったのでしつこいくらい注意した。キッズ携帯を持たせて、長期休暇中何かあったらすぐに連絡できるような体制にした」(37歳・総務・人事・事務)

小4になって学童が終了したこと。友達で協力して順番に家に集まる」(49歳・金融関係)

子どもがトワイライト(編集部注:放課後の子どもの居場所の固有名詞)に行くのが嫌だといい、長期休みの預け先に悩んだ。友達の家に遊びに行けるようにお願いできた」(40歳・主婦)

放課後、長期休暇に過ごす場所としては、自宅で留守番、祖父母、習いごと、地域の友人宅などの回答が寄せられました。特に、夏休みの居場所や、何かトラブルが起きたときの対応法に頭を悩ませる人が多くなっていました。

いくつかの居場所を組み合わせて、メリハリをつけながら「なんとか乗り切った」という声が寄せられています。

◆居場所がなくなった子が頻繁に自宅にくる…という声も

勤務時間の長い回答者からは「居場所がない」という声があった一方、親の在宅率が高い家庭からは、学童を退所した子どもが頻繁にやってくるようになったという「小4の壁」もあり、この問題の根深さがうかがえます。

それまで学童に行っていた子が、小4で我が家を頼ってくるようになるのはキツかった。よその子がうちを頼って来すぎるので、あえてパートに出かける。ダメなときはダメという」(42歳・主婦)

4年になると、暇を持て余した友達が遊びに来るようになった。親の連絡先がわからない子、菓子をこぼす子、帰りたがらない子、室内でボール遊びする子、勝手にWi-Fiつなぐ子、いろいろだったなぁ……。受け入れる負担もあるので、おもてなしはしない。無理なときは臆せず断って、よその子にもガンガン叱ってた。子は楽しそうだったが、あれはうちの小4の壁だった」(42歳・パート勤務)

“持ちつ持たれつ”であれば、公平感がありますが、友達を受け入れる機会が増えた家庭が不満を募らせるケースもありました。

公園や児童館など、大人の目にゆるく見守られながら気軽に安全に集える場所があれば、いいのでしょうが、住んでいる地域によってはなかなか難しいのかもしれません。

2:人間関係の困りごと

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続いて、子どもが直面した友人関係の悩みです。

行動が自由になり、友達とのトラブルが増えた。よく話を聞いて自分がいやなことは友達にはしないように諭した」(46歳・主婦)

子ども同士の人間関係が複雑になってきて、トラブルが生じやすくなった。塾に通い始めて、学校以外の友人ができて子どもの視野が広がった」(47歳・主婦)

仲良しグループでのもめごとが多い。“去るもの追わず”で、つねに数人以上と仲良くし、1人とうまくいかなくなっても、他にも友達がいる状態にするよう勧めた。いつも2人きりでいると、もめごとなりやすいが4人くらいだとけんかになりにくくなった」(51歳・主婦)

小学校高学年に差し掛かる頃は、閉鎖的な仲間集団が発生し、仲間内の独自ルールや決まりが生まれやすい時期だと言われます。

アンケートでは“何か”が起こったときに備えて日ごろから親子の会話をして空気感を把握しておく、人間関係の心得を伝えておく、学校外の居場所作りをサポートするなどの声が寄せられました。

3:学習面の困りごと

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高学年になると、低学年で積み重ねてきた知識や思考力を活用する場面が増えてきます。学習の難易度が上がり、親と子が戸惑った経験もつづられていました。

一気に勉強が難しくなってついていけなくなってしまった。じいちゃんにお勉強を教えてもらった」(39歳・その他)

勉強が一気に難しくなり、挫折しかけた。子どもと一緒に問題を考えて理解度を深めた」(37歳・その他)

クラス内の人間関係や勉強で求められるレベルが上がった。授業態度や提出物の件で周りから注意されることが増えて、子どもがちょっと荒れた。担任の先生とこまめに連絡を取り合いながら見守った。10歳の誕生日を迎えたことをきっかけに自覚が生まれたようで、自分から課題に取り組むようになった」(43歳・その他)

学力の差が大きくなってくる時期です。

例えば算数1つとっても、目的に合った計算方法を考える場面が増えてきます。四則演算の基礎ができていないと解けない問題も多く、基礎に立ち返る必要性を実感することもあるようです。学習面のつまづきの対策としては、通塾、家族によるサポート、地域の無料塾といった回答がありました。

4:子どもの情緒についての困りごと

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比較的、身体面の変化と比べて、外からは見えにくい情緒面の変化に戸惑う母親の声もありました。

精神面での成長なのか口数が少なくなった。勉強も難しくなり、分からない問題があったり、学校でもクラブが始まり遅く帰る日も出来て機嫌が悪く感じた時期があった。怒らないように無理に聞こうとしないようにした」(37歳・その他)

学校に行きたくないといい出したのがそのころ。一緒に登校して、子どもの話を聞いた」(53歳・主婦)

友達とのトラブルが起こったり、大人に嘘をつくようになった。カウンセリングをうけた」(40歳・公務員)

少しずつ変わっていくクラスや仲良しグループの空気に戸惑う子も少ないようです。子どもの安心感が戻ってくるように、話をじっくり聞く機会を増やしたという回答があったほか、スクールカウンセラーや専門機関に相談した事例もありました。

 

今回は「小4の壁」についてお届けしました。

一口に“壁”といっても、その高さや内容はさまざま。子どもの性格や家庭環境、家庭以外にサポートしてくれる場所の有無などによって、乗り越えるための負担感も変わってくると思います。

新学期には、緊張感のある日々が続きますが、子どもの様子に配慮しつつ、成長の機会につなげていけるといいですね。

【参考】
令和5年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況(令和5年5月1日現在)- こども家庭庁

北川和子
北川和子

自治体HP、プレスリリース、コラム、広告制作などWEBを中心に幅広いジャンルで執筆中。『kufura』では夫婦・親子のアンケート記事やビジネスマナーの取材記事を担当している。3児の母で、子ども乗せ自転車の累計走行距離は約2万キロ。地域の末端から家族と社会について日々考察を重ねている。

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