思わぬ出来事が起きた時は、空を見上げて深呼吸…『ルラルさんのだいくしごと』
『ルラルさんのだいくしごと』(ポプラ社)作/いとう ひろし
広いお庭のある家に住むルラルさんの暮らしは、いつもなんだか楽しそう。お料理をしたり、自転車でお出かけをしたり、本を読んだり、時にはバイオリンを弾いてみたり。
そんなルラルさん、実は大工仕事の腕前もなかなかのものなのです。のこぎりやトンカチ、カンナにドライバーなど、自分用の大工道具も充実していて、いすやテーブルだって、さささっとつくってしまいます。今日の大工仕事は、屋根の修理です。雨漏りをしないよう、ルラルさんはじっくり調べ、丁寧にひびを埋めていきます。さすがです。
ところが。
…「え?」
ルラルさんが屋根から降りようとすると、思わぬことが起き…。
屋根の修理はさっさと終わらせて、今日はこの後、パンを焼いてお風呂の掃除をするつもりだったルラルさんの計画はあっさりと崩れてしまい、結局一日仕事になってしまいます。もちろん、原因は庭の仲間のあの子たち!? でも仕方ないですよね、だってあんなに楽しそうにしているんですから。あんなにワクワクしている後ろ姿はなかなか見られるものではありません。
それよりも、ルラルさんが見つけた時間は何にも代え難く…素敵なのです。
「とっても たのしかったなぁ」とみんな。
「それは よかったね。」とルラルさん。
なんでもないけれど、とびっきり豊かな一日。ルラルさんも良かったね。
「ルラルさんのえほん」シリーズ、第8作目のお話です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
※『絵本ナビ』より引用
【読者の声(『絵本ナビ』)より】
電車ごっこ
ルラルさんの頼みは、忘れてしまって、梯子で電車ごっこ遊びに夢中になる動物たちの無邪気さに笑えました。ルラルさんは、屋根の上から怒るわけでなく雲の行方を眺めます。 大らかなルラルさんの発想の豊かさ、心の豊かさに魅力を感じました。 どんな状況になっても慌てないでそのときを楽しむ逞しさは、かっこいいなあと思いました。 (ぴょーん爺さん 60代)
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「いいから いいから」
このおじいちゃんのおおらかさ。肩のちからがぬけていきますよ。
さあ、忙しくなってキリキリしてきたら、親子で一緒に。
「いいから いいから」
ゆたかな笑顔が生まれる一冊です。
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【参考】