“おむつなし育児”の良いところ
皆さんは“おむつなし育児”をご存じですか? 実は昔から実践されてきた育児法で、なるべくおむつの外で自然に排泄させてあげる育児のことで、赤ちゃんにとって健康的で気持ちのいい排泄ケアを目指します。
大森「気持ちの良い排泄ができると赤ちゃんはとってもご機嫌になります。
お世話する大人も赤ちゃんのことをより理解できるようになり、育児に対する不安も解消されるなど、赤ちゃんにとっても大人にとっても、心と体が健康になれる育児法なのです」
トイレトレーニングの黄金期とは
おむつなし育児、つまりトイレトレーニングの開始適齢期はなんと! 首が座り始めた生後3か月ごろからだそうです。
トイレトレーニングは2歳くらいから始めるというイメージがありますが、0歳の低月齢から始めれば排泄回数も多く排泄のサインがわかりやすいので、早い時期から始める方がおすすめなのだとか。
大森「いつから始められるのかというと、おまるなどに座ることができるようになればいつでも始めてもいいのです。つまり首が座る3か月くらいからトイレトレーニングは始められます。
生後5、6か月ごろになると赤ちゃんもトイレの感覚がわかり始めてきて、できた!という喜びを共有することができます。親御さんもモチベーションが上がり、トイレトレーニングの黄金期といわれるほど。
年齢が上がるにつれてトイレに苦戦するようになり、3歳くらいになると、子どもは“おむつ=トイレ”と既に自然と学んでしまっているので、おむつの外で排泄すること自体が、子どもにとって精神的な苦痛になることもあります」
3か月から始められるというトイレトレーニングですが、首が座ったばかりの赤ちゃんはまだ一人でおまるに座ることができないので、親御さんが体を支えてあげながらお尻をおまるに向けるというイメージでやってみてください。
5~6か月くらいになればお座りの練習を始める頃ですので、おまるに座る練習をしてみるといいでしょう。
1歳を過ぎていても…大丈夫!
黄金期である5、6か月を過ぎているからといっても手遅れではないので、おむつなし育児を知ったらすぐに始めてみてください。
1歳くらいであれば遊具感覚でおまるに面白がって座ったりしてくれるので進めやすいと思いますが、2歳を過ぎる頃になるとイヤイヤ期も始まりトイレトレーニングも苦戦しやすくなってきます。
トイレトレーニングで避けたい5つのこと
年齢が上がるにつれてトイレに苦戦してしまうとのことでしたが、ここでは2〜3歳くらいの子どもがトイレ嫌いになってしまうトイレトレーニングのNG行為5つをご紹介します。
1:トイレ空間が快適でない
子どもにとってトイレは狭くて怖い場所というイメージがあります。子どもがトイレを楽しめるような場所づくりを心がけましょう。
大森「おもちゃを置いたり、“できたね”シール表を張るなど工夫をしてトイレを楽しい空間にしてみてください」
2:無理矢理トイレに連れていく
声掛けのタイミングや言い方次第で、子どもの機嫌やヤル気が変わってしまうので親の都合で無理矢理トイレに連れて行かないようにしましょう。
大森「子どもの意見やペースを尊重することは大切です。無理にトイレに誘いすぎると、トイレが嫌いになってしまう原因になります」
3:イライラしながらトレーニングを続ける
子どもの性格やペースに合わせて、ゆったりとした気持ちで進めていくことが大切です。
大森「お互いイライラしながら続けていくことは逆効果になります。トイレトレーニングを中断しても子どもはトイレでの排泄を忘れないので、親も子もトイレトレーニングがつらくなったら一旦お休みするようにしましょう」
4:おもらしを叱る
おもらしをされると後片付けや着替えなどの処理も大変で、つい叱ってしまうこともあるでしょう。ですが、そんな時期も今だけです。
大森「おもらしをしても叱らないであげてください。優しい声かけを心掛けて、“すぐキレイにしてあげるから大丈夫だよ、安心して”“今おしっこ出たのわかったね”など次のステップにつながるように導いてあげましょう」
5:子どもの気持ちを考えない
子どもが嫌がったりトイレを怖がったりするときは、原因を考えましょう。
大森「子どもの性格によってさまざまな要因が考えられるので、子どもの様子や発言などを見ながら気持ちに寄り添い、解決のヒントを探してみてください」
おすすめトレーニング法3つ
トイレトレーニングに苦戦したら、いろいろな方法で気分転換をしながらトイレトレーニングを進めてみましょう。
1:布パンツで公園に行ってみる
思い切って布パンツで家の近くのトイレがある公園に行ってみましょう!
大森「家が汚れなくて済むので親も精神的に楽ですし、子どももお外で遊んでる時に洋服が濡れると気持ちが悪いという体験をすることができます」
2:お風呂場でおしっこしてみる
トイレを嫌がるようならお風呂場でおしっこさせてみましょう。
大森「おしっこの後処理が簡単ですし、お風呂場におまるを置いてもいいですね。お風呂場でしかおしっこできないという癖はつかないので安心してください」
3:おまるや補助便座は、洋式タイプにする
補助便座は音楽が鳴るものなど様々なタイプの商品がありますが、シンプルなデザインが一番おすすめだそうです。
大森「前方にレバーがあったりキャラクターがついているものなど、またぐタイプだと、ズボンの脱ぎ履きが大変です。洋式タイプならズボンとパンツを下げて座るだけで排泄可能なので、親も子も手間がかかりません」
洋式タイプとは、子どものお尻のサイズに合わせた小さめの大きさの洋式トイレ仕様になっているものです。
前方に持ち手が付いているタイプのものだと、またいで座る形になるのでズボンやパンツをその都度脱ぐ手間がありますが、洋式タイプならそのまま座るだけなのでらくちんですね。
いかがでしたか。低年齢の頃からトイレトレーニングを始めると、子どもも自然と排泄はオムツでなくトイレでするものと認識しますが、年齢が上がるにつれてオムツがあればトイレに行かなくてもいいという認識になりがちです。
トイレトレーニングの失敗で一番困っているのは子ども自身です。イライラせずに、今の時期しかできない親子の“おしりケーション”を大切にしてください。
【取材協力】
※ 大森有希子・・・2015年4月より『ぱんつっこの森』をスタート。おむつなし育児講座やトイレトレーニング講座の講師も務める。
2017/6/6 WooRis掲載
執筆/やまさきけいこ