親のかかわりの“ヘルプ”と“サポート”の違いを知る
山﨑さんによれば、そもそも子育ては、“ヘルプ”という“援助すること”と、“サポート”という“支えること・支援すること”という2つの局面があり、成長とともに、ヘルプからサポートへと徐々に移行していくことが大事なのだそうです。
もう少しかみくだいて言うと、ヘルプというのは、それをやる力が無いから代わりにやってあげること。サポートというのは、自分で解決できるけれど困ったときには助けてあげること。
たとえば子どもが、同じクラスに苦手な友だちがいて困っていたとき、親が学校にクラス替えなどを要求するのがヘルプ。親が子に、気の合う友達ばかりではなく苦手な子がいてもそれは当たり前のこと、と教えるなどして、見守りつつ支えてやるのがサポートです。
赤ちゃんのときは、子どもが自分でできることはないので、親が何でもヘルプしてあげます。でも次第に、歩いたりトイレに行けるようになったりと、自分でできることがどんどん増えていきますよね。その変化に合わせて、親はかかわり方を“ヘルプからサポートへ変えていく”必要があるのだそうです。
親とのかかわりが深いのは“つ”の付く年齢
では、親はどのくらいの年齢を目安に、どのようにヘルプからサポートへシフトチェンジしていけばいいのでしょうか。
山﨑さんによれは、お母さんと子どもとのつながりがより深い年齢は、“つ”の付く年齢とのこと。数えるときに“つ”が付く年齢は、1つ~9つ。1歳~9歳ということですね。
この“つ”の付く年齢をひと区切りと考えて、はじめはヘルプだけだったものを、徐々にサポートの割合を増やしていく、そして10歳にはサポートに移行する、こんな感じで考えるとよいそうです。
“ヘルプ”から“サポート”に変えていかないと…
子どもが小学校に入学した、初めての習い事に通い始めた、クラス替えをしたなど、節目の時期には何かと子どもを心配するお母さんもいるでしょう。
先生や友だちとうまくやっていけるか、勉強は大丈夫かと考えてしまうと、つい助けてあげたくなるかもしれません。もしも「嫌だ」とか「困っている」などと子どもに言われれば、ますます心配になってしまいますよね。
でも、苦しんでいる姿を見るのがつらいから、とヘルプを続けてしまうと、子どもは親を頼ることばかり考えるようになり、自分で解決する力が付かなくなってしまうとのこと。こうなると、子どもはなかなか自立できないのです。
“ヘルプ”なのか“サポート”なのか迷うときは…
自分の子どもへのかかわりの行動が、ヘルプとサポートどちらにあたるのか、迷うこともあるかもしれません。
そんなときには、自分の言動は子どもの自立につながるか、役立つのかと自分に問いかけてみると、区別しやすくなるそうです。
「宿題ができない!」と子どもが訴えたとき、親が宿題を代わりにやってしまったら、子どもは自分で考えて宿題を終わらせるチャンスがなくなり、自立できなくなってしまいます。これはヘルプでしょう。でも、やり方のヒントをあげたり励ましたりすることは、自立に役立つはず。これはサポートですよね。
成長するにしたがって子どもの世界は広がり、困っているときに直接助けてあげられなくなるもの。そんなときのために、親が解決してしまうのではなく、解決するためのヒントや知恵を教えてあげる、という適切なサポートが大切なのです。
子どもがうまく自立できるように、ほどよくサポートへ移行することが、上手な子離れのコツと言えるかもしれないですね。
いかがでしたか。いくら親でも、子どもをずっとヘルプし続けることはできないもの。自分のお子さんへのかかわり方や子離れの仕方に迷いを感じている方は、年齢に応じたヘルプとサポートができているか、振り返ってみてくださいね。
【取材協力】
※ 山﨑洋実・・・旅行代理店、大手英会話学校に勤務し、結婚退職後、コーチングを体系的に学ぶ。2004年、ママ友達向けに講座をスタート。コーチングをベースとした『ママのイキイキ応援プログラム(ママイキ)』講師として国内外で活動を続ける。企業研修も行うほか、メディア出演も多数。近著に『苦手な人が気にならなくなる本 戦わないコミュニケーション』(日経BP社)。公式ブログは『ひろっしゅコーチ ママの心の土台作り』。
2017/8/28 WooRis掲載
執筆/川口沙織