途中の時間って素敵!『ちいさいわたし』
『ちいさいわたし』(くもん出版)作/かさいまり 絵/おかだちあき
「こどもたちは、いつも、まだとちゅう」
絵本のテーマとして掲げられているこの言葉。なんて素敵なんでしょう。
主人公の“わたし”は、色んなことが上手にできない。
犬のルルのお散歩はいつもママと一緒だし、挨拶だって大きな声が出せない。
だって、まだ小さいから。
おばあちゃんにもらった服もぶかぶか、夜だって怖くて一人じゃ寝られない。
でも…。
でも、いつかはできるようになるもん。今はその途中だもん。
そうだよね。色んなことが段々とね。
そんな“わたし”にも心が揺れる瞬間があります。
大事なお人形をおともだちに貸せなくて、ケンカしちゃった時。
「このまま…ずっと遊ばない?」「いつか?」「いつかじゃだめ」
思い切って、おともだちの家に駆け出していく“わたし”。
こんな瞬間を優しく見守ることができたなら、子どもたちはきっとまっすぐに成長していけると思うのです。
どこまでも優しく繊細な目線で子どもの心の揺れを描き出しているのは、絵本作家のかさいまりさん。かさいさんの作品は、いつでもほんの小さな心の成長を見逃さずに絵本で表現してくれているのです。
そして、そんなお話をより愛おしいものにしてくれているのが、今注目の画家おかだちあきさん。ママの後ろから顔を出す表情、ぶかぶかの服を着て鏡を見つめる様子、そしてちょっとだけ成長した“わたし”の笑顔。優しく丁寧に描かれたそれらは、どの瞬間もはっとさせられるほど印象的な表情ばかりです。
知っているつもりでも忘れがちなこと。
小さな子どもたちにはいつだって不安があるってこと。
この絵本を親子で読んで、一緒に少しずつ前に進んでいけたらいいな。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
※『絵本ナビ』より引用
【読者の声(『絵本ナビ』)より】
お父さんお母さんに読んでほしい
こどもたちは、いつも、まだとちゅう。 なんて素敵な言葉なんでしょう。読み始める前から感動してしまいました。 犬のお散歩もまだ一人ではできない。大きな声でご挨拶もできない。真っ暗は怖くて眠れない。できないけれど「まだとちゅう」。いつかはできるようになるんですよね。 赤ちゃんの頃から比べると、大きくなったような気がするけど、まだまだ「とちゅう」の子どもたち、それを見守らなくちゃいけないということに、改めて気付かされました。 子どもよりも…ついつい急かしてしまったり、多くを求めてしまうお父さんお母さんに読んでほしいと思います。 (環菜さん 20代・ママ 男の子6歳、男の子4歳)
出会えて良かった
子どもはいつでも「とちゅう」なんですね。 三歳の息子も今はお兄さんになる途中。 思春期を迎えれば、今度は大人になる途中。 そして、「とちゅう」は、中途半端という事ではなくて、 確実に前に進んでいるということ。 そんな風に子どもの成長を受け止めると、 子育てで壁にぶつかった時に、 私自身も乗り越えていけそうです。 結果ではなく、過程を褒めましょうと聞いたことがあります。 出来るようになる途中のいま、この過程を 褒めながら、前に進む姿を見守りたいと思います。 とっても良い絵本。 出会えて良かったと思える絵本です。 (りひまるさん 30代・ママ 男の子3歳)
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大きくなった喜びがいっぱい!『おおきくなるっていうことは』
『おおきくなるっていうことは』(童心社)文/中川ひろたか 絵/村上康成
進級や入園・入学のこの季節に読みたい絵本として大人気なのがこの絵本!
「大きくなったね」って大人は言うけれど。
「大きくなる」って、どういうこと?
例えばね…
「おおきくなるっていうことは ようふくが ちいさくなるってこと」
「おおきくなるっていうことは まえより たかいところに のぼれるってこと」
大きくなった喜びがいっぱいの一冊です。
今回おすすめしたこの2冊。気になった本がありましたら、ぜひ読んでみてくださいね。
【参考】
『ちいさい わたし』- 絵本ナビ