更年期に入ってからの体重の変化
null更年期に入ってからの体重の増減について尋ねたところ、「変わらない」(43.2%)と答えた人の割合が最も高く、「増えた」と感じる人は35.2%(57人)、「減った」という人は11.7%(19人)という結果に。
【更年期(プレ更年期)に入ってから、体重が増えましたか?減りましたか?】
増えた・・・35.2%(57人)
減った・・・11.7%(19人)
変わらない・・・43.2%(70人)
測っていない・・・9.9%(16人)
更年期においては、ホルモンバランスの変化や代謝の低下などが影響し、体重管理に悩む人が多いといわれていますが、実際はどうなのでしょうか。
【更年期(プレ更年期)のダイエットについて】
体重が減りにくい・・・44.4%(72人)
体重は減るが、すぐにリバウンドする・・・11.7%(19人)
体重は減るし、キープできる・・・4.9%(8人)
ダイエットはしていない・・・28.4%(46人)
むしろ体重を増やしたい・・・8.0%(13人)
その他・・・2.5%(4人)
更年期に入ってからのダイエットについては、44.4%の人が「体重が減りにくい」と感じており、ホルモンの変化により、脂肪がつきやすく、減りにくい状況に悩む女性が多数派であることが明らかとなりました。
さらに、11.7%は「体重は減るが、すぐにリバウンドする」と回答。ダイエットをしても、一度減った体重が元に戻ってしまうことが、非常に多くの人に共通する悩みであることがわかります。
その一方で、「体重は減るし、キープできる」という人は4.9%(8人)に過ぎず、ダイエットの成功を実感している人は少ない様子です。また、28.4%(46人)は「ダイエットはしていない」と答えており、ダイエットを意識していない人も一定数いるようです。

なぜ更年期は痩せにくい!?
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医師・イシハラクリニック副院長の石原新菜(にいな)先生。
医師でイシハラクリニック副院長の石原新菜(にいな)先生によると、更年期は基礎代謝量が減って痩せにくい状況にあるそう。
「女性ホルモン低下と筋肉量低下が、基礎代謝が下がる原因として挙げられています。
更年期になると女性ホルモンが低下します。女性ホルモンが減少すると、血中のコレステロールが上がりやすくなり、太りやすくなる傾向があります。特に女性は、男性に比べて女性ホルモンの減少が急激であるため、体の急激な変化を意識することも多いと思います。
そして40代くらいから筋肉量が減少し低体温になる傾向があり、これも基礎代謝の低下につながります。
年齢とともに活動量が減ることで、エネルギー消費が少なくなるという見方もあります。これらの要因が複合的に影響し、更年期には若い頃に比べて痩せにくくなると考えられています」
更年期のダイエット方法とその工夫
null更年期に体重が減らない、痩せにくいのはホルモン量や代謝量の減少で仕方のないことのようです。
アンケートではさらに、更年期にどのようなダイエット方法を実践しているのか聞いてみました。
【どのようなダイエットをしていますか?(複数回答可)】
1位:水をたくさん飲む・・・8.0%(13人)
2位:間食抜き・・・6.2%(10人)
3位:カロリー計算・・・4.3%(7人)
4位:筋トレ・・・3.7%(6人)
4位(同率):有酸素運動・・・3.7%(6人)
5位:一食抜き・・・3.1%(5人)
6位:糖質抜きダイエット・・・1.9%(3人)
7位:断食・・・1.2%(2人)
7位(同率):置き換えダイエット・・・1.2%(2人)
1位は「水をたくさん飲む」(8.0%)でした。水分を多く摂取することで、代謝を促進したり、空腹感を抑えたりすることが期待できます。また、「間食抜き」(6.2%)も比較的多く、ダイエット時に間食を避けることで摂取カロリーを減らす工夫をしている人が多いことがわかりました。
さらに、「カロリー計算」や「筋トレ」、「有酸素運動」を取り入れている人もおり、それぞれの方法で体重管理に努めている様子が伺えます。
「一食抜き」や「糖質抜きダイエット」などの厳格な方法を試している人は少数派でした。ダイエット法の選択肢は広がっており、体調やライフスタイルに合わせた方法を模索していることが伝わってきます。
続いて、みんなが更年期のダイエットについて、気を付けていることや工夫などを紹介します。

更年期は減量よりも体力づくり
「5年かけて地道に8キロ痩せました。あと2キロは痩せるつもりです。リバウンドしないで痩せるには、地道に痩せるカラダつくりをすること、食生活を変えること、運動することが大切だと思います」(55歳/主婦)
「痩せるというよりも筋肉をつける、衰えないようにするという意識のほうがいいと思う」(50歳/主婦)
「あまりダイエットをしないほうがいいと思うようになってきた。しっかり栄養を摂って筋力を落とさないほうが大事なので」(55歳/その他)
更年期においては、体重の減少を目指すよりも、むしろ筋力を維持し、体力をつけることが大切だと感じている方が多いようです。筋肉量を保つことで基礎代謝が高まり、体重の増加を抑えることが期待できます。急激なダイエットは筋力の低下や身体の衰えを招く恐れがあるため、無理な減量を避ける声もありました。
体重よりも体型が気になる
「痩せたい顔やお腹回りは痩せず、痩せてほしくない胸や腕は骨張る」(59歳/主婦)
「体重は増えていないのに、体型が変化して嫌」(58歳/総務・人事・事務)
「若いころと違ってうまく痩せないと老けて見えたりするので注意が必要だと思う」(40歳/主婦)
更年期に入ると、体重があまり変わらなくても、体型の変化に悩むケースも増えるようです。アンケートでは、顔やお腹周りが気になるという声が多数あり、体型の変化が若い頃と比べて目立ちやすくなったという人も。減量もスタイルキープもなかなか難しいようです。

何をしても痩せづらくなった……
「夏になれば痩せたのに歳を重ねると痩せにくくなった」(46歳/総務・人事・事務)
「若い時と同じように食べていたら痩せないので、腹八分目にして、甘いものは控えている」(42歳/主婦)
「若い時期は、食事に気を付ければ体重をコントロールできたが、今は食べたらすぐ太って、減りにくくなった」(58歳/その他)
更年期になると、新陳代謝が低下し、若い頃のように食事に気をつけていても体重が減りにくくなることが一般的です。そのようななかで、食事量が変わらないのに体重が増加したり、食べても痩せにくくなったりすることに不安を感じている人が多いようです。
食べて痩せるを目指したい
「急激なダイエットは、筋力が落ちるしシワも増えるのでほどよく鶏肉をたべ豆腐を食べながら糖質や脂質を減らしている」(59歳/主婦)
「更年期でイライラすると甘いものが無性に食べたくなる事があるが、そういう場合は洋菓子ではなく和菓子をほんの少しだけ食べて気持ちを落ち着かせるようにし、絶対にドカ食いはしないように気をつけている」(43歳/その他)
「歳を重ねて、肉があまり食べたくなくなりました。体重増減はないのですが、更年期も兼ねて、タンパク質を意識して摂取しないとだめだと思い、大豆食品を三食毎日欠かさず食べ、骨と筋肉を維持する食生活を心掛けています」(54歳/その他)
「肌や髪に影響が出そうなので無理なダイエットは禁物」(47歳/学生・フリーター)
「昔は一食抜いたらすぐに痩せたのに、もう全然痩せない。むしろ三食きっちり食べたほうが痩せる」(53歳/主婦)
無理なダイエットや急激な減量は、体に負担をかけ、肌や髪に影響を及ぼす恐れがあります。そのため、健康的に食べながら痩せる方法を選ぶことが理想的です。多くの人が、タンパク質などの栄養素を意識した食生活を心掛けているようです。また、ストレスを感じると甘いものが食べたくなることもあり、そういった時には少量の和菓子で気持ちを落ち着かせるなどの工夫もされていました。
石原先生も極端な制限はしなくていいとのこと。
「とにかくバランスの取れた食事を心がけること、極端な食事制限は避けるべきです。タンパク質の摂取は良いのですが、プロテインの飲みすぎには気を付けて。食事からタンパク質を摂取するほうがおすすめ。また、血糖値の急激な上昇を避けるために、白米やパン、パスタなどの精製された炭水化物ではなく、玄米や全粒穀物を選ぶと良いでしょう。これらの食品は血糖値の上昇を緩やかにする効果が期待できます。野菜から食べて、そのあとに肉や魚などのタンパク質、最後に炭水化物を少量摂るという順番が、血糖値の急激な上昇を抑えますよ」
血糖値の上昇は血管へのダメージが大きくなるリスクがあり、体全体にとってよくないそう。気をつけたいですね。

運動する場合はケガに気を付ける
「がむしゃらに運動すると、膝が痛くなるので、慎重にやっている」(48歳/主婦)
「筋肉を付けて基礎代謝を上げたいのにすぐに膝や腰に痛みが出て長く続けられない」(47歳/デザイン関係)
「無理な運動はひざなどの負担になるので、適度な運動がいいです」(41歳/主婦)
健康的に痩せるには運動だ!とはいえ、筋肉や骨に負担をかけないように注意しながら運動する必要があります。特に、膝や腰に痛みを感じやすい年齢であるため、過度な運動や不適切な運動はケガの原因に。
「筋トレは激しいものではなく、スクワットを1日30回程度行うのがおすすめです。特に下半身の筋肉を鍛えることが重要です。ウォーキングも血流を良くするために良いですが、50代であれば1日7000歩から8000歩程度が目安とされています」
適度な運動やストレッチを取り入れ、ケガを予防することが、更年期を健康に過ごすためには大切ですね。
更年期には「痩せてしまう」というお悩みも
「普通にしていても、痩せやすくなったように思う」(51歳/主婦)
「食欲が減ってしまって、どんどん痩せてしまった。疲れやすい」(48歳/総務・人事・事務)
「疲れると痩せてしまうので、キープするようにしている」(57歳/主婦)
更年期に体重が減らないと悩む人がいる一方で、食欲が減少したり、体調の変化で自然に体重が減少してしまうことに困っている人もいます。体重が減ることが必ずしも健康的でない場合もあるため、栄養バランスを考えた食事を心がけることが重要です。

「ご自愛」を
null更年期のダイエットについて、石原先生は「ご自愛」を意識してほしいと話しています。
「女性ホルモンの減少に伴いセロトニンも減少しやすいため、質の良い睡眠を確保し、朝に太陽の光を浴びるなど、メンタルケアも大切です。
体重や体脂肪の数値にばかり捉われず、健康を第一に考えることが重要。ストレスを溜めずに、適度な運動や質の良い睡眠をとることで、結果的にベストな体重になっていくと思いますよ。
体を冷やさないことも大切。朝に白湯を飲む習慣があるなら、生姜やシナモンなどのスパイスを加えて温める効果を高めるのがおすすめです。更年期以降は低体温になりやすい傾向があるため、体を温めることは基礎代謝の維持にもつながります。
更年期は心身ともに不安定になりやすい時期なので、“ご自愛(自分を大切にすること)”を心がけてくださいね。“風呂キャンセル”は絶対ダメ。入浴は体を温め、代謝を良くし、睡眠の質を高めるため、積極的に取り入れて欲しいんです。“風呂キャンセル”するなら“家事キャンセル”するほうがまだいいから」
更年期は、ホルモンバランスの変化が体にさまざまな影響を与える時期。体重が増加しやすく、ダイエットが難しく感じることもありますが、それでも多くの女性が工夫をしながら、自分に合ったやり方でダイエットを試みています。持続可能な方法を選び、無理をしすぎず、健康的に更年期を過ごしていきたいですね。

エディター/ライター。大学在学時からライターとして活動、気付けばもうすぐフリーライター歴20年。webサイトや書籍の編集・ライティングなどを担当。料理と暮らしまわりの手仕事が趣味。根っからのインドア派だが、3児の母となりアウトドアの楽しさにも目覚めたところ。