遺言書を書かない事でのリスクとは
なぜ“遺言書”は必要になるのでしょうか?
子どもがいる場合の相続人は、配偶者と子どもです。子どもがいない場合の相続人は、配偶者と父母や祖父母などの直系尊属です。
さらに、父母や祖父母もいない場合は、配偶者と兄弟姉妹が相続人になります。
例えばこのケースにおいて、「うちは兄弟姉妹とは何十年も会っていないし、縁も切っているから相続を望んでいないはず」と勝手に思っていると危険です。仲が悪くて縁を切っているからこそ、容赦なく相続分を要求されることもあるのです。
もし、“財産は家しかない”という場合、4分の1の相続財産を兄弟姉妹に渡すために、家を売るしかないという悲惨な結末になることも……。
そこで、必要になるのが遺言書です! 遺言書で“全財産を配偶者に相続させる”と書けば、兄弟姉妹には遺留分の権利は認められないので、請求されることはありません。また、「仲が良くない兄弟にあげるくらいなら全額を寄付したい」という望みも、遺言書があれば叶えられます。
自筆の遺言書のリスクとは
手軽にできる、お金がかからない、という理由で利用されることが多いのが自筆証書遺言。ですが、自筆証書遺言が有効なものと認められるためには要件が決まっています。
専門家のアドバイスなく書いた場合、せっかく用意したのに無効とされるケースも少なくありません。
亡くなった後、遺族は家庭裁判所の検認手続きが必要になり、また、本当に本人が書いたのかどうかで相続争いが生じる可能性もあります。
書いたときは手間や費用がかからないかわりに、亡くなった後で手間も費用を要することになり、無効になるリスクも生じますので、自筆証書遺言はおすすめできません。
公正証書遺言は無効にならない
一方で、公正証書遺言の場合、専門家である公証人が作成するのでまず無効になることはありません。また、家庭裁判所の検認手続が不要なので、スムーズに相続手続を行うことができます。
争いになれば、凍結されたままの口座から生活資金を引き出せずに困ったり、会社を引き継ぐはずだったのがスムーズに承継できず事業に支障を来たすこともありえます。
せっかく遺志を残すなら、公正証書遺言をおススメするのはこのような理由からです。
いかがでしたか? 人生はいつどうなるか誰にも分かりません。判断能力がしっかりしているうちしか作れない公正証書遺言。大切な家族を守るためにも、早速準備してみてはいかがでしょうか。
2017/4/25 WooRis掲載
執筆/大津留ぐみ