そもそも新米ってどんなお米のこと?
皆さん、そもそも新米はどのようなお米のことを指しているのかご存じですか? こめななさんによると、新米とはJAS法に基づいて“収穫した年の12月31日までに精米され、包装されたもの”を指しているそうです。
ですから、同じ時期にとれたお米であっても、年が明けてから精米・包装されたお米については、“新米”と呼ぶことはできなくなってしまうそう。ちなみに、前年に収穫されたお米は“古米”、さらにその前の年に収穫されたお米は“古々米”と呼ぶそうです。
一般的に新米の季節というのは、9月から10月ですが、産地や銘柄でも収穫の時期が違ってくるため、住んでいる地域によって新米が店頭に並ぶ時期は異なるそうです。
「新米の収穫は西から北上していきますが、日本一早いのは沖縄で、7月初旬から新米が楽しめます。九州の宮崎などでは8月初旬から、関東では8月下旬、新潟では9月下旬、東北では10月上旬ごろからお店に並ぶようになります。また、同じ九州でも11月になると違う品種が新米として出てくることもあります」(こめななさん。以下「」内、同)
新米をおいしく炊くためのポイントとは?
「新米は水分が多いので、炊くときは水を少なめに」という話をよく聞きますが、こめななさん曰く、これは昔の話であって、現在は新米も普段のお米の水加減と同じように炊いていいのだそうです。
「昔と比べてお米の保管技術や環境が断然によくなったため、現代では新米とそれ以外のお米について水分量などの品質にほとんど差はありません。ですから、新米もいつもと同じ水加減で炊いて大丈夫なんですよ。ただ、新米はそれ以外のお米よりも細胞壁がやわらかいので、吸水時間は1~2時間も必要はなく、短めの30分でOKです」
新米とそれ以外のお米の大きな違いは、ズバリ“香り”。新米独特のみずみずしい香りを楽しむのが、新米を食べる際のいちばんの醍醐味と言えそうです。
水加減を多めにするのはこんなケース
先ほど、「新米も普段と同じ水加減で炊きましょう」とお伝えしましたが、これはあくまでも店頭に並んでいる市販のお米の場合について。「田舎の親戚に送ってもらったような新米の場合は、精米過程や乾燥のさせ方が市販のものとは異なる場合があるため、水加減が必要なこともあります」
このようにお米が市販のものでない場合は、1回目の炊きあがり状態を見たうえで、2回目以降の水分加減を調整してみましょう。
ちなみに、水加減に注意が必要なのは新米かどうかというよりも、あくまでお米の品種が何かということが重要になるんだそう。
「例えば、ミルキークイーンやおぼろづき、龍の瞳などの品種は、アミロペクチンという、もち米のような成分率が高いため、普段よりも水を減らすとおいしく炊くことができますよ」
このような品種のお米をよく食べるかたは、水加減に注意したいですね。
いかがでしたか? 時代とともにお米づくりの環境も変わってきているため、一般的によく言われていた「新米は水を少なめにして炊く」ということが、今ではあまり必要なくなっていたんですね。
新米を炊くときは、“水加減はいつもどおり&吸水時間は短めに”がポイント。さっそく今晩、自宅でおいしい新米を味わってみてはいかがでしょうか?
【取材協力】
※ こめなな(渡久地奈々子)・・・沖縄県在住の五ツ星お米マイスター。「お米を楽しもう!」をモットーに、ブログ「お米マイスター通信」にてお米の基本やすばらしさを伝えるとともに、お米を通じた食育指導を行う。お米関連の講座開催やメディア出演、執筆等も多数。食育指導士、フードインストラクター(穀類)、ナチュラルフードコーディネーターの資格も持つ二児の母。ブログ