「喪中」と「忌中」はどう違う? 喪に服す期間と範囲
null喪に服してお祝い事は避ける「忌中」と「喪中」の違い
日本では、近親者が亡くなったあとの一定期間、遺族は喪に服してお祝い事を避けるしきたりがあります。
神道の考え方では、亡くなってから50日までを穢(けが)れである死を忌(い)む“忌中(きちゅう)”とし、この期間は結婚式や祭事などの“ハレ”の行事を避け、鳥居はくぐらないとしています。
“喪中”は故人を偲ぶ期間であり、喪に服する“服喪(ふくも)期間”はきっちり定められていません。
喪中期間と範囲の大体の目安
明確な指定はないものの喪中の期間にはおおよその目安があり、故人との関係性によって変わります。
(1)父母、養父母、義父母・・・12~13カ月
(2)子ども・・・3~12カ月
(3)兄弟姉妹・・・3~6カ月
(4)祖父母・・・3~6カ月
(5)曾祖父母、おじおば・・・喪中としない
ただ故人との付き合い度合いによっても異なるため、気持ちの整理がつかないのであれば、期間を過ぎた後でも喪中の気持ちで過ごしていて構いません。
知っておきたい!「喪中はがき」についての常識
null何のために出す? 喪中はがきの目的
喪中はがきは、喪中のために新年のあいさつを控えることを伝える“年賀欠礼状”です。必ず出さなければいけないものではありません。
また、あくまでも遺族側が年賀状を出せないことを詫びるもので、年賀状の受け取りを拒否するものでもありません。ですから、送ってもらう分にはいっこうにかまわないのです。
ただ一般的には、喪中はがきを送ってきた相手に年賀状を出すことはしません。
喪中はがきは11月~12月上旬までに届くように出す
相手側の年賀状の準備もあるため、喪中はがきは12月上旬までには送り先に届くように手配しましょう。
もしも12月後半に不幸があった場合は、あえて出さなくてもOK。喪中はがきを出さずに年賀状が届いた場合は、相手に寒中見舞いを送り、喪中であったことを伝えて年賀状が出せなかったことを詫びるとよいでしょう。
喪中はがきを送る相手は、年賀状を出していた人と葬儀参列者
喪中はがきは、毎年年賀状をやりとりしている相手に送るのが一般的です。
訃報を知らせることが目的ではなく、“新年の挨拶を控えることを伝える”ものなので、葬儀に訪れた人に対しても改めて送るのがマナーです。
喪中はがきを送っていい相手、送らない相手
もしそれまで年賀状を出す習慣がない場合でも、喪中はがきを送って喪中であることを伝えてOK。
なお、キリスト教には喪中の概念はありませんが、日本の慣習にしたがって喪中はがきを出すことが多いようです。
一方で、喪中のしきたりはプライベートな範囲で行うことなので、仕事の関係者については通常通り年賀状を送ります。ごく親しい付き合いがある場合は、取引先などでも喪中はがきを送ることはありますが、仕事上の付き合いのみの相手には注意が必要。喪中はがきを出すと余計な気を遣わせてしまうことがあるからです。
略式の「喪中メール」より、できれば喪中はがきで伝えて
メールで喪中のお知らせを済ませる人も増えてきましたが、メールは略式なので、できればはがきで知らせましょう。そもそも相手のアドレスしか知らず、年賀状のやりとりがないのであれば、とくに喪中メールを送る必要はありません。
喪中はがきを出さないパターンも…年賀状はどうする?
喪中はがきを出すか出さないかは、故人との関係性や同居の有無、戸籍が同一か別かなどで変わってきます。送る範囲は家族で話し合って決めていいでしょう。
別居している義理の家族(配偶者の家族)が亡くなった場合、親戚筋には喪中はがきを出し、友人・知人には例年通り年賀状のやりとりをするといったケースもあります。また、結婚などで籍が別々になった兄弟姉妹が亡くなった場合は、喪中はがきを出さないケースが一般的です。
それでも悲しみが深く、年賀状を送る気持ちになれないのであれば、その年は控えても。
年賀状が届いた相手に対しては“寒中見舞い”のはがきを送り、事情を伝えましょう。
喪中はがきの発注とデザイン&コメントマナー
null喪中はがきは郵便局やネットで注文、テンプレを使って自作デザインも
喪中はがきは郵便局やインターネットなどで注文できるほか、テンプレートを使用して自分で作成することもできます。黒一色ではなく、カラーでデザインしたもの、故人の仕事や趣味を挿絵にしたものも増えています。
ただし、故人の顔写真を入れると相手が気を遣ってしまう可能性があるので避けましょう。
喪中はがきの書き方とコメントマナー
書き方は横書き・縦書きのどちらでもかまわず、オリジナルの文章でもOK。手書きでコメントを添えてもいいでしょう。ただし、お祝い事や「家族旅行で○○に行きました」などのレジャーや遊びに関するコメントは控えます。
切手やはがきは通常のものでも問題ありませんが、弔事用もあります。くれぐれも暑中見舞いのあまりや年賀はがきを使うのは避けましょう。
「喪中はがき」の文例紹介
null必ず書くことは? 喪中はがきの文章例
喪中はがきでは、冒頭のあいさつ、故人が他界した日時を含む年賀欠礼の報告、お世話になったお礼を記します。
【文例】
本年も残すところわずかとなりましたが
皆様にはお変わりなくお過ごしのことと存じます
○月に父○○○が○歳にて他界しました
服喪中につき新年のご挨拶を控えさせていただきます
本年中に賜りましたご厚誼に深く感謝しますとともに
皆様におかれましてはお健やかに
新しい年をお迎えくださいますようお祈り申し上げます
喪中はがきは句読点なしが好まれていますが、文章が伝わりやすいことから、最近では句読点をつけることも増えているようです。
いざ当事者になってみないと、喪中の期間や範囲、そして喪中はがきについて詳しく知る機会はなかなかないもの。基本的な知識として、この機会に頭に入れておきましょう。
【監修】
葬儀・お墓・終活ビジネスコンサルタント
吉川 美津子(きっかわ みつこ)
大手葬儀社、大手仏壇・墓石販売店勤務を経て、専門学校にて葬祭マネジメントコース運営に参画。現在は葬儀・お墓・終活ビジネスコンサルタントとしての活動に加え、医療・介護と葬送・供養の連携を視野に葬送・終活ソーシャルワーカー(社会福祉士)としても活動している。