「アンチエイジングコミックエッセイ」とは?
null最新刊『これからどうする?』は、アンチエイジングコミックエッセイというキャッチがついています。なぜ、この連載を始めようと思ったのでしょうか?
「たぶん多くの方に共感していただけるのではないかと思うのですが、年齢だけがどんどん立派な大人の歳になっていくのに対して、知識や意識がついて行っていない自覚があり、同じような方々に向けて“だよね?”と語り掛ける気持ちで連載をはじめました。
若い頃はお金や生活についての“大人の知識”はそのうち自然につくもの、と考えていたのですが、どうもそうではなく自主的に勉強しなければわからないまま歳だけ取ってしまうんだな……と(笑)。
なので20代の頃の自分に向けて“今からもうやりなよ!”と伝えたい事も多々ありつつ描かせていただいてます」(以下「」内、秀良子さん)
テーマは同世代とのトークから決める
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秀良子さん(左)と一緒に『これからどうする?』を作る担当のドメさん(右)。出典:『これからどうする?』
担当の“ドメさん”が漫画の中に必ず登場します。ドメさんは、秀良子さんとはキャラが真逆なのだそう。
「私とは違ってアクティブな方なので、いろいろな場面で対比になりつつ同年代として同じ感覚も持ち合わせてくれてるとてもありがたい存在です。私にない発想や経験をたくさん持ってらっしゃるので作品内でもいろいろ刺激になってます。貯金を全くしていないそうなのでそこは頑張ってほしいです(笑)。」
そんな頼れる相棒(?)でもある担当・ドメさんと、毎回テーマを雑談のなかから相談しているのだとか。
「あとは同年代の友人たちにいま悩んでいることや、この先やっていきたいことなど聞いたりして。美容医療回なんかは友人たちもみんな興味津々でした。
印象的だった回は、まだ単行本には入ってないですが『親の終活編』でしょうか。まだスタートを切った段階なので絶賛取り組み中な点含めて。
この連載は、考えなきゃいけないことから逃げないで取り組んでいく……という側面もあるのでその最たる回だったと思います」
「大腸がん検査」をするに至った背景
null第一巻の中では大腸がん検査を受けるエピソードがあります。なぜこの検査を受けようと思ったのでしょうか?
「胃腸があまり強くなく、特におなかを下しがちで……数年前に人間ドッグを受けたときは胃は問題なかったので、じゃあ大腸が原因なのかなと。
ドメさんから教えてもらうまで、大腸がんが40代から増え始めるという話も知らなかったんですが、いったん大腸には問題ないことがわかって本当に良かったです。
おなかを下しがちなことも、先生から“たまに大腸の動きが早くなっちゃうのかな”と言ってもらえて安心できました(笑)」
実際に大腸がん検診をやってみてどうでしたか? これから受けようかなと思っている人に一番気を付けることなど、教えてください。
「大腸がん検査は、作品でも描いたように痛みはありつつも私は楽しく(?)受けられました。ただその前の腸内洗浄時間がほんとうにきつくて……絶え間なく液体を飲み続けながら数分ごとに排泄するので、すごい体力を奪われてふらふらになりました。
ただ何回も受けてるっぽいベテラン?の方とかも私が行った時はいらっしゃって、1度受けた後は慣れる……ものなのかも……しれません。
カメラ検査は不安な場合は眠くなる鎮静剤をお願いすることもできるので、とにかく洗浄を乗り越えれば! あとは野となれ山となれです!」

変わっていく意識
null大腸がん検診を行ったことで、健康意識が変わったりしましたか? 健康のためにやっていることなどあれば教えてください。
「3年に1回は再検査をということだったので、それは必ず受けたいなと思っています。異常がないか調べる為でもありますが、検診を受けた後は日常生活でも安心感も違うので。
健康のため……に結果的になっているのは、作品内ではじめたパーソナルトレーニングです。ずぼらなので家で自分で……とかが続かないたちで……週1回定期的に通っています。
仕事柄、家に引きこもりがちなのですがジムがあることで1週間に1回は必ず外に出るようになった点も大きいです」
これからのテーマは?
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『ニシオギ奇譚』(小学館刊)ちょっと不思議な7編の短編集。
秀良子さんが、『これからどうする?』でこれからやってみたいことやテーマはあるのでしょうか?
「いろんな方の趣味の話を聞いて、できれば自分でも体験してみたいです。人間やっぱり打ち込める何かがあることが幸福度につながってるなぁと日々思うので」
それでは、この連載を経て、学んだことはありますか?
「なんだろう……株は欲を出さなければプラスになるとかですかね(笑)。
あとは、テーマごとにいろんなプロの方にお話を聞くんですが、みなさん個性と生命力があって魅力的だなぁと。ひとつのことに打ち込んで極めて行けるのって才能ですし、自分もなるべくそうありたいなって刺激になります。まぁなるべく……無理ない範囲で……」
『これからどうする?』はコミックエッセイですが、同時発売の『ニシオギ奇譚』は少し不思議な読み切り集。『これからどうする?』を描くときとはマインドはどう違うのでしょう?
「『ニシオギ奇譚』は私が東京で体験してきたことを下敷きにして“みんなこんなこと考えるよね?”と雑談してるような作品なので、逆にマインドとしては『これからどうする?』とあまり変わらないかもしれません(笑)」
最後に、子育て世代のkufura読者に向けてメッセージをいただきました。
「一番忙しくて目まぐるしくてでも充実感のある毎日を生き抜くために、健康には気を付けて自分を労わることを忘れずにお過ごし……ください!
この先の人生もきっと楽しいと思える作品をお届けできるよう、私も引き続きあれこれやっていきますのでよろしくお願いいたします」

『これからどうする?』
『これからどうする?』
(秀良子/著 小学館刊 770円・税込)
気づけばアラフォー。人生、折り返し地点。
やりたいことは山ほどあるのに、「老後」って言葉がやけにリアルにのしかかってくるーーー
そんな中年まっただ中の漫画家&担当編集が「老後」のためにやっておくべきことに、片っ端から挑みます!
今さら誰にも聞けない保険の話。本当にみんなやってるの?NISAとiDeCo。40歳以上の女性はマスト!?大腸がん検診。みんなしれっとやってる美容医療……などなど、
「いつか」やろうを「今」やるためのヒントが盛り沢山!
笑ったり安心したり焦ったり……一緒に悩めば怖くない!?
行き当たりばったりコンビがおくる、体当たりアンチエイジングエッセイです!

秀良子さん
秀良子(ひでよしこ)
2010年『イケメン君とさえない君』(一迅社)でデビュー。柔かく光を感じさせる儚げな筆致と情感溢れるモノローグで描かれる美しい物語で注目される。その後、映画化された『宇田川町で待っててよ。』(祥伝社)など、数々のBL作品を執筆しながら、2013年に『おしゃべりは、朝ごはんのあとで。』で初エッセイに挑戦。発売即重版がかかるなど人気を博し、2016年にはシリーズ2冊目が刊行された。
現在は待望の新作エッセイ『これからどうする?』を「月刊!スピリッツ」にて連載中。