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酸味にコク…分かる?コーヒー豆を買うときの「豆選びのポイント」をプロに聞いた

喫茶店やカフェのような美味しいコーヒーを自宅でも味わいたい! そんなコーヒー好きな人であれば、購入するコーヒー豆にもこだわりたいもの。でもいざ専門店に行くと、たくさんの種類があって、どれを購入すればいいのか悩んだ経験はないでしょうか? そこで今回は、コーヒーを製造・販売する『キーコーヒー株式会社』の中島聡太さんに、コーヒー豆の選び方を教えてもらいました。

たくさんあるコーヒー豆の産地や値段、その違いは?

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「モカ」「キリマンジャロ」「ブルーマウンテン」など、コーヒーにはたくさんの銘柄があります。それぞれの種類ごとに「独特の酸味」「深いコク」といった説明がありますが、正直味の違いにピンとこない人も多いのではないでしょうか? ちなみにコーヒー豆の名前は主に産地の国や島の名前がついているケースが多く、その場所の標高や気候によって味に変化が出るといいます。そこでまずは、それぞれの味の違いを教えていただきました。

ブルーマウンテン

軽い酸味とまろやかな苦みと品の良い甘味が特徴。女性的な味わいにより「コーヒーの女王」と呼ばれている。

ケニア、キリマンジャロ

標高が高い地域なので、豊かな酸味が特徴的。飲んだ時にスッキリとした味わいが楽しめる。

ブラジル

世界のコーヒー生産量の約3割を占める。ナッツのような香りと、なめらかな口当たりが楽しめる。

ハワイコナ

甘い香りと酸味が特徴。中煎りでコク深くなり、深煎りだとさらにコクと奥行きが深くなる。

モカ

華やかな香りでなじみやすい味わい。専門店以外の量販店などでも取り扱いが多い。

しかし正直「豊かな酸味」「深いコク」と言われてもピンとこない人、けっこういますよね。よくわからないコーヒーのビギナーは、一体どれを買えば間違いがないのでしょうか?

「“酸味”というのは“スッキリした味わい”といえばいいでしょうか? またコクというのは“後味の度合い”みたいなイメージです。後味は強いのが好きという人もいる反面、残りすぎるとしつこさを感じる人もいる。一番いいのは、そういった好みを店員さんに伝えて、どれを買えばいいかを相談することです。

ただ時間がなかったり、店が混んでいて難しい時もありますよね。あと、コーヒーの好みそのものが良く分からないという人もいるかもしれません。そういう時にオススメなのは、華やかな香りが特徴の“モカ”。スタンダードな味なので、間違いはないと思います」(中島さん、以下同)

豆の値段の違いは味の良し悪しの違いなの?

また選ぶ際に困るのがコーヒー豆の「値段」。高いものと安いものがありますが、やはり安いものより高いものが美味しいのでしょうか?

「生産量が少ないものは値段が高くなりますし、一概に“高いから美味しい”とは言えません。コーヒーは相場で価格が決まります。希少価値のあるもので人気があれば高価になります。

そのほかにも、値段の差が出るのは、手間や人件費の差が大きいです。例えば通常コーヒー豆を輸出する時は麻袋を使うことが多いですが、“ブルーマウンテン”は樽に入れて輸出されます。その分手間がかかっているので、若干高いのです。

あと“ハワイコナ”は原産地がアメリカですので、人件費が他の国より高い分、お値段も上乗せされます。高価なコーヒーでも自分の好みに合わないケースもあると思います」

カフェオレ派とブラック派ではまったく違う!焙煎の選び方

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(写真)右が「深煎り」で左が「中煎り」。深煎りはダークチョコレートのような深い色が特徴

とはいえコーヒーの味が変わるのは、産地や値段だけではありません。それよりも分かりやすく味が変わる要素が「焙煎」。もともとコーヒーの生豆にはあの香りや苦みがなく、焙煎によって甘味や苦み、香りを生むことができます。そして味の決め手になるのは、焙煎の深さなのです。

「焙煎の段階は大きくわけて、浅煎り、中煎り、深煎りの3段階に分けることができます。深く煎るにつれて豆の苦みが増しますが、煎りが浅いほど酸味が強くなるのが特徴です」と中島さん。さらにコーヒーの飲み方によるオススメの煎りを教えてもらいました。

浅煎り・・・ブラックコーヒーでコーヒーの個性を楽しむ

いわゆる「アメリカンコーヒー」と言われる、ライトな味わいが特徴。一日に何杯もブラックコーヒーを飲むという人は、こちらがオススメ。焙煎が浅いため、コーヒーそのものの風味が感じられます。

思った以上に酸味を強く感じたら、ミルクを入れると飲みやすくなります。水出し用の器具がある場合は、ゆっくり抽出してアイスコーヒーをつくると、さっぱりとした飲み口が楽しめます。

深煎り・・・ミルクたっぷりのカフェオレや、アイスコーヒーに

「イタリアン」や「フレンチ」と言われることが多く、苦みが強い味わいが特徴。浅煎りや中煎りだと、ミルクの風味にコーヒーの風味が負けてしまうことも。

ミルクの中でコーヒーの風味を主張するには、しっかり苦みのある深煎りがオススメ。またアイスコーヒーは苦みを感じるのが重要なので、深煎りが最適。「アイスコーヒー用」として売られていることも多いです。

中煎り・・・ブラックコーヒーやカフェオレなど、オールマイティに活用

飲み方によって深煎りと浅煎りをそろえるのは大変という人にオススメなのがこちら。酸味と苦みのバランスがとれているので、オールマイティに活用できます。

 

いかがでしたか? まずは自分がどんな風にコーヒーを飲むスタイルが好きかを分析できれば、おのずと選ぶコーヒー豆の種類は決まってくるのではないでしょうか?

例えばミルクたっぷりのカフェオレが好きな人は“深煎り”、ブラックコーヒーをたくさん飲むタイプの人は“浅煎り”か“中煎り”……というように、まずは目星をつけてみるといいかもしれません。そして可能であれば店頭で試飲をさせてもらい、ぜひ自分にぴったりな豆をみつけてみてくださいね。


【取材協力】

キーコーヒー株式会社・・・自社HPにて「コーヒー豆の買い方」などコーヒーをもっと好きになるお話を配信中

 

撮影/横田紋子(小学館)

 

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