昔と今では正しい研ぎ方が真逆になっている!?
お米を研ぐときに何度も何度も研いだり、ゴシゴシと力を入れてしまっている皆さん。そのようなやり方をする理由は、「お米は水がきれいになるまでしっかり洗いなさい」と、お母さんやおばあちゃんから教わったからではないですか?
一般に、だいたい現在35才以上の人の場合は、家もしくは学校でお米の研ぎ方をこのように指導されていたとのことです。しかし、それは昔のお米についての話。
こめななさんによると、現在は精米技術の向上に加え、品種改良などによってお米自体が昔と比べてやわらかくなっていることから、昔と同じようにゴシゴシと力を入れて研ぐと、お米が割れてしまって、炊きあがりもベチャベチャになってしまうそう。
「最近は正しいお米の研ぎ方として、“お米はゴシゴシと力を入れて洗わないでください。最後にちょっと水が濁っていても大丈夫ですよ”と指導しています」(こめななさん。以下「」内、同)
現代のお米の品質に合った正しい研ぎ方は?
では、実際にはどのように研げばいいのでしょうか。お米の正しい研ぎ方の手順を、こめななさんに教えてもらいました。
<お米の正しい研ぎ方>
(1)お米の吸水のバラつきを抑えるために、まず最初にボウルなどに水を張って、そこに分量のお米を入れます。そして、お米の表面についたヌカなどを落とすために、一度大きくお米をかき混ぜてから、すぐに水を流して水を切ります。
(2)1に再度水を注ぎ、軽く力を入れて3回程度かき混ぜてから水を流して水を切ります。
(3)2の水を切った状態のお米をそのまま軽く力を入れてかき混ぜます。そこに再度水を注いでから、水をゆすぐようにして流し切ります。これを2回繰り返します。
(4)最後にたっぷりの水を注いでかき混ぜ、水を流し切れば、お米の研ぎは終了です。
あとは、お米を釜に移して分量の水を入れ、最低でも30分以上(可能であれば1~2時間)吸水させてから炊き始めます。
※お米を研ぎ終わったあとに水を張った状態の写真がこれ。このように水が少し濁っている状態でまったく問題ないそうです。
ミネラルウォーターを使う場合はそのタイミングに注意
上記で説明したお米の研ぎ方なら、お米が割れてべちゃべちゃしたごはんになることもなく、ふっくらとおいしいごはんを炊くことができます。
なお、「おいしいごはんを作りたい!」ということで、ミネラルウォーターなどを使ってご飯を炊く人もいるかと思いますが、その際はどのタイミングでミネラルウォーターを使うのが効果的かご存じですか?
「お米を炊くときにミネラルウォーターなどの水道水以外のお水を使うという人も多いと思いますが、最も効果的なのは、研ぎ始めにボウルなどに水を張ってお米を入れるタイミング。というのも、お米は収穫後に乾燥させるという工程があるため、その後いちばん最初に出会う水を一気に吸収する性質があるんです」
ミネラルウォーターなどの水道水以外の水を使用する場合の優先順位は、以下のとおりとなるそうです。
1・・・お米を研ぐ際のいちばん最初にボウルなどに張る水
2・・・お米を炊く前に給水させるときの水
3・・・1の後にお米を研ぐときに使う水
他にも注意点として、「ミネラルウォーターを使う際は、硬水はお米に浸透しづらいため、炊きあがったごはんが固かったり、パサつく原因になることもあります。なるべく軟水を使用するようにするといいでしょう」とのことです。
いかがでしたか? 今までは、いつも水が透明になるまで一所懸命にお米を研いでいたという方。「きれいに洗わなくては……」とゴシゴシ力を入れて洗っていた方。今日からは、力の入れすぎに注意して、お米を研ぎすぎないようにしてください。
ここで紹介した“お米の正しい研ぎ方”を実践すれば、昨日までとはひと味もふた味も違った、ふっくらとおいしいごはんが食べられますよ!
【取材協力】
※ こめなな(渡久地奈々子)・・・沖縄県在住の五ツ星お米マイスター。「お米を楽しもう!」をモットーに、ブログ「お米マイスター通信」にてお米の基本やすばらしさを伝えるとともに、お米を通じた食育指導を行う。お米関連の講座開催やメディア出演、執筆等も多数。食育指導士、フードインストラクター(穀類)、ナチュラルフードコーディネーターの資格も持つ二児の母。ブログ