1:月100万円の医療費がかかっても、自己負担での支払いは9万円弱
null「ガンにかかったら医療費が大変!」とご心配の方。“高額療養費制度”をご存知ですか? どんなに医療費がかかっても、月に支払う医療費には上限があり、それ以上は支払わなくても良いというありがたいシステムです。
厚生労働省のホームページにはこのような説明があります。
<高額療養費制度(こうがくりょうようひせいど)とは、公的医療保険における制度の一つで、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、暦月(月の初めから終わりまで)で一定額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。
高額療養費では、年齢や所得に応じて、ご本人が支払う医療費の上限が定められており、またいくつかの条件を満たすことにより、さらに負担を軽減する仕組みも設けられています。>
標準報酬月額28万~50万円の方なら、たとえ1ヶ月に100万円の医療費がかかったとしても、“80,100円+(100万円-267,000円)×1%=87,430円”が上限となります。
ガンになると入院や手術、抗がん剤などが必要ですし、術後も定期的な検診のため通院が不可欠になることが多いでしょう。どんなに治療をうけても上限が設けられていれば安心して通院できますね。
2:ガンになると治療費以外にもお金がかかる
null保険代理店の株式会社フュージョン&エージェントサービスの坂本氏にうかがったところ、「ガン治療をうける中で、高額医療費ではまかなえない部分がある」ということ。
「高額療養費制度があるからガン保険に入る必要はないという話を聞いたことがあるかもしれません。確かに病院で受ける保険治療の範囲であればその通りです。
しかしガンになった多くの方が、食事療法や東洋医学などを取り入れて、自由診療を受けられています。これらはもちろん保険対象外ですので高額療養費の対象にはなりません」
筆者の身内でもガンになった人がいますが、たしかにガンにかかったことを機に、食事に気をつけるようになりました。
少し高くても添加物のないものを購入する、温熱治療をうける、サプリメントを摂取する、毎日にんじん・りんご・レモンをコールドプレスしたジュースを飲む、体力をつけるためにジムに通うなど、日々の生活費もかさんでくることは想像に難くありません。
3:何より心配なのは働けなくなったときの生活費
null会社が認めてくれる休職期間で復帰できれば良いですが、休職期間を超えると退職しなければならないケースがほとんどです。体は動いても、気持ちが落ち込んで仕事をこなすことができなくなってしまうかもしれません。
高額療養費制度は医療費を補助してくれるものの、働けなくなると収入自体がはいってこなくなるので上限があるとはいえ、医療費の支払いが厳しくなってくると坂本さんは言います。
「ガン保険のほかにも最近では“所得補償保険”が注目されています。仕事ができなくなって収入がなくても家賃やローンがあると心配が続きますし、何より日々の生活を営む程度のお金が必要です。
医療費に対するリスクばかりが懸念されがちですが、病気になっても日常生活は続きますから、そこに対する手当てがあれば安心して治療に専念できることでしょう」
ガンに限らず、人生には色々なリスクがあります。ネガティブに考えるというわけではなく、高い確率で自分にもあてはまるかもしれないリスクには、あらかじめ手をうっておけば多少は安心できるのではないでしょうか。
そう考えると各種保険への加入はもちろん、なかなか運動ができない人は月額を払ってでもジムに行ったり、仕事から帰って料理するのは面倒だけど、塩分とカロリーの高い外食は控えたりと、様々な改善が日々できることでしょう。
以上、ガンと“お金”について考えたいことでしたが、いかがでしょうか?
今年の目標はまだ記憶に新しいと思いますが、何よりも健康が第一。「言うは易し行うは難し」ですが、健康を守るために自分にできる小さなことから始めてみては?
【取材協力】
※ 坂本光宣(さかもと・みつのぶ)・・・株式会社フュージョン&エージェントサービス代表取締役社長。相続診断士。埼玉県を中心に個人・法人向けにお客様に保険代理店事業を展開。丁寧なヒアリングと、いざというときの迅速な対応で、地域密着型サポートを行う。
【参考】
2017/2/22 BizLady掲載
執筆/坂口由乃