母乳育児のメリット
母乳育児の赤ちゃん側のメリットとしては、免疫力が高まる、消化吸収がよい、顎の筋肉を発達させる、といったことがあるそうです。
赤ちゃんだけではありません、お母さんの産後の体にもよく、経済的で、調乳の手間がなく衛生的であることもメリットです。
……と挙げればたくさんありますが、助産師さんによれば、楽しく授乳を続けるには理屈にとらわれるより、哺乳動物として母乳をあげる喜び、母として授乳する快感そのものを味わうことから始めてみるのがよいそうですよ。
授乳の喜びを素直に感じることができれば、ちょっと大変でも続けてみようかな、と思えそうですよね。
頻繁に吸わせて、3時間以上空けないのがコツ
母乳育児を出産後から早く軌道に乗せるためには、赤ちゃんが欲しいときに欲しがるだけあげるのがよいそうです。
そして、1日8回以上、3時間に1回以上の授乳をするというのがコツ。次の授乳までの間を3時間以上空けないことで、母乳を作るホルモンの濃度が下がりにくくなり、母乳がたくさんつくられるようになるそうです。
また、授乳期間中のお母さんは、お腹を冷やさないこと、目を疲れさせないことも大事とのこと。スマホやパソコンの使い過ぎには気をつけたいですね。
無理しない程度に気をつける食事
食事は母乳に影響を与えるそうなので、お母さんはまずは朝・昼・晩、しっかりとご飯を食べましょう。乳質をよくしたり、トラブルを防いだりするのにいいのは、和食中心の食事。食材では、特に芋類や根菜類がおすすめとのこと。
おっぱいが出過ぎたり、つまりやすかったりするときは、お餅や油っぽい食べ物、ケーキなどの乳製品を控えめにして、粗食気味にしたほうがよいそうです。ドカ食いしないでご飯をちょっとずつ食べましょう。
でも甘いものを我慢し過ぎると、人によってはストレスがたまってしまうことも。ストイックになり過ぎて、食べたいものを我慢し過ぎるのもあまりよくないよう。
何事もほどほどが肝心。育児中はおいしいものを食べて、リラックスすることも大事。授乳が苦しくならない程度に、上手に食べ物と付き合っていくのがいいそうですよ。
困ったらすぐに相談
出産したらだれでも簡単に母乳が出て、スムーズに母乳育児ができるとは限りません。はじめは上手くいっていたけれど、何ヶ月か経ってからうまくいかなくなることもあります。
うまくいかないと感じたときは、母乳外来などで、助産師さんに早めに相談しましょう。乳腺炎のようなトラブルのときに限らず、赤ちゃんが急に嫌がるようになったとか、ミルクをあげていいのかわからない、母乳をあげるのがつらいなど、どんなことでも助産師さんは相談にのってくださるそうです。
不安やストレスをためない!
「母乳の出方は少なくないの?」「赤ちゃんは足りているの?」など、母乳について気にし出すと、きりがないもの。そんなときに限って、自分の親や周囲の人などから「足りているの?」などと聞かれ、ますます不安になって落ち込んだり、イライラしてしまうこともあるでしょう。
せっかくの母乳育児が、育児ストレスや不安につながるのは悲しいですよね。
母乳不足などが心配なときは、母乳外来などの助産師さんに相談して、問題がないとわかったらどっしりと構える。そして周りの言葉や世間の発言に左右されすぎない。そんな心の強さを持つことも、母乳育児を楽にするコツだそうです。
また、十分な母乳の栄養が与えられなくても、それは悪いことでもなんでもないのですから、自分を責めないことも大切。赤ちゃんをいっぱい抱いて授乳することで、心の栄養をたっぷりあげればいいとのことです。
いかがでしたか? 赤ちゃんのお世話や授乳で育てる期間は、限られた短い間だけ。せっかくなら幸せな時間にしたいですよね。
授乳期のお母さんは睡眠不足で大変なことが多いものですが、できるだけリラックスして過ごせるように心がけましょう。赤ちゃんのお世話そのものも大変ですから、困ったり迷ったりしたときは、上手に人を頼ったり、近所の母乳外来の助産師さんなどに相談してみてくださいね。
【取材協力】
※ 母と子のサロン矢島助産院・・・平成2年、矢島床子院長が東京・国分寺に開業。これまでの分娩数は5,000件以上。現在、年間分娩数は約160件、助産師数10人。「Feeling Birth 産むことを感じる」を理念とし、分娩介助だけでなく、母乳外来やマタニティ、産後のクラス等も開催。産んだ後の体と心のケア、授乳・子育てのアドバイスなども行い、女性が孤立しないよう幅広くサポート活動を続ける。メディアでの紹介も多数。
2017/8/18 WooRis掲載
執筆/川口沙織