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今年の夏こそ「青春18きっぷ」でお得な旅はいかが?リピーターは多いのに経験者はわずか25%!

今年も「青春18きっぷ」の販売がスタート。熊野古道近くの紀勢本線「紀伊長島-三野瀬」間が舞台になったポスターを駅で見かけたという人も多いのでは? 「青春18きっぷ」は、全国のJR線の普通・快速列車の普通車自由席などに使える期間限定のお得なきっぷですが、意外と知られていなかったり、年齢制限があると思われてしまっていたり誤解されることも多いみたい。そこで今回は、20~70代の男女500人に、「青春18きっぷ」についてアンケートを実施。実際に使っている人はどれくらいいるの? どうやって利用してる? 愛用者のおすすめルートも教えてもらったのでぜひ参考にしてみてくださいね。

「青春18きっぷ」を使ったことがある人は4人に1人

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タイトルに「青春」や「18」がついているから、若い世代限定のきっぷではないかと思われがちな「青春18きっぷ」。利用したことがあるかを尋ねたところ、「ある」という人はわずか25%。「知らない」という人も1割程度いました。一方で、一度使うとハマってしまい何度も利用しているリピーターや、帰省や長い休暇のたびに使っているヘビーユーザーも少なくないようです。

■あなたは「青春18きっぷ」を使ったことはありますか?

「ある」……25.0%(125人)
「ない」……63.6%(318人)
「青春18きっぷを知らない」……11.4%(57人)

では実際にどんな目的で、どこを旅行するときに使っているのでしょう。経験者のおすすめの利用方法を見ていきましょう。

愛媛県の下灘駅(JR予讃線)は、海に一番近い駅として人気が高い。過去の青春18きっぷのポスターにも使われたことも。

気ままな一人旅や車窓を楽しむ電車の旅に最適

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利用者の目的で多かったのが、「できるだけ遠くに行く」「行先を決めずに行く」などの一人旅。のんびり時間に追われない旅が好きという人に好評のようです。

「自分の好きな場所で好きなだけ」(39歳男性/その他)

「目的を決めずに、一人で気分のまま乗り継いでいく。日が沈んだら宿を探す」(41歳男性/その他)

「気ままなひとり旅に最適」(53歳女性/その他)

「始発から終電まで乗り倒す」(58歳男性/その他)

「ゆっくり車窓やひとり旅を楽しむ」(61歳男性/その他)

そして特に学生で多かったのは「帰省」や「卒業旅行」という目的。比較的時間がある学生時代は、多少時間がかかってもお得に移動したいと考える人が多いようです。

「学生時代、目的地を決めず取りあえず行ける所まで行って一泊して帰る、という使い方をしていました。」(41歳男性/その他)

「大学通学のために下宿していた京都と実家の東京間を夜行列車で」(57歳男性/その他)

「学生時代に利用していました。時間をかけて旅ができてよかった。運賃が全く違うから」(60歳男性/営業・販売)

車窓から流れる景色をただ見ている旅も、いいものです。

北海道、九州、四国への移動や周遊に利用した人が多数

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日本縦断や横断を目的に「行けるところまで行く」という人が多い中、特に人気だったルートは、本州から北海道に渡るプラン。飛行機や新幹線などを利用するとかなり高額になってしまう北海道旅行ですが、「青春18きっぷ」ならすごく安く行けるので時間がある人にとってはかなりお得なようです。

※体験談は過去の経験であるため、現在「青春18きっぷ」のみで同じルートを利用できるとは限りません。「青春18きっぷ」との併用で特別きっぷの購入が必要な場合もあります。

「夏休みの時期をずらして、安い金額で行きたいところに行く。秋田→函館がオススメ」(52歳男性/その他)

「青函トンネルで函館まで」(52歳男性/デザイン関係)

「北海道を一周する」(56歳男性/その他)

「大阪から敦賀に行ってそこからフェリーで北海道に行きました」(60歳男性/営業・販売)

また、東京や大阪などの都市から、四国・九州方面まで行って周遊旅行するルートも人気でした。ある程度まとまった休暇や連休が取れたら行ってみたい贅沢な旅かもしれませんね。

「始発で出発し、最終電車まで乗り継ぎをして、九州から岡山まで行けた」(53歳男性/その他)

「1日で愛知から島根松江まで行き、次の日は熊本まで行き、日本半周旅行ができた」(57歳男性/営業・販売)

「九州一周。時間をかけて海が見える」(58歳女性/主婦)

「四国JR全線乗りつぶし。四国は、内陸部を走る路線は宇土線と徳島線、内子線位で、後は瀬戸内海や太平洋に沿って走行している路線が多く、車窓から見る景色や瀬戸内海の夕日も綺麗でそれぞれの路線に観光地も多く青春18きっぷの利点でもある途中下車をして楽しむのもおすすめです」(67歳男性/その他)

長距離移動ではなくても、各エリアをじっくり観光したり、ローカル路線の旅を楽しむ人もいました。これなら長期の休みがなくてもできそうです。

「友達5人で、戸塚から浜松や、戸塚から宇都宮・水戸などのルートを利用」(50歳男性/コンピュータ関連技術職)

「京都から琵琶湖一周をした」(64歳男性/その他)

「おすすめは、(1)名古屋→松本→長野(2)名古屋→京都→大阪→姫路(3)札幌→小樽→長万部→苫小牧→札幌」(67歳男性/その他)

「私の場合は、1都10県(関東、中部、北陸)の旅と称して回ったことがある。楽しかったのでおすすめです」(73歳男性/その他)

「新幹線の走っていない路線です。中央本線、飯田線、長良川鉄道がおすすめです」(76歳男性/その他)

東京~京都・大阪区間は、観光目的だけでなく、移動手段としての利用している人も多くいました。

「大垣夜行に乗って東京でしょ」(47歳男性/コンピュータ関連技術職)

東京-大阪を「青春18きっぷ」で移動、その日のうちに着きます。

1回2,410円以上乗ればお得! 余った分は売ることも!

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「青春18きっぷ」の価格は、大人・子ども一律12,050円。5回乗れるきっぷなので、1回につき2,410円以上移動する場合はお得になります。1回あたり乗車日当日限りの乗り降り自由。計画的に利用すればかなり効率よく旅行を楽しむことができそうですね。

「往復2,410円以上乗れば元が取れるので、とにかく遠くに行く」(40歳男性/コンピュータ関連以外の技術職)

「グループで分けて使う」(62歳女性/総務・人事・事務)

「全部使いきれないときはチケットショップで売る」(66歳女性/主婦)

鉄道フォトライター・矢野直美さんに「青春18きっぷ」おすすめルートを聞きました

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いろいろとお得な「青春18きっぷ」、そのおすすめの使い方について鉄道フォトライターの矢野直美さんに教えていただきました。

「5回()分がセットになった「青春18きっぷ」は、一枚のきっぷで同一行程なら最大5人まで同時使用できるため、さまざまな使い方が考えられます。家族そろっての里帰りや、仲間との女子旅。もちろん1人でひたすら遠くをめざす旅や、気分転換の日帰り旅にも活用できます。

お目当ての町で時間をたっぷり使うために、目的地までは新幹線や特急を使い、現地では18きっぷを活用したのんびり普通列車の旅という考えもあります。使い方はまさに千差万別のため、時間や料金を計算し、お得で自分に合ったプランを考えるのも楽しみのひとつです。

普通・快速列車が基本なので、おすすめは美しい車窓をゆっくり堪能できる路線。いくつかご紹介しますね」(以下「」内、矢野直美さん)

眺めのいい路線

「日本一大きな湿原・釧路湿原やオホーツク海といった優美な車窓が広がるJR釧網本線(北海道)。

海に屹立する奇石や砂浜、漁港など日本海のさまざまな海岸風景が見られるJR五能線(秋田・青森)。

地元写真家がSNSで発表した作品によって、山間の川を渡る美しい鉄道風景が世界中から人気を集めるJR只見線(福島・新潟)。

晴天に恵まれれば3000m級の立山連峰を望むJR氷見線(富山)。

清流・四万十川とまるでランデブーするかのように走るJR予土線(高知・愛媛)。

瀬戸内の多島風景や段々畑の向こうに広がる海が絵になるJR予讃線(香川・愛媛)。

JR最南端の駅・西大山駅と円錐型の優美な開聞岳、海岸線が絵になるJR指宿枕崎線(鹿児島)など、乗って楽しく、眺めの見事な路線は本当にたくさんあり、あげていくとキリがありません」

予讃線からの眺め。写真提供:矢野直美
釧網本線の湿原。写真提供:矢野直美

普段はなかなか行けない駅へ

JR最北端の駅・稚内(JR宗谷本線・北海道)。写真提供:矢野直美

「せっかくの鉄道旅、ふだんはなかなか行きづらい駅をめざすのも一興です。

線路の両端はトンネル、背景は山の斜面と海へ向かう山道と、列車でしかたどりつけない秘境駅の小幌駅(JR室蘭本線・北海道)。

駅改札の外が企業の敷地のため関係者以外は立ち入ることができない海芝浦駅(JR鶴見線・神奈川)は存在自体が面白く、海と工場地帯が織りなす印象的な風景に出会えます。

オホーツク海に一番近いのは北浜駅(JR釧網本線・北海道)で、ガラス張りの駅舎から太平洋を望めるのは日立駅(JR常磐線・茨城)、日本海に一番近い駅といわれるのは青海川駅(JR信越本線・新潟)。

JR最北端の駅・稚内(JR宗谷本線・北海道)や、JR最南端の駅・西大山駅(JR指宿枕崎線・鹿児島)など、特徴的な駅を訪ねる旅も面白いと思います」

JR最南端の駅・西大山駅(JR指宿枕崎線・鹿児島)。写真提供:矢野直美

「青春18きっぷ」の旅の注意点

「気をつけてほしいのは、新幹線や三セク鉄道などに限られる区間での移動。たとえば北海道新幹線では、青春18きっぷ利用者に限って販売される『青春18きっぷ北海道新幹線オプション券』があります。こちらは『奥津軽いまべつ~木古内』の新幹線普通車の立席(車内の空いている席)が利用でき、『道南いさりび鉄道』(木古内~五稜郭)の普通列車が片道1回利用できます。他にも、青春18きっぷの利用者に限って適用されるルールがありますから、上手に活用してください。詳細についてはJRの公式webサイトで確認できます。

夏の旅では、もちろん紫外線対策が大切。列車内でも日焼け止めは忘れずに、日光を浴び続けることにもそなえてサングラスもあると安心。冷房の強弱に合わせられるよう、薄手の上着やスカーフがあると便利です。また、ローカル線は列車の運行本数が限られますので、途中下車するときは次の列車の時刻の確認を忘れずに。乗り継ぎのタイミングによっては、飲物や食べ物を購入するチャンスがない場合もあるので、特に飲み物は事前購入を心がけてください」

夏の鉄道旅を楽しんで!

みんなの「青春18きっぷ」体験はいかがでしたか? 事前に計画せずに行き当たりばったりの旅行ができるのも「青春18きっぷ」の魅力。車窓を楽しみながら、移動時間をのんびりゆったり過ごしたい人にとっては最適な旅行手段かもしれません。この夏の旅行計画がまだ決まっていないという人は、ぜひ候補にしてみてはいかが!?

※「青春18きっぷ」は、1枚のきっぷを1人で5回まで使えるほか、5人で1回使うグループ利用も可能。2024年の販売期間は8月31日(土)まで、利用期間は2024年7月20日(土)~2024年9月10日(火)、料金は大人も子どもも同額12,050 円。利用制限や特例などがあるので、詳細はJRの駅やWebページなどで確認してください。

ちえ
ちえ

エディター・ライター歴20年以上。女性誌やアウトドア雑誌、情報誌、スポーツ誌(自転車雑誌、水泳雑誌)などで執筆。2017年から主人の仕事に帯同しアメリカに移住。小学生の男児、中学生の女児とともに、異国の地での生活に奮闘しながら、執筆活動も継続中。現在はニュースや海外生活情報などを担当。アウトドアと旅行が大好き。趣味はパン作り。

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