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結婚生活の「理想と現実のギャップ」は行動科学で埋められる?【行動科学コンサルが新婚生活で体当たり!】#1

行動科学コンサルタントの冨山真由です。1年ほど前、結婚生活がスタートしたときは、家庭での生活を“仕事のオンとオフの切り替え”くらいに考えていたのですが、思わぬ壁にぶつかることに……。

まさに「理想」と「現実」は違うんだ、と筆者が感じたあらゆることについて、‟行動科学の視点で解決しよう!”と、この一年間、体当たりで取り組んできました。

この連載では、実際に経験してみて分かった「結婚生活の問題と解決法」について、行動科学の視点で考えていきたいと思います。どうぞおつきあいくださいね!

結婚生活を始めてぶつかった「理想と現実」

皆さんも「理想と現実は違う!」という言葉を聞いたことはありますよね。私自身は大学を選ぶときや職種を選ぶときに、恩師や親から「現実と向き合って選択をするように !!」と何度も言われてきました。

ところが、“結婚”について考えたとき、“何が理想”で“何が現実”なのか、その境目がよく分からなくなってしまったのです。結局、「価値観が合う人」という曖昧な設定で結婚を決意しました。この価値観の中には、“育ちの環境が近い”とか“仕事に対する考え方が近い”という指標が含まれています。

いよいよ入籍し、新婚生活がスタート。ここから本当の意味での「理想と現実の価値観の相違」が生まれました。“価値観が合う人”と結婚したはずですが、結婚前には想像できなかった相違が溢れんばかり!

細かいことをあげると、“毎日ゴミ出しをするかどうか“とか”“毎日タオルは取り換えるのかどうか“とか“平日はバラエティー番組ではなくニュース番組を見たい”とか……キリがないですね。どちらかが我慢をするだけではストレスになり、何にも解決に繋がらなくなりました。

そこで、折衷案を考えることにしました。私は“清潔なこと”“効率がよいこと”を好むので、相手に重視してもらい、同じように相手が大切にしている生活習慣は尊重するようにしました。たまに家でごろごろと缶ビールを飲んでもOK! 週末に運動しないでTVでスポーツ観戦しててもOK!という風に。

お互いの不満を解消する「折衷案」をルール化

はじめは自分の価値観と合わない相手の行動に“イラっ”としたり“モヤっ”としていました。よく考えてみると、相手も同じように私の言動や生活習慣に不快な感情を抱いているかもしれない……と、話し合いの時間を作りました。

そうすると、目と耳を覆い隠したくなるようなズボラな面をいくつも指摘されて自信がなくなりました。私自身のマイルールは守るのですが、自分の領域範囲外のことになると無頓着になってしまいます。“トイレットペーパーを補充しない”とか“アイロンやヘアドライヤーを片付けないままにする”などが、相手にとってはストレスのようでした。

そこでお互いに折衷案を考えて、夫婦のルールを作り、解決に繋げました。リビングの一角にコルクボードを置いて、ゴミ出し当番の日や洗濯してタオルを交換する日など10項目を書き出して、やったことに◎をつけます。お互いに「ありがとう」という声かけをするだけで“やらされ感”もなくなり、2人の共同生活を無事に過ごすことができるようになりました。

「家庭と仕事は両立したいけど、家でゴロゴロもしたい」…解決策を考えた

私は仕事では、現職リーダーの方や次世代リーダーの方の能力開発のお手伝いをしています。本人のありたい姿を明確にして、小さな目標と期限を決めて最終ゴールへと行動のステップで導いていくという手法です。

初回のセッションでは、相手の現状と理想を聞いて棚卸をしていきます。1on1のセッション形式で、「〇〇さんが大切にされているのは、△△△と□□□ということでしょうか?」というように、相違がないよう確認していきます。

同じようなことを結婚生活でも実践してみようと考えました。すると、「家庭と仕事は両立したいけど、忙しい日は疲れているから家ではゴロゴロして過ごしたい」というのが夫の意見でした。私は家事も仕事も両立しようと考えていたので、お互いが無理なく過ごせるように家庭内での“仕組づくり”をしてみよう!と考えました。

ここで、行動科学に基づく「見える化」と「動機づけ支援」の出番です。いかに楽に頑張らないで、“家庭と仕事を両立させる”ことかできるかどうかがポイントです。

「見える化」「動機づけ支援」を実行してみたら…?

1つ目は「見える化」の手法です。“朝、玄関にゴミ袋を置いておいてだせる状態にしておくこと”や“お風呂場に新しいタオルを置いて交換できるようにしておくこと”や“夕食後にはニュース番組にチャンネルを設定しておくこと”など。(もちろん夫が好きなスポーツ番組があるときは、チャンネル権は譲ります)

2つ目は「動機づけ支援」の手法です。夫婦で決めたルールを実行してくれたら、相手に感謝の声かけをします。目と目を合わせて認知をすることがポイントです。“〇〇してくれてありがとう”や“〇〇してくれて助かったよー”などと伝えることも大切です。

何事も“やらされ感”がないようにすることが重要です。これは夫婦関係でもそうですし、親子の関係でも上司と部下の関係でも同様です。ちょっとしたことに感謝をすることで、承認欲求や貢献欲求が満たされるので、好ましい行動を継続してもらえるようになります。

今までは、お互いが不服そうな態度を示すだけでしたが、それでは問題解決しませんでした。家庭内でやることを“見える化”して、感謝の声かけで“動機づけ支援”をすることにより、夫婦での生活がしやすくなりました。

皆さんも、日常で“イラっ”と“モヤっ”とがありましたら、ぜひ“見える化”と“動機づけ支援”を試してみてくださいね。

 

次回も「家庭と仕事の両立」をテーマに、日頃のストレスを解決できるようお伝えしていきます。毎日皆さんと同じような悩みに直面していますが、科学の視点を味方にし、「解決できない課題はない」ということをモットーに取り組んでいきます。ではまた次回に!


 

冨山真由

行動習慣コンサルタントの第一人者。人の行動に焦点をあてる手法と技法を提供。大手企業から業種業態を問わず幅広く研修を導入し登壇。著書に『1%の素敵な人だけが実践しているなりたい自分になる方法』『今すぐ!集中力をつくる技術』『効率・時間・スピード すごい習慣力』など。

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