1:まずは過剰反応しない
「これはお母さんだけでなく、お父さんにも多いのですが、子どもが嘘をついた、子どもに嘘をつかれたことに、ひどくショックを受けるかたがよくいます。
“子どもは純真で嘘なんかつくはずがない”と思い込んでおられるようなのですが、子どもは嘘をつくものです。家庭のなかで子どもは立場が弱いですから、何かミスしたり自分に都合の悪いことが起こったりしたら、怒られまいとして、口からツルツルと嘘がでます。
たとえば、ふざけて遊んでいて、花瓶を倒して割ってしまった場合、他人のせいにしたり、しらばっくれようとしたり……。
もちろん、このような自己保身の嘘はよくありません。親が怒るのも当然です。でも、子どもが嘘をついたからといって、“私の育て方がまちがっていたのでは?”などと悲観することはありません。
“嘘=一種の創作”ですから、子どもが嘘をつくのは成長の証。だって考えてもみてください。子どもが嘘をつけない、なんでも思ったことを正直に話してしまう大人になったら、それこそ大変だと思いませんか?
社会生活を円滑に進めるためには、ときには相手を思いやったり、人間関係に配慮したりするために本当のことを言わない必要もでてきますよね。
子どもは嘘をつくもの、嘘は成長の証、と割り切って、あまり過剰反応しないようにしましょう」(以下「」内、田嶋さん)
2:“なぜ嘘はよくないのか”を冷静に伝える
「子どもに嘘をつかれたら、“なんでそんな嘘をつくの!?”と責めてしまうお母さんも多いと思います。
もちろん、動揺してそう言いたくなる気持ちはわかりますが、ここで“なんで?”と問うても、子どもを追い詰めることにしかなりません。
子どもが嘘をつくシチュエーションは、“自分では問題を解決できない、責任をとれない”と感じたときです。たとえば、花瓶を割ってしまった場合、割れた花瓶は元には戻らないし、子どもじゃどうすればいいかわかりませんよね。それで、とっさに嘘をつくんです。
自分で責任をとれないから嘘をついたのに、“なんで?”と責任追及されると、子どもはますます責任から逃れようとするおそれがあります。
そうなると、お母さんから責められたくない一心で、子どもがよりいっそう隠し事をするようになったり、嘘のつき方が巧妙になったりするなど、悪循環に陥りかねません。
ですから、ただ嘘をついたこと自体を責めるのではなく、嘘はなぜよくないのか、嘘をつくとどんな影響があるのかを子どもに伝えたり、一緒に考えたりするようにしましょう。
ここでお母さんが感情的にならずに、冷静に話せれば、子どもが“正直に話せばお母さんはわかってくれる”と学ぶよい機会になります」
3:日ごろから“誰が悪いか”よりも“原因や解決策”に目を向けるようにする
「さきほどもお伝えしたように、子どもがとっさに嘘をついてしまうのは、自分で問題を解決できない、責任をとれないと感じたときです。
こうした自己保身の嘘をやめさせるためには、何かトラブルが生じた際に、お母さんが“これは誰がやったの!?”と大騒ぎしないことも大切でしょう。
“誰が悪いか”に焦点を当ててしまうから、人はミスを隠したりごまかしたりしてしまうのです。大人の世界でも、“自分が怒られたくない、責められたくない”という隠蔽が積み重なって、企業の不祥事が発生していますよね。
ですから、家庭内でのトラブルにおいても、“誰がやったか”という犯人探しに躍起になるよりも、“どうすればよかったのか(原因)、これからどうすればよいのか(解決策)”に目を向けましょう。
たとえば、花瓶の例であれば、割れるもののそばで遊ばなければよかったかもしれない。そして、これからすべきことは、まずは花瓶の後片付けですよね。
子どもが何か悪いことをしたり、失敗をしたりしたときには、一緒に原因や解決策を考えて、子どものできる範囲で責任をとらせること。ミスやトラブルを隠したりごまかしたりするよりも、自分でしっかり対処したほうが問題は早く解決するという経験を子どもに積ませましょう」
田嶋さんも指摘されている通り、子どもの嘘は“成長の証”でもあります。ただ怒って終わりにするのではなく、子どもとしっかりコミュニケーションをとって、その成長を後押ししたいものですよね。
【取材協力】
大学卒業後、広島県内の高校や大手予備校で教鞭をとるが、2006年に、受験だけの教育に疑問を感じ、お母さんのためのコーチングを開始。2010年から子育て講演会を全国で開催。2011年(株)未来クリエイション専任トレーナーとなる。現在は、教育問題、家庭問題の専門家として、お母さんのサポート、夫婦のコミュニケーション支援など、幅広いニーズに応えている。
【参考】