発達障害児は錯視を起こしにくい
発達障害児はコミュニケーションが苦手なことが多いが、その原因のひとつに、視覚や聴覚が独特であることが、最近の研究でわかってきたという。【まなナビ】でも先日、視覚認知不良の早期発見を発達障害の早期支援に役立てようとする、神奈川大学の和氣洋美(わけひろみ)名誉教授の試みを紹介したところ、大きな反響があった。
わたしたちの目はしばしば不思議な見え方をする。たとえば、横縞の服を着ると太って見えたりするのもそのひとつ。これらは、視覚情報が実際とは違って知覚されるために起こるもので、「錯視」と呼ばれる。
ところが、和氣先生によれば、発達障害児は、視覚認知が不良なことが多く、逆にこうした「錯視」を起こしづらいという。そこで先生は、こうした視覚認知のテストを幼児期におこなうことで、発達障害の早期支援を役立てようとする研究を進めている。
子供と一緒に本を読んで観察しよう
和氣先生によれば、こうした視覚認知不良は、家庭でも注意していれば発見できるという。その発見に役立ちそうなポイントは次の3つ。
(1)本を読む際、読んでいる場所を見失うことはないか?
(2)本を読むのが遅い、同じところを読むことはないか?
(3)エスカレータにスムーズに乗れるか?
どれも日ごろ子供と接していれば発見できるものだ。一緒に絵本を読んだり、一緒にスーパーに出かけたりするとき、子供の様子を観察してみよう。
もし該当することがあった場合は、ぜったいにひとりで悩まないでほしい。とはいえ親も周囲の無理解から孤立することが多く、さまざまな相談機関(市町村の保健センター・子育て支援センター・発達障害者支援センターなど)にもなかなか相談できないことが多いと聞く。
しかし、発達障害児はコミュニケーションが苦手であったりこだわりが強かったりすることから、集団内で孤立したり、いじめにあうこともある。そのため早期からその発達特性に応じた支援が必要だとされている。その意味からも、こうした機能面からの研究が進むことを願う。
文/まなナビ編集室 写真/(c)sokazunana7 / fotolia
(初出 まななび 2017/05/22)