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子どもが「いじめの当事者」に…そのとき親に何ができるのか?

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我が子がいじめにあった。もしくは、友達をいじめていた。子どもがどちらの立場であっても、親は胸が張り裂けるような思いになりますよね。まだ想像力が未熟な子どもは、ときに刃物のようにとがった言動で、誰かの心や体をえぐりとるようなキズをつけてしまうことがあります。

“いじめる側”はそのキズに無自覚で、“いじめられる側”は一生そのキズに悩まされることもあるからこそ、深刻な問題です。

今回は、前回に引き続き、60万人以上が訪れたいじめ相談サイト『いじめと戦おう! ~対策と克服法~』の管理人であり、『いじめから脱出しよう!自分をまもる方法12か月分』の著者である玉聞 伸啓(たまきのぶひろ)さんにお話しをうかがいました。

子どもがいじめの対象に!「SOSサイン」どう受け止めたらいい?

――子どもからの「いじめのSOSサイン」をキャッチしたとき、親はどのような対応をしたらいいのでしょうか?

玉聞伸啓さん(以下、玉聞):いじめられた経験を持つ人の相談や体験談をもとに言えるのが、「いじめられる方にも問題がある」「こうしたらよかったんじゃない?」といったアドバイスが、時として子どもの心を閉ざしてしまうことがあるということです。

いじめ相談サイトには、様々ないじめの相談や、体験談が送られてきますが、あくまでも“傾向”として、いじめをガマンし続けた子よりも、親に話を聞いてもらい、味方になってもらって、いじめられていることを受け入れられた経験を持つ子の方が、その後の人生でリカバリーがきいているということです。

歯をくいしばっていじめを耐え抜き、自分を押し殺してきた人の中には、大人になってもなお、対人恐怖症や、“コミュニケーション障害”を自覚している人が少なくありません。

それほど、いじめというのは心に大きな負荷とキズを残しながら、自尊心を奪っていくものなのです。

「いじめられる方が悪いから、直しなさい」と、真っ向から否定するのではなく、いったん、親に“つらい気持ち”を受け止めてもらうことが大切です。

場合によっては、学校を休ませたり、部活を変えたりして、いじめが起こっている場所から離れさせる措置が必要となる場合もあるでしょう。

――中には、「学校を休ませたら“逃げグセ”がつくのでは」といった心配をして無理やり学校に行かせる親もいると思いますが。

玉聞:「スポーツや勉強を逃げずに頑張る」というのと、「いじめから逃げずに頑張る」というのは、全く別のものだと思います。

もし大人だったら、四六時中会社の人間関係に縛られてるわけではないし、イザとなったら転職という“逃げ場”があります。

でも、子どもは違います。

いじめによる自殺や相談が増えるのが秋なんですが、「あと半年間もこのクラスで過ごさなければならない!」という絶望ははかり知れないものがあります。

相談してくれなければ、親がいじめを発見するのは難しい

――子どもがいじめられているときに、どうやって気づいてあげたらいいのでしょうか?

玉聞:教室内での人間関係や、SNS上で不穏なことが起き始めても、子どもはそのことを親に隠したがる傾向があります。

小学生までなら子どもの様子から何かの拍子でいじめを発見できるかもしれませんが、思春期に入ったら親が自らいじめを発見するのは、まず無理だと思っていた方がいいと思います。

子どもと普段から話しやすい雰囲気、相談に乗れる関係を気づいておくことが理想的ではありますが、思春期が訪れた子ども、とくに男の子は親のことが急に疎ましくなったり、口数が極端に減ったりして、会話どころではないという場合もあるでしょう。

さらに、特有のプライドがあり、いじめられていることをなかなか打ち明けられなかったりします。

それでも、「最近どう?」といった会話を根気よく続けながら、いつでも“SOS”を受け止められる環境を普段から保っておきたいですね。

いじめている側になってしまった……その時

――一方で、親がなかなか想像できないのが「子どもがいじめる側になった」というケースだと思います。もし、子どもが誰かをいじめているかもしれない時に、親はどうしたらいいのでしょうか。

玉聞:いじめっ子は、自分たちが悪いことをしていると思っていません。彼らなりの論理があって、自分たちが正しいと思ってやっていることが多い。例えば、「アイツが自己中で、みんなが困ってる」「不潔だから、迷惑をかけている」と、その子に気づかせて“あげている”という動機でいじめていることもあります。

だから、親が「あなた、いじめているの?」と聞いたときに、子どもは「あいつが悪いんだ」「私は乗り気じゃないけれど、友達がやっているから」といろいろと理由を並べるわけです。

すると、親は我が子のいう事だから信じてしまう。

「アイツが悪い」といういじめの動機は、わかりやすいからこそ、エスカレートしやすい。たとえいじめだとしても、リーダーは人を楽しませるサービス精神や、リーダーシップ、ユーモアといった資質を兼ねそろえていないと人はついてきません。

もし、子どもがいじめのリーダーになっているかもしれない時には、一度、その子の資質を認めてあげたうえで、「能力の発揮の仕方を間違っている。誰かを貶めるのではなく、他の方法で発揮しなさい」と導いてあげて欲しいと思います。

――それでは、子どもがもし、いじめっ子の取り巻きになっていたらどうしたらいいのでしょうか?

玉聞:いじめは、ゲラゲラと笑う子がいるからエスカレートします。取り巻きの子たちは、自分たちは手を汚しておらず、ただ笑っているだけだから罪悪感がありません。だから、「とにかく笑うな」と伝えて頂きたいと思います。

――「リアクションをとらないと、自分がいじめられるのではないか」と心配していたら?

玉聞:いつもならゲラゲラと笑うところをほんの一瞬でもためらってもらって、「フッ」と愛想笑いにとどめるだけでもいい。例えば、お笑い芸人は、お客さんがたくさん笑ってくれると調子に乗れますが、“スベる”と一気にやりにくくなります。

とにかく、周囲が楽しそうに笑うのをやめることで、いじめのリーダーはいじめにくくなります。

 

2回にわたって、いじめが発生する構図や、子どもがいじめの被害者・加害者となったときに親が考えたいことについてお届けしましたが、いかがでしょうか?

もし子どもが悩みや葛藤を打ち明けてくれた日には、彼・彼女の苦しさや寂しさ、迷いにじっくりと寄り添っていきたいものですが、頭ではわかっていても、“その日”がやってきたら動転してしまいそうですよね。

「親だから、子どものことはなんでもわかる!」と考えるより、子どもからの“SOSサイン”をいつでもキャッチできるよう、そして子どもが間違った正義感をふりかざさぬよう、普段から短時間でも子どもと向き合う時間を持っておきたいですね。

【取材協力】
※ 玉聞伸啓

東京都東大和市役所で働く地方公務員。相談サイト「いじめと戦おう!~対策と克服法~の管理人でもある。「いじめと戦おう!」では、いじめのしくみの解説や対策、克服体験談を紹介し、個別のメール相談にも応じている。

子どものころに、人をいじめた経験も、いじめられた経験もあり、いじめられなくなるための方法を自分なりに考え出していたため、2006年、文部科学大臣あてに「○○日に学校内で自殺します」という小中学生の男子からとみられる手紙が送られるという事件があったのをきっかけに、相談サイト「いじめと戦おう!」を立ち上げる。現在までに60万人以上が訪れ、メールで応じた件数は800件を超える。一男一女の父。

「いじめと戦おう!~対策と克服法~」

【参考】

※ 玉聞伸啓(2017)『いじめから脱出しよう!自分をまもる12か月』(小学館)

※ 玉聞伸啓(2011)『いじめと戦おう!』(小学館)

2017/4/18 BizLady掲載

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