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いじめが消えない構図を「60万人が訪れた相談サイト」管理人に聞いた!

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「いじめはいけないこと」というのは、誰もが家庭や教室で教えられていることではないでしょうか? にも関わらず、いじめにまつわる悲しいニュースは絶えることがありません。どうしていじめは起こってしまうのでしょうか? BizLadyでは、60万人が訪問しているいじめ相談サイト『いじめと戦おう! ~対策と克服法~』の管理人である玉聞 伸啓(たまきのぶひろ)さんにインタビュー。2回にわたっていじめが発生するしくみや、自分の子どもがいじめの被害者・加害者になったときに考えたいことについてお話をうかがってきました。玉聞さんの新刊『いじめから脱出しよう!』では、イラストを効果的に用いて、十代の子どもにも理解できるように月ごとのいじめの傾向と対策や、体験談を紹介しています。

いじめには“いじめる側”の自分本位の正義感やサービス精神が隠されている場合も

――子ども達は「いじめはいけない」と十分に教えられていると思いますが、どうしていじめが発生してしまうのでしょうか。

玉聞 伸啓さん(以下、玉聞):まず、いじめている側は「悪いことをしている」という自覚はありません。

“いじめる側”というのは、ターゲットをいじめる理由を見つけ、「あいつが悪い」と周りに思わせるのに長けたリーダー気質の子が少なくありません。

そして、クラスや部活内で、「友達がやっているから」「やっぱりあの子は、○○だからいじめられて当然だ」という空気が広がっていくと、集団での無視や暴言につながっていきます。

いじめっ子は、いじめる理由を正当化し、自分の行為に説得力を持たせるのがうまいので、周りの人たちも「やめろよ」と言いにくい空気になっていきます。

――仲良しグループの中でのいじめの相談も多く寄せられているようですが。

玉聞:仲良しグループの中で、特定の子を“イジる”という行為からいじめが始まることもあります。

この場合、いじめている側の子は、「イジることで、周囲の友達を楽しませたい、笑わせたい」というサービス精神から”イジり”を始めているケースが多く見られます。
特定の子を“イジり”、周囲にウケることで、「もっとおもしろく」と言動がエスカレートし、イジられた方がキズを負ってしまうこともあるのです。

――周囲の笑いや同調が、いじめをエスカレートさせることもあるのですね。

玉聞:以前、学校で行った講演で、いじめのロールプレイをしたことがあります。私がいじめのリーダー格役。そして、先生方に“いじめられっ子役”と、いじめっ子の“取り巻き役”を演じてもらいました。

いじめのリーダー格が“いじめられっ子役”をいじめると、“取り巻き役”が爆笑する……という設定でお芝居を行いました。

私がしていることは面白くも何ともないのですが、取り巻き役が大笑いすると、生徒たちもつられて笑うんですよ。

そうすると、僕は演技なのに「こんな風に言ったらもっとウケるかな」と、いろいろアイディアがわいてくる。

ウケることで、いじめっ子としての正義感やサービス精神で、いじめたりイジったりする動機がスラスラと言えるようになり、いじめが誰かを楽しませるための“ショー”のようになってしまうんですね。

“ぼっち”より“いじられキャラ”でいることを選び続ける子もいる

――もし、いじめのターゲットになってしまったらどうすればいいのでしょうか?

玉聞:いじめの初期には、何かされてもできるだけ反応しない、つまり無視することで、いじめのやりがいを失わせ、集団化を防ぎます。

そして大切なのは、クラスの外や自分の仲良しグループ以外のいろんな人とあいさつをして、ゆるくつながっておくこと。

あいさつだけでなく、天気の話をしたり、ちょっとした会話ができる相手をできるだけ多く持っておくんです。

いじめられっ子は、仲良しグループを離脱して“ぼっち”、いわゆる1人ぼっちになることを恐れ、ガマンして“いじられキャラ”でい続けてしまうことがあります。

そんなとき、コツコツと築いておいたゆるいつながりが役にたちます。

そして、誰かに相談すること。「助けて!」というのは恥ずかしいことではありません。誰か1人に言って変わらなくても言い続ければ変わっていきます。

――玉聞さんの前作『いじめと戦おう!』では「シカトくずし」「自己中つぶし」といったユニークなテクニックが紹介されていますね。

玉聞:さきほども言ったように、いじめっ子には「誰かをいじめている」という自覚はなく、基本的に自分のことを「いい人だ」と思っています。

いじめのグループが大きくなる前に、みんなのために掃除や係活動をがんばって自己中のイメージを植え付けないよう“自己中つぶし”をして悪いイメージを払しょくする。

“シカト”をされたら、いじめグループの取り巻きメンバーが1人でいるときに明るくあいさつをして、シカトの正当性失わせたりする“シカトくずし”といった対応で、「うまくいった」という体験談も寄せられています。

――大人の社会で起こるいじめでも使えそうですね。

玉聞:大人の社会では、子どもの社会より集団いじめは起こりにくいのですが、いじめをする側は必ず理由をつくるので、「いじめる理由をつぶす」「ギャラリーを減らす」ということを心がけて、いじめの“ジャマをする”というのは有効かもしれません。

例えば「新人なのに生意気だ」という理由で職場のお局さんに目をつけられたら、組織の中で新人に課せられた仕事を一生懸命頑張ってみる。自分を変えなくてもいいから、行動を少し変えて相手が責める理由をなくしてみると、相手がいじめにくくなるのではないでしょうか。

 

以上、玉聞 伸啓さんにいじめの構図についてお話をうかがいましたが、いかがでしょうか?

玉聞さんの著書は、子どもにとってもわかりやすく、いざという時のためにぜひ自宅の本棚に保管しておきたい。特に新刊『いじめから脱出しよう!』には、月ごとのいじめの傾向がまとめられており、子ども時代のことを忘れつつある大人が読んでもいろんな発見があります。

いくら子どもに「人生は長い」「世界は広い」と教えても、学生時代というのは、学校での人間関係が全てだからこそ、いじめが死活問題となることもあります。

次回は、自分の子がいじめの被害者や加害者になっていた時の対処法などをお届けします。

【取材協力】

※ 玉聞伸啓

東京都東大和市役所で働く地方公務員。相談サイト「いじめと戦おう!~対策と克服法~の管理人でもある。「いじめと戦おう!」では、いじめのしくみの解説や対策、克服体験談を紹介し、個別のメール相談にも応じている。

子どものころに、人をいじめた経験も、いじめられた経験もあり、いじめられなくなるための方法を自分なりに考え出していたため、2006年、文部科学大臣あてに「○○日に学校内で自殺します」という小中学生の男子からとみられる手紙が送られるという事件があったのをきっかけに、相談サイト「いじめと戦おう!」を立ち上げる。現在までに60万人以上が訪れ、メールで応じた件数は800件を超える。一男一女の父。

「いじめと戦おう!~対策と克服法~」

【参考】

※ 玉聞伸啓(2017)『いじめから脱出しよう!自分をまもる12か月』(小学館)

※ 玉聞伸啓(2011)『いじめと戦おう!』(小学館)

2017/4/17 BizLady掲載

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