1:本当は食べ物ではなく水分を欲している
「喉の渇きを感じているとき、脳は水分を摂るよう指令を出します。飲み物よりも食べ物で水分補給をしやすいシチュエーションの場合、多くの人は食べ物に手を伸ばしてしまう傾向にあるのです。
本来水を飲めば満たされるところ、チョコレートやクッキーなどを食べてしまい、余分なカロリーや糖質を摂ってしまっているかもしれません」
美容や健康のために水は1日2リットル飲むように……というアドバイスはよく耳にしますが、井上医師の見解によると食べ過ぎや脳の勘違いにも有効な方法なようですね。
食べたいという衝動に駆られた時や間食時にはまず水を飲んで水分補給を。お腹も脳も満足して、食べ過ぎを防止できるでしょう。
2:頭を使って集中して仕事に取り組んでいるとき
「気合いを入れて仕事に向かっていたり考え事をしていると、脳では快感ホルモンとも呼ばれるドーパミンが放出されます。しかし、集中力が長くは続かないように、ドーパミンも長時間放出し続けることはできません。
一旦仕事をストップしたり集中力が切れた瞬間が最も危険! 急落したドーパミンを補おうと、食べ物を欲してしまうのです」
もちろん、食べ物は脳や体のエネルギー源となりますが、一生懸命考え事をすることがカロリー消費に繋がるとは言い難いのだとか。
一旦低下したドーパミンを上げる方法としては、ラベンダーなどのアロマ系の香りを嗅ぐなど嗅覚を刺激することが効果的。アロマオイルをデスクに常備しておくか、間食の代わりにハーブティを飲むなどに切り替えてみましょう。
3:満腹感を得るには、視覚も必要
「脳が“十分”だと認識するためには、実際に胃が満杯になることよりも、見た目や香り、味を十分に感じることが必要です。スマホ片手に食事したりテレビにばかり集中していると、十分に料理を楽しむことなく胃が一杯になるまで食べ続けてしまうことになります。
また、食べることに意識が向いていないので早食いになったり噛む回数も少なく消化にもよくありません」
食事中は気が散らぬよう、スマホなどはしまっておくといいでしょう。
忙しいときは仕事をしながらおにぎりを頬張る、なんてこともあるかもしれませんが、できるだけ“ながら食べ”は避けるべきと言えます。
以上、食欲に駆られるケースと食べ過ぎ対策でしたが、いかがでしょうか?
ついつい食べ物に手を伸ばしてしまうシチュエーションを考え直せば、それが本当に空腹を感じているのか、癖のようになってしまっているのかがわかるはず。
真の空腹なのかフェイクなのかを自覚しておくことこそが、食べ過ぎや体重増加の防止に繋がります。
【取材協力】
※ 井上 浩夫(いのうえ ひろお)・・・兵庫医科大学卒業。内科医を勤めた後、国境なき医師団の一員として海外へ渡る。50代で大阪府にある医療法人の理事長に就任。80歳になる今も現役で働きながら、精力的に医療系のボランティア活動に参加している。
2017/3/9 BizLady掲載