葬儀で「香典辞退」増えるワケと対応
null関西地方は「香典辞退」が増加
香典は、もともと遺族の葬儀の負担を周囲で助け合うために慣習化されたもの。
ところが近年は、遺族が香典辞退を申し出るケースが増えてきています。香典がなくても葬儀の費用をまかなえたり、参列者や香典返しの負担などを考慮したり、といったことが理由のよう。地域差はありますが、とくに関西地方に多く、香典のない葬儀はおよそ8割にのぼります。
「香典辞退」を伝えられたら、持参しなくてもOK
もしも「香典を辞退する」と伝えられた場合は、持参しなくても大丈夫。受付で差し出しても、丁重にお断りされることが多くあります。判断がつきかねる場合は、遺族に問い合わせてみましょう。
ただし故人との関係が深いなどの理由で、どうしても香典を渡したいという場合はその限りではありません。受け取ってもらえるように気持ちを伝えてもいいでしょう。
「ご厚志お断り」とはどういう意味? 辞退の種類と意味
葬儀で香典やお供え物を断る際のフレーズはいくつかありますが、主なものは以下の通り。それぞれ意味が異なるので覚えておきましょう。
(1)「香典辞退」・・・“香典”を辞退しているので、供花(きょうか)や供物(くもつ)を贈っても構いません。
(2)「供花、供物はお断り」・・・香典は断られていないので持参します。
(3)「ご厚志お断り」・・・香典・供花・供物のいっさいを辞退するという意味。葬儀に参列するだけでいいということです。
香典辞退で「香典以外のお供え」を贈るには
null供花を贈りたい場合の手順と注意点
香典以外の方法で弔意を表したい場合に、供花を贈る方法があります。
供花は生花店で作ってもらうこともできますが、祭壇の装飾が決まっている場合は持ち込み不可とされることがあるので注意しましょう。供花を贈りたい場合は、まずは遺族にその旨を伝え、指定された葬儀社に頼むとスムーズ。予算は1基につき1万5,000円~2万円が一般的です。
オリジナルの供花や花輪を贈りたいときは…
故人との縁などから、どうしてもオリジナルのフラワーアレンジメントを贈りたい、故人の好きな花をお供えしたいといった場合は、葬儀ではなく四十九日に自宅に届ける方法も。
なお、かつては葬儀会場の外に花環(はなわ)が飾られることがありましたが、最近は並ぶ光景を見ることは少なくなりました。
会社などで花環を贈りたい場合は、まずは遺族に確認してください。
供物を贈りたい場合の手順と注意点
供物は、供花と同等サイズの盛籠を祭壇に飾るのが一般的です。祭壇の規模や部屋の広さによっても変わってくるので、贈りたい場合は遺族の意向を確かめてからにしましょう。
葬儀での供物は、香典の代わりというよりも故人と縁が深い場合に送られることが多いもの。ただし最近では、葬儀の簡略化が進み、供物を贈る習慣も減ってきています。
もし頼む場合は、指定の葬儀社に直接連絡をしましょう。相場は1万円~1万5,000円程度。
なお、キリスト教の場合はお供え物を祭壇に飾る習慣はないので、供物は贈りません。神式は一般的に仏式に準じます。
葬儀後に香典や供花・供物を贈るには
null葬儀後に訃報を知った場合、香典や供物を送ってもOK
葬儀が終わってから訃報を知った、もしくは遠方で参列できなかったということもあります。弔意を示したいものの、葬儀のときに遺族が香典辞退を申し出ていた場合はどうすればいいのでしょうか?
こういったケースでも、亡くなってから3カ月以内であれば、受け取ってもらいたい気持ちを伝えて香典を送っても構いません。3カ月以上時間が経っている場合は、供花や供物を贈るといいでしょう。
葬儀後に送る供花はどんなものがいい?
葬儀後は、仏壇に飾りやすい卓上サイズの供花を選ぶのがベター。祭壇では生花を贈るのが一般的ですが、自宅に飾るのであれば、手入れの不要なプリザーブドフラワーもおすすめです。
葬儀後に送る供物の種類とおすすめ
供物は、仏式の場合は線香や菓子・果物などを送ります。
このとき、よかれと思って高価な品物を送ると遺族はお返しが必要となり、かえって負担をかけてしまうことが。1,000円程度から、高くても3,000円くらいまでのものがおすすめです。
なお、仏式の供物としては線香がポピュラーですが、贈られる機会が多いため、使いきれずに溜まってしまっている場合もあります。最近では仏壇を置いていない家も多いので、線香を贈るときは遺族に事前に尋ねてみると親切です。
いかがでしたか? 香典を辞退された場合は、故人との関係性でどうしても渡したい場合をのぞき、そのまま素直に従って問題ありません。遺族に余計な負担をかけることなく、お見送りしたいものですね。
【監修】
葬儀・お墓・終活ビジネスコンサルタント
吉川 美津子(きっかわ みつこ)
大手葬儀社、大手仏壇・墓石販売店勤務を経て、専門学校にて葬祭マネジメントコース運営に参画。現在は葬儀・お墓・終活ビジネスコンサルタントとしての活動に加え、医療・介護と葬送・供養の連携を視野に葬送・終活ソーシャルワーカー(社会福祉士)としても活動している。
共同監修『葬儀・相続 手続きとお金』(扶桑社)、共著『死後離婚』(洋泉社)、著書『お墓の大問題』(小学館)など。