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「おしるこ」と「ぜんざい」の違いは餡の形状?具材?便利なパウダー状の餡も!

【食べ物の違い豆知識】を紹介するこのシリーズ。第33回は、鏡開きの日(1月11日)に食べられることも多い、この甘味について。料理研究家・時吉真由美さんにうかがいました。

まずは「おしるこ」と「ぜんざい」について調べてみると…

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おしるこ

小豆あんを汁状にし砂糖を加えて煮たものに焼き餅や白玉団子などを入れた食物。

【出典】デジタル大辞泉 小学館

ぜんざい

善哉餅のこと。関西ではつぶしあんの汁粉。関東では餅に濃いあんをかけたもの。

【出典】デジタル大辞泉 小学館

つまり「おしるこ」と「ぜんざい」の違いって?

どちらも、小豆に砂糖を加えて煮たものに、お餅や白玉などを乗せたり餡をかけた料理である点は共通しています。

しかし、つぶ餡かこし餡か、汁気のありなしといった点が地域によって異なるよう。

普段、自分が食べていたのは、おしるこなのかぜんざいなのか……。詳しく見ていきましょう!

似ているようで違う両者…おうちでの作り方も!

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地域によって変わるおしるこ・ぜんざいの定義と呼び方

おしるこ
ぜんざい

料理研究家・時吉さんによると……

おしるこは、文字通り汁気があるものでこし餡が使われます。ぜんざいは、おしるこよりも汁気が少なく、つぶ餡を使うというのがよく言われる特徴です。ただし、定義は地域によって異なってきます」(以下「」内、時吉さん)

調べてみると、関東・関西では次のような呼び方が定着しているようでした。

関東:こし餡かつぶ餡かを問わず、汁気のあるものを「おしるこ」、汁気の少ない餡に餅などを入れる、あるいは餅などに餡をかけたものを「ぜんざい」と呼ぶ。こし餡なら「御膳じるこ」、粒あんなら「田舎じるこ」と呼び区別する地域もある。

関西:汁気のあるもののうち、こし餡のものを「おしるこ」、つぶ餡のものを「ぜんざい」と呼び分け、汁気が少ないものは「亀山」と呼ぶ。

うーん、定義も違えば呼び方もじつにバラエティ豊か! 違いは地域による、というのが答えのようです。

ちなみに御膳じるこの“御膳”とは上等の意味だそう。そもそもこし餡は小豆をすりつぶして裏漉しが必要なので手間がかかります。手間暇かけたもの=上等と連想されて、こう呼ばれたのかもしれませんね。

こし餡・つぶ餡と2種類あるのはなぜ?

「こし餡、つぶ餡とあるのは、単に好みや地域性の問題だけではないのかもしれません」と時吉さん。

おはぎとぼたもちの違いでもお話したように、もしかしたら、小豆の新豆が穫れる秋ごろは豆そのものをいかしたつぶ餡、冬を越して固くなった豆を使うようになると、漉して豆の皮を取り除いたこし餡で……なんて作り分けていたのかも」

季節によって小豆をおいしく味わえるように……という考え方、おもしろいですね! 餡に入れる中身についてはいかがでしょうか?

栗ぜんざい

「地域によって傾向はあるようですが、とくにコレという明確な決まりはないと思います。

焼き餅のほかに白玉を入れることもありますよね。作り方はさまざまで、別茹でした白玉を餡に入れることもあれば、煮えた餡の中に直接白玉を投入して一緒に煮てしまう方法もあります。後者の場合は白玉からのとろみも餡に加わりますよ。

この他に、あわや栗などを乗せた変化球ものもおいしいですね」

小豆からあんこを作るのが面倒なときは「さらし餡」を!

さらし餡
さらし餡を使ったおしるこ(撮影:時吉さん/Instagramより)

“さらし餡”というパウダー状の餡はご存知でしょうか。日にさらして乾燥させた粉状の餡のことで、おしるこを作る時は、この“さらし餡”を使うと便利です。作り方はいたって簡単!

  1.  ボウルや鍋にさらし餡とさらし餡にかぶるくらいの水を入れてかき混ぜる。
  2.  さらし餡が完全に沈殿したら上澄みをゆっくり捨てる。これをもう1回行う。
  3.  2に、さらし餡と同量の砂糖、少量の醤油を加え、焦げないようかき混ぜながら加熱する。

これでおしるこの餡は完成! あとは白玉を入れたり焼きもちをのせたり……お好みでどうぞ」

これは便利! 小豆を漉す手間いらずで簡単におしるこや和菓子の餡が作れますね。調べてみるとネット通販などでいろいろな種類がみつかります。しかも、砂糖の量で甘さの加減ができるのがうれしい!

「さらし餡は日に当てて乾燥させるため、ひなた臭さ(いわゆる乾物臭)が気になる場合も。水でかきまぜて上澄みを捨てるのは、アクやえぐみとともに、このひなた臭さも取り除く効果があるんです。

醤油を入れるのは甘さを引き立たせるため。作る分量にもよりますが、小さじ1/2など少量でOKですよ。

ぜんざいを作る場合は、やはり小豆からがおすすめです。新豆は柔らかいので水にさらさなくても大丈夫ですが、もし古い小豆なら、10~15分ほどさらしてから煮ましょう。さらに1度ゆでこぼすと、ひなた臭さもしっかり取ることができますよ。お豆が柔らかくなったら砂糖と少量の塩を入れ、火が通ったら完成です。

とくにさらし餡を使ったおしるこはとても手軽で、間違いなくおいしくできますからぜひトライしてみてくださいね」

お雑煮に飽きてしまったら、パパッとおしるこやぜんざいを手作り……なんて選択肢、ステキですね。

 

構成/kufura編集部

時吉真由美
時吉真由美

料理研究家。(株)Clocca代表取締役 cooking Clocca代表

土井勝料理学校をはじめ各地の料理教室講師のほか、「ZIP!MOCO’Sキッチン」(放送終了)「有吉ゼミ」などTV・出版物等のフードコーディネートや、料理、レシピ制作などで幅広く活躍。

Instagram(@cooking_clocca)では、日々のお料理や季節の和菓子といったレシピを中心に、オススメの調理器具やロケ先で出合った食材などを発信中。

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