気になるんです
null選択の自由があってよかった
null山田シャルロッテです。
多くの女性が仕事を持っている時代、出産と産後育児による休暇は避けられません。産休、育休の整備がしっかりしているお勤め先であっても、出産時の体力消耗は、悩ましい問題ですよね。
そこで注目されている方法の一つが、硬膜外麻酔を利用した、通称「無痛分娩」です。
出産時の痛みを麻酔で大きく軽減する方法で、世界保健機構(WHO)が推奨しており、フィンランドではお産全体の約9割、フランスは約8割、アメリカでは約7割……という導入率ですが、日本では近年でも1割以下(2020年9月厚生労働省調べ)……と、なかなか普及しないようです。
その背景には医療体制の整備問題もありますが、古くから「産みの苦しみ」「お腹を痛めた子」という言葉があるなど、陣痛の痛みを神聖視する傾向も関係しているようです。
筆者の周囲には、実際に「無痛分娩」でお産したママが複数人いますが、出産時の痛みの程度が、我が子に対する愛情と関連しているとは、到底思えません。
……などなどの背景から、今回の漫画で、現代的な出産法の一つとして「無痛分娩」を扱ってみました。
まだ日本では対応している産院の数が少なく、通常の分娩より費用がかかる(相場は+10万円前後)、妊産婦の体調によっては選択できない、麻酔のリスクが0ではない……などの問題もあります。また、対応している産院でも、漫画の江美子さんのケースのように、「出産予定日近くなったら検査によって計画分娩日を決める」というスタイルもあれば、「自然な陣痛が始まってから麻酔対応をする」というスタイルもあるなど、方法は一定ではありません。
なので、もし今後「無痛分娩」をしたいという方は、事前によく調べて、ご自身に合った対応産院を早めに探すことをおすすめします。今の日本では「産気づいて産院に行って『無痛分娩』を希望すれば、すぐ対応してくれる」というわけではないのです。
お産は大仕事ですが、その後すぐに開始する新生児育児も大仕事です。小さな命のお世話は待ったなしで、産後のママたちは、満足な睡眠や休息、食事の時間もとりにくい日々が数カ月、続きますから。
希望の出産方法を選びやすい環境がもっと整いますように、と切に願います。
ライター&イラストレーター・漫画家。1児を高齢出産後、都内で子育て中。
仕事をしながら子どものお稽古事やスポーツ活動の委員、PTA活動などもけっこう参加するので、ママ友多数。