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赤ちゃんが欲しいと思ったら…医師が教える「妊娠前にすべきこと」4つ

「赤ちゃんがほしい」と思ったら、皆さんはまず何から始めますか? さまざまなリスクを抑えて、安心で安全な妊娠・出産をするためにも、妊活をスタートする際にやっておきたいことがあるようです。今回は、東京にある産婦人科・三鷹レディースクリニック院長の天神尚子先生に、赤ちゃんがほしいと思ったら“まずやるべきこと”を教えていただきました。

1:婦人科検診を受ける

天神先生によると、「赤ちゃんがほしい」と思ったら、まず最初にやってほしいのが“婦人科検診”の受診だそうです。子宮がんや子宮筋腫、卵巣腫瘍、性病など、妊娠の妨げや赤ちゃんに影響するような病気がないか、まずはきちんとチェックしましょう。

「妊娠がわかった後にこれらの病気が判明すると、場合によっては妊娠継続をあきらめなくてはいけないこともあるので注意が必要です」(天神先生。以下「」内、同)

また、妊娠初期にママが風疹にかかると胎児にさまざまな悪影響を及ぼす可能性が。風疹にかかったことがあるかどうかわからない人については、風疹抗体をチェックし、抗体がない場合は予防ワクチンを接種しておくことも大切だそうです。

「風疹のほかにも、はしか、水ぼうそう、おたふくかぜなど、予防注射があるものに関しては抗体の有無を調べておきましょう。妊娠中にかかると重症化したり、流産や早産のリスクが高くなることもあるため、抗体が低いものについては念のために予防注射をしておいたほうがいいでしょう」

2:葉酸を摂取する

「二分脊椎(にぶんせきつい)などの赤ちゃんの神経管閉鎖障害を予防するためには、葉酸をきちんと摂取することが大事です」

これは妊娠の1カ月前から摂取すると効果的だと言われていて、厚生労働省も「妊娠を計画している女性は1日に0.4mgの葉酸を摂取するように」と推奨しています。

葉酸は緑黄色野菜やフルーツなどから摂取することができますが、水に溶けやすく体内に蓄積されにくい性質があるそうなので、食事と合わせてサプリメントで補給するのがいいそうです。ただし、上限摂取量“1日に1mg”を超えないように注意する必要があるとのことなので、気をつけましょう。

3:基礎体温をつける

これは基本中の基本ですが、妊活の第一歩は基礎体温をつけること。基礎体温によって子づくりのタイミングを知ることができるのはもちろん、排卵の有無や黄体ホルモンの働きをチェックすることもできるのだそう。

「基礎体温が二相に分かれていない、高温期が10日以下しかないといった場合は、無排卵や黄体機能不全が疑われるため、すぐに病院で診てもらったほうがいいでしょう。

また、基礎体温をつけることによって、妊娠した場合もすぐにわかるので、妊娠に気づかずに“レントゲン検査を受けてしまった”“赤ちゃんに影響のある薬を服用してしまった”といったトラブルを避けることもできます」

4:生活習慣を改善する

(1)禁煙する

「タバコを吸うと血管が収縮し、血流も低下してしまいます。そのため、胎児の脳の発育不良など、赤ちゃんにさまざまな悪影響を及ぼします。妊娠中はもちろんですが、妊娠前から絶対にタバコはやめるべきです」

(2)食生活に注意する

「自分の体調を整えるためにも、バランスのよい食生活を心がけることが大切です。血圧が高いと妊娠中に影響が出るため、妊娠前の段階から塩分を控えて、薄味で素材のうまみをいかす調理を心がけるといいでしょう」

胎児の発育と安全なお産のためには、ママは太りすぎてもやせすぎてもダメだそうです。妊娠前から標準体重を維持することが重要になります。なお、妊娠前および妊娠中は、栄養が偏ってしまうような過度のダイエットは禁物とのこと。

(3)ストレスをためこまない

「“ストレスは万病のもと”と言われるように、ストレスがたまると自律神経のバランスが悪くなって、ホルモンバランスも崩れてしまいます。ホルモンバランスが崩れると、月経不順や不正出血、無排卵といった症状が出るため、妊活の大きな障害となります」

このことから、自分に合うストレス解消法を見つけて、なるべくストレスフリーな生活が送れるように心がけるといいでしょう。

(4)体を冷やさない

「体が冷えると、血液循環が悪くなってホルモンバランスも乱れてしまいます。月経不順になることもあるため、妊活中の人にとってはマイナスなことだらけ。シャワーをやめて湯船につかる、体を冷やす服装を避ける、十分な睡眠をとるなど、体を温める生活を心がけましょう」

また、適度な運動もおすすめだそうです。運動することによって血液循環がよくなるのはもちろん、妊活の大敵であるストレスを発散することもできますね。

 

いかがでしたか? 「赤ちゃんがほしい」と思ったときに、婦人科検診を受ける人は少ないと思います。しかし、妊娠した後では病気の検査や十分な治療が難しいため、妊娠前に自分の健康状態を把握して、何か問題があれば先に治療をしておくことはとても大切です。

なお、糖尿病、高血圧、心臓病、腎臓病、気管支ぜんそく、精神疾患などで通院中の人については、妊娠のタイミングや服薬のことなど、主治医ときちんと相談したうえで妊活を始めることも重要なポイントだそうです。

 

【取材協力】

※ 天神尚子・・・三鷹レディースクリニック院長。産婦人科医、医学博士。日本医科大学産婦人科入局後、同大学産婦人科学講師、三楽病院産婦人科科長などを経て、2004年に同クリニックを開院。女性が健康ではつらつと生活を送れるように、ライフスタイルに応じた心身のトータルケアを行う。雑誌や書籍の記事執筆や監修など、各種メディアでも活躍中。

 

【参考】

※ 神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について – 厚生労働省

2017/7/11 WooRis掲載

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