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【犬山紙子の答えはなくとも育児会議〜楽になりたくて】vol.3 妊娠に出産…お祝いの言葉について考える

『私、子ども欲しいかもしれない。』(平凡社)で「子ども本当に産んで大丈夫!?」「仕事と両立、本当にできるの?」など、出産についてとことん考えた犬山紙子さん。
そして2017年1月に女の子を出産し、育児まっただなかの今、どんなことを考えているのでしょうか? 先輩ママ、独身女子などいろいろな立場から「妊娠・出産・育児」にまつわるお話を聞いていきます。

【今回の会議参加者】編集K(7才女&3才男の二児の母)、編集S(独身)、編集N(既婚子なし)

妊娠して気づいた、周りからの言葉への違和感

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編集S:妊娠報告に対する、周囲の反応は色々あると思いますが、周りから言われて違和感を覚えたことはありましたか?

犬山紙子(以下、犬山):違和感があったのは、まず性別問題ですね。

編集S:「男の子と女の子、どっちがいいの?」とかですか?

犬山:そうそう。人によるとは思うんですけどね。「男の子がいい」って言って、産んで女の子だったときに「男の子がいいって言っちゃった……」と罪悪感を持ってしまう気がして。
あと嫌だったのは、“(ひとりは)男の子を産むのが当たり前”な感覚で声を掛けられるときとか。悪気がないのはわかるけど、「育てやすいから最初は女の子がいいよね」とか言われると、「え、私2人目産む前提?」みたいな。

編集K:うちは、上が女の子で下が男の子だから、「すごい、やったじゃん!」みたいなことをよく言われたりはしますね。「一姫二太郎、よかったね」とか。でも、特に自分ではよくやった感はないし、“そこ狙って頑張った”感じで言われると確かにちょっと違和感があって。ただ、相手も深い意味はなく、会話を滑らかにする中でのことだったりするんですよね。

犬山:確かに。でも、褒め言葉だからって何を言ってもOKではないし、やはり性別で何かをジャッジするというのは、リスクがある発言かなと思いますね。多くの妊婦さん、母親は、子どもの性別がどっちでも愛するし、どっちでもかわいいから。
でもこれは妊娠して初めてわかったことで、以前は私もめっちゃ言ってました。

出産祝いのコメント、ママは何が嬉しいもの?

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編集S:ちょっと似た話かもしれないんですけど、実は私、出産祝いのコメントって何を言えばいいのかわからないんです。「かわいい赤ちゃんだな」「(母になった友だちに対して)お疲れ様! 頑張ったね!」っていうことは本気で思うんですが、それだけだと子持ちの人たちに比べてあっさりしすぎるというか……。LINEグループのコメントを見ながら悩んでしまう。

犬山:LINEグループあるあるですね。グループで誰かが「おめでとう!」ってテンション高めに言うと、皆同じテンションで言わなきゃいけなくなる(笑)

編集S:そうなんです。グループで出産報告されるとそこに返さないといけなくて。しかも、私は悪気もないし本当におめでとうと思ってるんだけど、経産婦と独身子なしのテンションの上り幅がけっこう違うんですよね。私も出産したらテンション高めになるのかもしれないけど、性格的に上り幅が低いのかもしれないし……もうわっかんない!みたいな(笑)

犬山:その組織のノリもありますよね。私の場合はゲームクリアしたくらいの感じで、「おっ、おめ!」「今度顔見に行くわ」で終わる人もいたけど、私は何ひとつ嫌ではなかったですし。赤ちゃんを祝福してくれてるんだって思うと心の底から嬉しかったです。

そもそも結婚・出産ってそんなに女として偉いこと!?

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犬山:おめでとうメールでモヤっとするのは、あっさりしたものじゃなくて、「女の責務を果たして偉い!」とか「女の幸せを手に入れたね」というやつ。いや、出産って責務でもないし女の幸せでもない。その人が産みたくて産んだっていう、決断の結果ですよね。
あと、結婚もなんですけど、結婚した人があんなに皆に祝われるのが今でも不思議なんです。自分で勝手に「この人と生活を共にする」と決めてそうする、ただの決断ですよね。なんで皆でお金渡して「おめでとう」って言うんだろうって。

編集N:無条件で祝われますよね。私は今年結婚したんですけど、本当にやたら祝われるなーと不思議でした。まあ自分も人には「おめでとう」って言うんですけど。

犬山:ちょっと分からないんですよね。だって、独身も「1人で生きていく」決断ですよね。結婚も「私はパートナーがいたほうが生きやすいからそうするわ」という決断。独身の決断は誰も祝わないのに、結婚の決断は皆が祝うっていう。祝うことが悪いって言ってるわけではないし、お祝いはしたい人がするぶんにはとても素敵なことと思うのですが、「結婚は強制的に周りがお祝いしなきゃいけない」ってなってるのはなんなんだろうって……。

さっきの出産祝いのテンションの話にもどりますけど、こういうのは産んだ人の性格によると思うんです。産んだママが普段出産した人へのコメントがテンション高めだったら同じ感じを求めている可能性があるけど、あっさりしている人だったら、あっさりめのコメントで全然いいかなぁって。相手のテンションで変えていくしかないのかな。
これは出産お祝いコメントというより、“人付き合いをどうするか”かもしれない。

編集K:私の場合は、産後はスマホを見るといつも以上に目が疲れたりするのが分かるので、あまりLINEやメールは送らないかな。スタンプと、あとはもう「とにかくお疲れ様。落ち着いたらまたね」くらいにして。

犬山:「お疲れ様」って、嬉しいですね。

編集K:疲れるから、本当に(笑)

犬山:あと私、「これからも変わらずよろしく」だったら嬉しいかもしれない。

一同:あああ~(納得)

犬山:「母ちゃんになったから忙しいだろうし距離置こう」「誘ったら悪い」とか、善意の気を使われたくないっていうか。断ることは増えるけど、誘ってほしいですから。

編集K:うんうん。妊娠&出産って、体も心も生活も変わっていくものだらけだから、変わらずにいてくれる相手がいるっていうのは絶対的な安心ですよね。

 

構成/kufura編集部 撮影/黒石あみ(小学館)

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