明治の建物を平成の丸の内に復元した「三菱一号館美術館」
null東京駅からわずか徒歩5分の場所にある『三菱一号館美術館』は、周囲の高層ビルの合間に佇む赤いレンガのクラシカルな外観が印象的。
建物は1894年に建設された『三菱一号館』を可能な限り忠実に復元したもので、明治期に日本で活躍した英国人の建築家、ジョサイア・コンドルが丸の内初の洋風事務所として設計しました。
残念なことに元の『三菱一号館』は、老朽化のため1968年に解体されましたが、2010年春に美術館としてふたたび丸の内に帰ってきました!
現在の建物には、階段部分の手すりの石材など、当時の部材が再利用されています。
企画展は19世紀末~20世紀の近代美術が中心
null美術館で行われる企画展は、『三菱一号館』が建設された19世紀末から20世紀の芸術が中心。
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックやオディロン・ルドン、フェリックス・ヴァロットンなど、作品から当時の世相をちらりと垣間見ることができる芸術家たちの作品も収蔵しています。
現在開催されている「パリ♥グラフィック ― ロートレックとアートになった版画・ポスター」展(2018年1月8日/月・祝まで開催)は、19世紀末のパリにおける版画の広がりに着目した展覧会。
所蔵されているトゥールーズ=ロートレックのポスターなどがたっぷり鑑賞できるだけでなく、『三菱一号館』が建設された当時の雰囲気も想像できる展覧会です。
ちなみに、当時の丸の内は、イギリスの経済の中心地・ロンドンのロンバート街をモデルとして建設されたことに由来して、「一丁倫敦(いっちょうろんどん)」と呼ばれたモダンなオフィス街。現代のように多くの人々が働いていたそうです。
当時の人たちがどのように働いていたのかは、美術館に併設された「三菱一号館美術館 歴史資料室」(なんと入場無料!)で知ることができます。こちらの鑑賞もオススメですよ。
ちょっと時間ができたときに、19世紀末に思いを馳せながら東京駅を降りてふらりと立ち寄ってみませんか?
【施設情報】
『三菱一号館美術館』
東京都千代田区丸の内2−6−2
開館時間:10:00~18:00
※祝日・振替休日を除く金曜、第2水曜、会期最終週の平日は21:00
※入館は閉館時間の30分前まで
休館日:月曜(祝日・振替休日・会期最終週の場合は開館)、年末、元旦、展示替え期間
最寄り駅:
JR「東京駅」丸の内南口 下車(徒歩5分)
JR「有楽町駅」国際フォーラム口 下車(徒歩6分)
東京メトロ千代田線「二重橋駅」(徒歩3分)
東京メトロ有楽町線「有楽町駅」(徒歩6分)
都営三田線「日比谷駅」(徒歩3分)
東京メトロ丸ノ内線「東京駅」(徒歩6分)
カフェで2度、展覧会を楽しむ!
null美術館で集中して作品を鑑賞すると、意外と疲れてしまうもの。そんなときは、美術館内のカフェでひと休みしましょう。美術館に併設されているカフェでは、開催中の展覧会に合わせた特別メニューを提供していることが多いのです。
『三菱一号館美術館』のカフェ『Café 1894』は、銀行営業室を改装
たとえば、『三菱一号館美術館』にあるミュージアムカフェ・バー『Café 1894』。こちらは、かつて銀行営業室として使われていた空間です。天井が高く、広々とした店内でお茶やお酒、料理も楽しめます。
特別限定メニューは、展覧会のイメージ×フランスの伝統料理
現在は、「パリ♥グラフィック―ロートレックとアートになった版画・ポスター」展(2018年1月8日まで)にちなんだタイアップメニューのランチやデザートが用意されています。
ランチメニューの『C’est Pari(セ・パリ)コーヒー又は紅茶つき』は、仔牛のカツレツなどフランスの伝統的なメニューと、版画をイメージして何層にも重ねたドフィノワグラタン(じゃがいもをメインに使ったフランスの代表的なグラタン)が付け合わせに。
また、デザートメニューには『ロイ・フラー嬢へのオマージュ』が登場。
画家のアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックを魅了した踊り子、ロイ・フラーの“たなびく袖”をイメージした装飾をほどこしたオペラ(パリ生まれのチョコレートケーキ)です。
ガナッシュやフランボワーズクリームの層が重なる断面も、版画の技法“リトグラフ”をイメージしたものだそう。
展覧会の内容に沿ったタイアップメニューのうれしいところは、直前まで見ていた芸術の世界観と余韻に浸れること。
食事をしてのんびり休憩しながら、展覧会の感動を忘れないうちにメモに残したりSNSにアップするのも、1人なら気兼ねなくできますね。
ちなみに、『Café 1894』の定番メニュー・アップルパイも絶妙な甘味でオススメです。