ほめ言葉は恐ろしい“両刃の剣”
デボラ・キャロルさんは著書『NANNY911 お父さんお母さんのための子育て110番!』の中で、ほめすぎは、ほめ足りないのに劣らぬほどの悪影響を子どもにもたらすと述べている。
<子どもを世界の中心においてしまったら、その子が外の世界に出ていく準備をさせることができません(中略)自分がこの宇宙の中心だと思っている子どもは、不平や泣き言を言うようになりがちです>
親のほめすぎによって自尊心が必要以上に高まった子どもは、自分よりかわいい子、運動のできる子、頭のいい子、芸術的な子を目のあたりにすると、ショックを受けてしまう場合もあるとのことだ。 子どもの資質をほめるより、子どもがした“行為”に対してのほめ言葉こそが大切なのだろう。
ほめ方を間違うとナルシストになる!?
精神科医の片田珠美さんの著書『プライドが高くて迷惑な人』にも同様の記述がある。
本来なら幼い頃の「何でもできる」という“万能感”は成長とともに少しずつ減り、 “身の程”を知っていくべきなのが、「本気を出したらもっとできる」と言われ続け、現実を直視しない子、打たれ弱くなっていく可能性が高まるという。
そしてまた最近の風潮として、親自身がより一層、子どもという“自らの分身”にナルシズムを投影しやすくなっているとも主張している。
子どもが強すぎる自己愛を抱えると、現実とのギャップを受け入れられず、「自分はこんなもんじゃない」と現実逃避に走ることもあるというのだ。
子どもをダメにしないほめ言葉
また教育コンサルタントである河村都さんの著書『子どもを伸ばす「いいね!」の言葉「ダメ!」な言葉』によると、「すごい!」と「えらい!」の多用は、子どもの勘違いをうむとのことだ。
「○○ちゃんが1番えらい!」といったほめ言葉はやめて、「昨日はできなかったのに今日はできたね」と、成長の変化をキャッチしたほめ言葉のほうが子どもが伸びるという。
以上、子どもの将来に悪影響を及ぼしかねない“親のNGなほめ言葉”についてご紹介したが、いかがだろうか?
保育施設や学童保育で、親の帰りを待ちわびた子どもの顔を見ると、「君は世界の誰よりもかわいくて素晴らしい!」と言いたくなる気持ちは誰でも同じだ。
子どもに対しての愛情表現は、どんどんしていくべきだが、子どもをほめる時には、ぜひ今回紹介したようなネガティブな面についても、意識しておいてほしい。
【参考】
※ デボラ・キャロル&ステラ・リードwith カレン・モリーン(2008)『NANNY911 お父さんお母さんのための子育て110番!』(メディア総合研究所)
2015/2/27 BizLady掲載