「イベント託児」とは?託児料金がリーズナブルなのはなぜ?
null『イベント託児』とは、その名の通りイベントの会場で行われる託児。親が催しに参加する間、子どもを預けられるサービスで、マザーズの登録商標です。
ひと口にイベントといってもその内容は様々。
クラシックコンサート
ミュージカル
歌舞伎
美術館
博物館
バレエ
企業のファミリーセール
バーゲン会場
など多岐に渡り、実施は月平均150公演、年間で1,800公演にも上ります。(2017年実績)
託児にかかる費用は、1,000~3,000円と比較的リーズナブル。一体どうして、このようなサービスを提供できるのでしょうか?
実はこれらイベント会場での託児サービスは、顧客満足度を上げるためのサービスの一環として公演の主催者がマザーズに依頼、それをマザーズが請け負う形で行われているのだそう。
公演の主催者が託児費用の大半を負担しているため、利用者が負担するのは一部のみ。
「主催者の費用負担により、託児を利用されるイベント参加者の負担はごく一部です。比較的低料金で、質の高い託児と、お子さんにとってのびのびとした楽しい空間を提供することができています」(二宮さん)
一昔前と比べ、子連れで行ける場所が増えてきましたが、まだまだ子どもが入ることができない場所もあります。例えば、お芝居やコンサートの会場では、出演者が子どもの声によって集中力が途切れ、ベストなパフォーマンスができなくなってしまう事態も想定されるからです。
「託児スペースを設けることで、これまで来ることができなかった顧客層が来られるようになること。また、出演者がベストなパフォーマンスを発揮できる環境を提供したいというイベント主催者の思いもあります」
マザーズの場合、託児で利益を出すことが目的ではないので、例えば0歳の子ども1人に対して1人のシッターがマンツーマンでお世話をするなど、国が定めた保育の基準よりも厳しいガイドラインに基づいた保育を提供しているそう。
イベント託児が生まれた背景…「子どもと離れること」で得られる気づきとは
null『イベント託児』を始めたきっかけは、二宮さん自身の育児体験にあるといいます。
二宮さんが育児をしていた1980年代は、主婦が安心して未就園の子どもを預けられる場所はほとんどなく、父親が育児に関わる機会が今よりも少ないのにも関わらず、“子どもを預けて、お母さんが楽しむ”ということに対して、批判的な声があったそう。
「ピカピカに床を磨きあげ、通信教育で学んだ児童心理学を育児に取り入れるようなストイックな専業主婦をしていましたが、だんだんと煮詰まってしまって……。
子どもが昼寝している間に夫に子どもを見ていてもらい、出産後初めて1人で映画を見に行きました。久しぶりに1人になって観た映画の内容に心が震え、“今”は人生のほんのいっときで、やがて子どもは育っていくものなのだと気づくことができました」
この経験を機に『イベント託児』の潜在的なニーズを確信し、批判の声を乗り越えて、「自分がもし預けるなら」という視点で新しいビジネスを切り開いた二宮さん。30年間無事故で、今では主催者からも、利用者からも信頼を寄せられています。
「親子で出かけることも大切ですが、半年に1回、1年に1回でもいいから、芝居やコンサートなどを通じて親が自分を見つめ直し、親子は違う人間であるということを認識する時間も必要ではないでしょうか。
育児に煮詰まったら、無理せずに少し離れる時間を作って。音楽や芝居に親しむことで、悶々と考えていたことに光明が差してくることがあるかもしれません」
1人の時間を持つだけでなく、夫婦で過ごしたり、下の子を預けて上の子と1対1の時間を持つといった使い方もおすすめだそう。
普段は子ども中心の生活を過ごす夫婦が、ちょっとオシャレをして、2人きりの時間を持つことは、良い刺激になりそうですね。
二宮さんによれば、一昔前に聞かれたような「親が子どもを預けて楽しむなんて」という声は少しずつ減り、最近では親のリフレッシュの重要性に目が向けられてきたといいます。
毎日の暮らしに疲れてしまったとき、日々のささやかな幸せを再認識するためには、日常から少しだけ離れてみることも大切かもしれません。
※写真はイメージです