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美しさは仕事をする上での「戦力」です|森田真実さん(株式会社ヒューマンスカイ 取締役/チーフコンサルタント)

各界で輝かしく活躍している女性のみなさんに、ゲストライターとして寄稿をお願いしました。今回のゲストライターは、日頃カウンセリングや人材育成を行っている、森田真実さん。第1回、第2回に引き続き、今回のテーマは美しさ。本当の意味でビジネスで役に立つ美しさとは何かを教えていだたきました。(編集部)

「ヒトを美しくすることは経済効果につながる」と確信

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実は現在の仕事に就く前に、私はメーキャップアーティストとしての技術を学びました。動機は、美しさへの憧れや、美しくなりたいと言った願望ではなく、“販売の説得力”が欲しいという、成果達成へのこだわりです。

当時化粧品の販売をしていた私にとっては、スキンケア商品は使ってみないと分からないからと断られやすいけど、メーキャップ商品は気に入れば即購入に結びつき易く、メークもより上手に出来たら、これは売り上げも上がるはず、と。

当時から、「ヒトを美しくすることは経済効果につながる」と、戦略思考だった自分に感心します。

事実、美しいこと、心地よいこと、バランスが良いこと、快適なこと、安心感があること、癒されること、活力が湧くことに、ヒトは心とお財布を開きます。

美しさは、企業にとってもメリットがあるはず

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その昔は、私も女性が細々とした雑務対応をしながら、男性社員と同じ予算を持ち数字を詰められることに、正直、男女雇用均等法などいつ実現できるのだろうと思うこともありました。

小さいことですが、企業では来客対応やお茶出しなどを女性社員に任せている時点で、旧態依然とした組織体制が今後、女性管理職の育成に本気で取り組むとは考えにくいのです。

しかし、この現状を男性は変える意識すら持ち合わせておりません。

ではどのように、日常の評価対象になりにくい業務を変えていけば良いのでしょうか。ここで、あきらめて腐ってはいけません。女性の仕事の価値は、女性自身で高めないと誰もそれをしてくれません。

たとえば来客対応時のお茶出し。このつまらないと思える作業も、美しい所作と洗練された会話で自社の契約につながる援護射撃にも成り得ます。

ただの頼まれ仕事で、たどたどしくお盆にお茶を乗せて運び歩くのではなく、堂々と、動く止まるのメリハリのある心地良い所作で目を引き付け、魅力的なアイコンタクトで、「どうぞお召し上がり下さい。」と、手を足の付け根に揃えてお辞儀をする…。

「こちらにお越しいただくのは初めてですか。近くには〇〇の庭園があるのですが、お帰りの際にぜひお立ちよりください。」など、印象的な声と静かだけど聞き取り易い説明が、クライアントをリラックスさせ心地よくしてくれるはずです。

ここの社員は高い教育を受けているとイメージさせることによって、次に控える商談がよりスムーズになることは間違いありません。ただのお茶出しが、よりよい印象を与え、評価の対象外で貴重な時間を奪われるだけの業務が、むしろ評価されるべきものへと変化します。

女性社員の接客品質やコミュニケーション力の高さは、企業のブランド力をググッと高めます。

女性が得意とする“美しさ”というツールを磨いて、高く売ることが可能です。美しさは、キレイなメークやネイルによるものだけではありません。立ち振る舞いを含めたコミュニケーション力で、洗練された印象を与えることは、ビジネスでは大きなメリットがあります。

“美しくなること”が目的ではなく、美しさを機能させて何を得ることが出来るかを、したたかに見極めて進みましょう。

 

【筆者】森田真実(もりた・まみ)

資生堂販売(株)入社。百貨店にて店舗運営マネージメント業務・応対技術コンテスト審査員・メーキャップアーティスト特別養成機関 SABFA卒業。退社後、ブランド・スタイリング・プログラマーとして社会で成果を上げ続ける為の、『基礎表現力』に特化した人材育成プログラムを開発。大手・中小企業を中心に、基本マナー×成果達成「基礎表現教育の内製化」を推進している。
多数のクライアントより高いリピート率を獲得。日本女子経営大学院にてフロンティアメンターとしても活躍中。著書に『売れる販売員の接客ルール』がある。

2015/12/17 BizLady掲載

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