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アルバイト・派遣・正社員…何が違うの?【働く主婦が知っておいて損はないこと】

総務省の調査によると、 平成30年(2018年)1月の日本の就業者数は6,562万人。前年同月に比べ92万人増加しており、61か月連続の増加なのだそう。就業者、つまり“働いて報酬を得ている”人はたくさんいますが、それぞれが一体どんな立場、どんな契約で働いているのか、実はよくわかっていないという人も多いのではないでしょうか。

学校を卒業し新卒で就職、派遣会社に登録、アルバイトからの社員登用……。その後、結婚出産などのライフステージの変化と共に、働き方を変化させている女性も多いはず。

今回は「働く主婦が知っておいて損はないこと」として、“アルバイト”、“契約社員”、“正社員”とさまざまある雇用形態の違いについて、社会保険労務士法人スマイングの成澤紀美さんにお話を伺いました。

そもそもアルバイトとか正社員って何? 「雇用形態」とは

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企業と従業員は“雇用契約”を結んでいます。雇用形態とは、企業と従業員が結んでいる“雇用契約”の種別のこと。正社員、契約社員、アルバイト・パートタイマーなど他にもさまざまな形態がありますが、今回は最もベーシックな“正社員”、“契約社員”、“アルバイト・パートタイマー”の違いについてみていきます。

正社員・・・メリットは安定性、デメリットは“会社による”

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一般的な就職という言葉で皆が想像するのは、正社員ではないでしょうか。正確には正社員という雇用形態はなく、期間の定めのないフルタイム労働契約を“正規雇用”と呼び、この正規雇用で雇われている社員を指して“正社員”と呼んでいます。

会社と直接雇用契約を結んでおり、多くは特別な取り決めがありません。期間の定めもなく、定年を迎えるまでの契約とされています。

正社員のメリットは安定性

正社員の一番のメリットはやはり“安定性”です。

各種保険や福利厚生、退職金などはもちろん、女性にとっては産休・育休などの制度面の充実が最も期待できるのも正社員です。

たとえばキャリアアップ後に結婚・出産・子育てを迎え、産休・育休を取得し、時短社員を経てフルタイム勤務に復帰したり、業種によってはフレックスタイムや在宅テレワークなど自由な働き方ができる会社もあります。

正社員のデメリットは会社に縛られること

正社員のデメリットは、ひとことでは言えませんが「会社に縛られること」ではないでしょうか。

転勤の有無や残業の多さのようなマイナス面はもちろん、福利厚生や働きやすさというプラスの面も、会社の規模や業種によってまちまちです。長いこと勤めあげることになりますから、制度面だけでなく社風や部署の人間関係なども大きく生活に関わってくるでしょう。最も「会社に縛られる」部分になりそうです。

フルタイムの共働きは、家事や育児と両立するには時間的な制約があり大変。しかし安定した収入とさまざまな保障が用意されていることが、やはり最大の魅力のようです。

契約社員・・・メリットはスキルとやりがい、デメリットは仕事がなくなること!?

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契約社員と正社員の大きな違いは、契約期間に定めがあることです。最初に契約を結ぶときに「〇年間」「〇カ月」など期間を定めます。これを“有期労働契約”といいます。

有期労働契約でも正社員同様、社会保険・雇用保険等は企業に加入義務があり、有給休暇も付与されます(短期間雇用や短時間勤務など条件を満たさない場合は例外あり)。賞与や退職金等については特別な決まりはなく、個別の契約により支給される場合もありますが、正社員と同じ形で支給されるということはあまりないようです。

派遣との違いは?

契約社員と並んでよく聞く“派遣”もここに含まれます。派遣契約は、派遣会社と契約しますが、派遣会社が間に入って派遣会社の提示する企業に出向いて業務に従事します。

契約社員は契約期間が同一の職場で働くことが多いですが、派遣の場合は契約終了すれば次の勤務先を派遣会社が探してきてくれるというイメージですね。

契約社員のメリットはスキルとやりがい

契約社員は、デザイナーやエンジニア、クリエイターなどに多く見られる雇用形態です。百貨店の販売員などにも多いようですね。

高いスキルやセンスを持った人材は、その人自身が商品です。この人にお願いしたい!と名指しでお仕事をもらえることもあるでしょう。そのため報酬の単価も高めで、転勤や異動など、会社に縛られることなく、自分のやりたい仕事を追及していくことができます。

契約社員のデメリットは仕事がなくなること

逆に一番のデメリットは、いつか仕事がなくなってしまうかもしれないという不安でしょう。スキルやセンスを買われたのなら、いつまでも磨き続ける努力をしなければ、よりスキルのある人に取って代わられてしまいます。

産休・育休も取得できますが、「1年以上引き続いて同じ事業主の元で働いているか」「子の1歳の誕生日以降も、引き続き雇用されることが見込まれているか」などの条件があります。契約期間が1年など短い場合は取得が難しいでしょう。

やりがいのある仕事で高収入を得ることも夢ではないのが契約社員。しかし一方で、働き続けることが難しくなった時のことを考えると不安も残りそうです。

アルバイト・パートタイマー・・・メリットは自由!デメリットは保障のなさ

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アルバイト、パートタイマーの最も大きな特徴はやはり“時給(日給)”制であることでしょう。もっとも馴染み深いのは“シフト制”と呼ばれる交代勤務。働く日時を自分で申請できるので、自分と会社の都合にあわせて自由にスケジュールを組むことができます。

また、最も一般接客はもちろん、軽作業などかんたんなものから特殊な知識や技術を必要とする専門職まで、業務の内容もバラエティに富んでいます。

アルバイトのメリットはやっぱり自由

アルバイト・パートタイマーのメリットはやはり自由なことでしょう。前述のシフト制なら、週1日、1回数時間からでも働けるのが魅力です。

働く時間をコントロールできるということは、つまり、収入もコントロールできるということ。配偶者がいる場合は、配偶者の扶養に入って扶養控除を受けるために収入をコントロールしている人もたくさんいます。

アルバイトのデメリットは保障のなさ

アルバイトのデメリットはやはり、社会保険や雇用保険など、保証を受けられないことでしょう。もちろん、アルバイトやパートタイマーでも条件を満たせば社会保険に加入することはできますが、その条件を満たすということはフルタイムとほとんど変わらない勤務状況だということです。アルバイトで働きたいという事情がある人は当てはまらないことが多いでしょう。

パートナーの福利厚生が受けられる、という条件であれば、時間や条件に縛られないもっとも自由な働き方ができるのがアルバイト・パートタイマーです。

 

いかがでしたか?

働き方改革が叫ばれる昨今、日本でも働き方は多様化してきています。パートナーがいたり子どもがいたり親族と同居していたり、いろいろな事情があるなかで、それぞれに合った働き方を選ぶためにはまず働き方を知ることが大切。

就職や転職を考えている人はもちろん、今働いている人も、今の働き方が本当に自分に合っているのか見直してみるのも良いかもしれません。


 

【監修】

特定社会保険労務士

成澤紀美(なりさわ きみ)

社会保険労務士法人スマイング代表。元SEの社会保険労務士としてIT業界に特化した人事労務サービスを展開。「働きたい会社づくり」をモットーに各企業をサポートしている。著書「IT業界 人事労務の教科書」ほか専門誌やコラム執筆も多数。

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